海上に雷雲があってドコドコ落雷している時、水中の魚はどうなっているのか気になりませんか?
感電してプカプカ浮いてそうなのに、そんな話を聞いたことがない。
一体そこでは何が起きているのだろう……。
ポチップ
海に雷が落ちても水中のほうが安全
海に落雷しても、水中に影響はほぼ無いらしい。
海や湖に落雷すると、電気が広範囲に分散してしまうため、水中まで届くことはないとのこと。水に油を注ぐ感じに似てますね。
だから海上でドンドコ落雷しているなら、船内より水中のほうが安全だったりする。これはダイバーだと常識なんだって。……マジか。
ざっくりまとめると以下。
- 海に雷が落ちても”水中の”魚に影響はない
- 海に落ちた雷は水面の四方八方に分散する
- 海面に居ると感電の恐れがある
電気は水面に広がるため、もしナブラに落ちたら、大型魚がぷかぷか浮くことになるかも。……船に落ちる可能性のほうが高いけど。
海上の落雷は魚よりもアングラーとサーファーのほうが危険度が高い
雷鳴が聞こえるようなら、釣りもサーフィンも止めてすぐ逃げる準備をしましょう。落雷による死亡事故例もあります。
釣り人の事故で多いのは、木の陰で雨宿りをしていたら、その木に落雷して感電なり、破裂した木にあたって怪我をするケース。
雷の音が聴こえている時点で、今居る場所にも落ちる可能性はあります。音が遠いからって油断しないようにしましょう。
以下のサイトでアウトドアレジャーの落雷事故がまとめらています。
竿を畳んでいる最中、2m先の釣り人に落雷して自分は無事、みたいなケースもありますね。
サーファーのケースだと、数十人に及ぶ感電事故例もあったりします。サーファーの1人に落雷して、周囲に雷のエネルギーが分散したため。
……ナブラに落ちると同じことが起きるんだよなぁ。
大きな木から少し離れて過ぎるのを待つのは間違い
「雷は大きな木から離れている方が安全」とよく聞きます。
でもそれは、人に落雷する可能性が減るだけの話。
雷は人間より背の高い木に落雷する可能性のほうが高いですが、落雷した瞬間に木から放電したり地面を伝うため、離れていても人体へ影響する可能性はあります。
落雷で炸裂した木がHITして怪我する可能性もあるため、確実に安全とはいえません。その退避方法は、ノーガードよりマシ程度と覚えておいてください。
確実に安全を確保したいなら、頑丈な建物なり洞窟へ逃げ込むのがベスト。車は落雷してもほぼノーダメージなので、車が近いなら真っ先に逃げましょう。
ゲリラ雷雨対策はウェザーニュースが優秀
雷鳴がハッキリ聞こえる距離は、経験上だと30km遠方くらいから。
雷雲が直線で向かってくる場合、20分もしないうちに追いつかれる可能性が高いです。それをどう察知するか……。
今ならスマホの天気予報アプリで、「雨雲レーダー」なり「雷レーダー」を見て、雷雲の位置を確認することはできます。
しかし直上で突然発生するゲリラ雷雨を予測することは困難。
ゲリラ雷雨の対策には、ウェザーニュースの会員になるのがベスト。有料サービスだけあって、位置情報からゲリラ雷雨の接近を通知してくれるし、市町村区の細かなエリアごとの気象情報を知ることもできます。

無料で済ませたいなら「Yahoo!天気」がマストかな。雨雲レーダーが特に使いやすいです。
アウトドアの急な天候変化への対応には、ネットとスマホアプリが重要になっていきますね。──そのためには山奥でも電波入るようにならなきゃね。
ポチップ
そもそも「水の電気の通しやすさ」で運命が変わる
本文で「海に落雷しても水中の魚はだいたい無事」と書きましたが、ここをもう一歩踏み込むと面白いんですよ。カギはその水がどれだけ電気を通すか(電気伝導率)。同じ落雷でも、海水・川や池の水・純水で、起きることがまるで違ってきます。
電気伝導率というのは、水の中をどれだけ電気が流れやすいかを示す数字。水そのものはあまり電気を通さなくて、実は溶けているイオン(塩分など)が電気を運んでいるんです。だから塩がたっぷり溶けた海水はめちゃくちゃ電気が流れやすく、塩のほとんどない真水は流れにくい。理論上の純水にいたっては、ほぼ電気を通さないレベルです。
| 水の種類 | 電気伝導率の目安 | 落雷時のざっくりイメージ |
|---|---|---|
| 海水 | およそ40 mS/cm(=40,000 μS/cm)前後 | 電気が水面を四方八方へ一気に逃げる。だから深場の魚まで届きにくい |
| 川・池などの淡水 | 海水よりずっと低い(数十〜数百 μS/cmのことが多い) | 電気が逃げにくく、水中を伝わりやすいので魚への影響が出やすい |
| 純水(理論値) | 0.05 μS/cm前後とごくわずか | イオンがほぼ無いので、そもそも電気が流れにくい |
※数値は水温や塩分濃度で変わるので、あくまで一般的な目安です。ポイントは「海水と淡水では電気の逃げ方がぜんぜん違う」という相対的な話。
海水は電気が流れやすいぶん、落雷のエネルギーが水面〜ごく浅いところを横に広がって一気に拡散します。プールに絵の具を一滴落とすと表面でブワッと広がるイメージ。だから少し深いところにいる魚には届きにくい。逆に淡水(池や川)は電気が逃げにくいぶん、水中を電気が伝わってしまい、淡水では魚が死ぬことがあるのはこのためと考えられます。「海より川のほうがむしろ怖い」と言われる理由がここにあるわけです。
