100均にルアーが並んでいる姿も当たり前になりました。
その光景を「不景気」に繋げた著名アングラーがいるらしい。
マジで何いってるかわからなかったけど、理解するようつとめてみた。
プチ炎上したダイワの顔
件のツイートはこちら。
とにかくビックリ。不景気になるのは当たり前だね。何かが間違っている。 pic.twitter.com/xuoOEek6GY
— 村越正海 (@seikaimurakoshi) December 24, 2019
この文章からは、「ルアーが100円で売れることに驚いた」のか、「こんな物でも100円で売れるのか」に驚いたのかのどちらかと読み取れます。
件のツイートに対するユーザーのリプライ(返信)を見ると、「何言ってんの?」という意味合い。そりゃそうなるよね。
100均にルアーが並ぶことを不景気に繋げるのは強引すぎます。
むしろ業界人であるなら、「どうやって100円で儲けがでるの?」と驚くほうが”ぽい”のでは?
100均でも釣れるルアーが売られている。これをアングラーが知れば、「なぜ日本メーカーのルアーはクソ高いの?」と疑問を抱くでしょうけど、不景気だからとはならないでしょう。
弁解でも何言ってるかわかんない
続く補足が非常に苦しい。まあ……言いたいことはわかる。
平均月収2~3万円の国で作った物を、平均月収15~20万円くらいの国で売るってこと。平均月収15~20万円の国の仕事がなくなるのは当然ですよねってこと。異論はあると思うけど、ただただビックリしました。
— 村越正海 (@seikaimurakoshi) December 24, 2019
ようするに、製造を途上国にまかせるくらいなら、自国でやれば雇用も増えて経済バンバンザイっていいたかったのでしょう。
今の釣具メーカーに国産の量産製品なんてほぼありません。
国内の雇用機会を減らす意味合いなら、「100円のルアーで不景気が加速!?」の視点は概ね正しい。
純国産の釣具を安く売るには低賃金を合法にするしかない
業界人ぽい争点なら、(100円ルアーの製造を)ダイソーはできてダイワはできないのか? って話になります。
価格の差はメーカーの「ブランド力」にあります。
しかし、ルアーは魚を釣るための道具にすぎない。造形や値段がどうあれ、どれでも釣れるなら、安いほうを選ぶのは消費者心理です。
そういえば、最近破産した釣具メーカーがありましたね。
アングラーデザインが破産に至ったのは、後に出てくる「業界の市場調査」を見れば理由がわかります。
最近口うるさく、働き方や生産性を追求する理由は、最低賃金に見合う労働価値を実現するには、君たちはもっと頑張らないといけないよ? って意味です。
不景気のネガティブキャンペーンに洗脳されすぎ
今や世界中の工業製品は、大抵アジア圏内で作られています。釣具の製造国を見ればそれもわかるでしょう。
知識を持つ先進国はそれを法律で守り、製造側はただ作らされるだけ。これは別に不思議なことではなく、企業内の役割と照らせば大した違いはありません。
日本は春闘のたびにベースアップを求めていますが、稼げば稼ぐほど損をしている人もいるわけです。
現在はアジア諸国で、「いい加減にしねぇと俺ら辞めるぞ!」と抗いだして、人件費が上昇して全体の物価上昇に繋がっています。
経済だけ見れば、今は(全体では)好景気です。散々ネガティブキャンペーンがされていますが、世界の経済は良い方向に向かっています。
日本の釣具が高くなっているのは、購入する人が減っている背景もあります。人口が減っている世の中なのに、売上を伸ばし続けるにはどうすればいいのでしょうか。
それではここで「釣用品の国内需要動向調査報告書」をご覧頂きましょう
一般社団法人「日本釣り用品工業会(JAFTMA)」は、毎年1回、業界の市場調査を行っており、それを一般公開しています。
これを見れば、釣り業界のどこが成長株で低調なのかが一目瞭然。
- 2017年は前年比(16年)102.5%の成長
- 2018年は前年比101.0%の成長見込
- 右肩上がりなのは「疑似餌」「クーラー」
- 右肩下がりなのは「生餌」「ボート・カヌー」
業界全体は(一応)プラス成長。中には足を引っ張っている種目もあります。
資料からは、エサ釣りは業界から見放される恐れがあり、疑似餌(ルアー)部門はどんどん投資していくべき流れですね。
そして釣り人口は減少が止まんねぇぞ状態。
消費者が少ないなら、販売戦略はどうすればいいのか。
壊れやすくして消費サイクルを定期にするメリケンスタイルか、市場を独占するスゲェ物を造るリンゴスタイルか、認知度を100%に近づけていく──全部アメリカじゃねぇか!
もしここで「薄利多売」を挙げると即死。
嫌気がさした従業員が独立して対抗企業になり、市場を互いに食いつぶす地獄絵図になります。今のアニメ業界かな?
まとめると、釣具業界の低迷をなんとかするには、市場拡大(グローバル規模)とブランドの価値向上がカギですね。どこの企業にもいえることです。
釣り業界のブランド価値はどこにあるのか?
釣り業界がかろうじて生き残れるのは、日本が島国であり、水源が豊富であり、そこら中に釣りが出来る環境が整っているおかげ。
釣りが禁止された漁港も多く、気軽にやりたい勢にとってつらいでしょうけど、観光型釣り公園は好調です。
特に熱海の海釣り施設は代表的なモデルケース。
関東からのアクセスが容易で、釣りが目的じゃない人も気軽に出来る環境が整っています。ここで注目して欲しいのは、一人あたりの消費額ですね。
熱海の海釣り施設は、大人個人の消費が7,000円を超えています。これにはビビル管理釣り場の経営者も多いのでは?
県外利用が7割を超えているから、それだけ熱海に魅力があるのでしょう。ここの海釣り施設は、全国の中でも管理が行き届きすぎているくらいですしね。
最近は政府主導で、漁港をマリンレジャーパークとして活用する施策が活発です。静岡県内だと清水港で話がありますね。
釣り文化の振興は耳触りこそいいですけど、多くのアングラーが施設に金を払ってない時点で、地域の経済に貢献していないとも受け取れます。
釣具を買うことで、製造元が潤い消費が加速する可能性もあるけど、釣りポイント自体は消費されるだけなんです。これが問題であり解決すべき課題です。