なぜ「水面付近」がいちばん危ないのか
本文で「海面にいると感電の恐れがある」と触れましたが、その仕組みをもう少し。落雷の電気が水面を広がるとき、落ちた場所から離れるほど電圧が下がっていくという性質があります。つまり水面には場所ごとの電圧差(電位差)ができる。
この電位差をまたぐような形で体が水面に接していると、体の中を電気が通り抜けてしまう。だから水面直下や浅瀬は、深場よりはるかにリスクが高い。ナブラに突っ込んだ大型魚や、水面近くを泳ぐ魚が影響を受けやすいのも、表層に電気が集中するからなんですね。
釣り人目線で言い換えると――ウェーディングで腰まで浸かっている人、磯や堤防のキワで水面に近い人は、まさにこの「水面付近」に体を置いていることになります。魚より自分の心配をしましょう、という話につながります。
【最重要】カーボンロッドは「避雷針」になりうる
ここが安全面でいちばん伝えたいところ。現代の釣り竿の多くはカーボン(炭素繊維)製ですが、カーボンは電気をよく通す導体です。釣り具メーカーのがまかつも、公式に「カーボンロッドは素材の特性上電気をよく伝える」と注意喚起しています。
水辺・堤防・磯・サーフは、周りに高い建物や木が少ない開けた場所が多い。そんな場所で長い竿を立てて持っていると、あなたと竿が周囲でいちばん高い突起物になりがちで、避雷針のような役割をしてしまうんです。背の高い物がない=安全、ではなく、むしろ自分が標的になりうる、と逆転して考えてください。
そしてこれは絶対に覚えておいてほしいんですが、カーボンロッドの根元から火花や「バチバチ」という放電が起きたら、即・撤退のサイン。がまかつは「非常に危険な状態。雲の中にいるようなもの」「稲光や雷鳴が確認できなくても危ない。ただちに竿を置いて避難してほしい」と警告しています。空がまだ晴れていても、竿が放電し始めたら落雷直前のことがある。竿をしまうか竿から離れて、すぐ逃げてください。
避難の判断と「30-30ルール」という目安
落雷を避ける鉄則はシンプルで、雷鳴が聞こえたら、その時点でもう避難。音が遠くても、雷雲の真下では数km単位で離れた場所に落ちることもあるので「まだ遠いから大丈夫」は通用しません。
判断の目安としてよく紹介されるのが、海外発祥の「30-30ルール」です。これはあくまで一般的な目安ですが、覚えやすいので紹介しておきます。
- 前半の30:稲光が見えてから雷鳴まで30秒以内なら、雷はおよそ10km圏内まで近づいている=もう危険。ただちに避難。
- 後半の30:最後の雷鳴・稲光から30分以上、何もない状態が続いてから活動再開。「避難を始めて30分」ではなく「最後の雷から30分」がポイント。
ちなみに「光ってから音までの秒数を数えて距離を測る」やり方は、近年ではかえって油断を招くとして推奨しない流れもあります(公益財団法人スポーツ安全協会など)。秒数を数えている時間があるなら、さっさと逃げたほうが安全、というわけです。
なお、日本の気象庁が示している再開の目安は「雷の活動が止み、20分以上経過してから安全な空間へ移動」。30-30ルールの「30分」より短めですが、いずれも一発鳴り終わってすぐ動くなという趣旨は共通です。迷ったら長めに待つのが安全側。
安全な避難先・危険な場所と、雷雲のサイン
避難先は「中に入って閉じられる空間」が基本。気象庁の指針をもとに整理すると次の通りです。
| 区分 | 場所 | ひとこと |
|---|---|---|
| 安全寄り | 鉄筋コンクリートの建物の中/自動車・バス・列車の中(オープンカーは不可) | 車内は窓を閉めて金属部に触れなければ比較的安全。近くに車があるなら真っ先に逃げ込む |
| 安全寄り | 木造建築の中 | 基本は安全。電気器具や天井・壁から1m以上離れるとより安心 |
| 危険 | 高い木の下/あずまや・軒下/傘を高く差す行為 | 木への落雷が人に飛び移る「側撃」がこわい。木からは幹・枝・葉すべてから2m以上離れる |
| 最終手段 | 逃げ場がない時 | 高い物体から4m以上離れ、姿勢を低く、持ち物(竿含む)は体より高く突き出さない |
ボート・カヤックフィッシングは特に要注意。水上では自分が周囲でいちばん高い物になりやすく、すぐに逃げ込める建物もありません。雷の気配を感じたら、無理せず早め早めに帰着・上陸の判断を。
最後に、避難を間に合わせるための雷雲のサインもチェックしておきましょう。次のような変化があったら、雷雲が近づいている合図かもしれません。
- もくもくと急にせり上がる黒い雲(積乱雲)が見えてきた
- それまで穏やかだったのに、急にひんやりした強い風が吹き始めた
- 遠くでゴロゴロという音が聞こえる、空が一瞬光る
- 急に空が暗くなり、大粒の雨やひょうが落ちてくる
釣りの集中力が高いほど空の変化に気づきにくいもの。スマホの雨雲・雷レーダーで状況を確認しつつ、上のサインが出たら「まだイケる」より「もう上がろう」を選んでほしいです。魚はまた釣れますが、体はひとつしかないので。




