「魚のアラを海に捨てると逮捕される」
それは、釣り人の間で噂される、まことしやかな事例。
……噂されるってことは、誰も真実を知らないのかもしれない。
“この記事のまとめ”
この記事では、魚のアラを海に捨てる行為が不法投棄にあたる理由について詳しく説明いたしました。魚のアラを許可なく水域に捨てることは法律で禁じられており、見つかれば逮捕される可能性があります。よくある「魚のエサになるからいい」という意見も、法律の前では通用しません。魚のアラを捨てる際は、防臭袋や冷凍保存を活用することで、悪臭を抑え、適切に処理してまいりましょう。
不法投棄になるのは、許可がない場所に捨てるから
魚のアラを許可なく水域に捨てると「不法投棄」になります。
アラだけじゃなく、釣ってから死んだとわかっている魚を捨てるのも不法投棄の扱い。なので生存リリースじゃないと、キャッチ&リリースも不法投棄になりかねません。
不法投棄とされる理由は──、「ゴミを許可がない場所に捨てるのはダメゼッタイ」だから。
いわれれば「あっ、そっかぁ」で納得する話。
川や湖などの淡水なら、管理団体の許可が必要になります。海は国民の共有財産扱いだから、国民全てに許可が必要です。
誰も見てないからとアラを不用意に捨てるのは、誰かの家にゴミをポイポイ投げ入れるのと同義。……そりゃ捕まるわね。
「魚のエサになるからいいだろ」の反論
よく「魚のエサになるからいいだろ」の意見を聞きます。
それが認められていたら、水産加工業者も海にどっぱどぱに捨ててもいいことになりますよね。個人でも法人でも認められてはいません。
実際に逮捕されている事例もあります。
もし捨ててもいいことになっていたら、漁港の海底はアラで汚れているだろうし、サメやウツボが徘徊するスラムになるだろうし、腐敗臭がはんぱないことになっているでしょう。
いずれ自然に還る考えでも、数千年後に「貝塚」として見つかっていることから、「先人の不法投棄の跡」として紹介されるのも考えものですね。
骨が多い頭部と貝殻は分解されるまで時間がかかる
貝塚が歴史資料で残るように、魚の骨や貝殻は、分解するのに時間がかかります。
千年スパンで残るものだから、消費が著しい現代人の一生で捨て続ければ、自然も処理しきれずに残ることになります。
海や川が近くにある家庭が、魚の骨をちょくちょく捨てていたとします。
骨だけは残りやすいし、誰かが見つけたとすれば、「不法投棄しているんじゃないか?」と通報し、捜査されることも考えられます。
内臓なら食べるのもいるだろうし、微生物が分解して残らないかもしれない。それでも量が多すぎれば、水質悪化に繋がるし、血なまぐさい事件では? と誤解されるかもしれません。
このようなことから、ゴミは許可がある場所に、正しい出し方をするのが倫理的なのです。
水産加工業者のアラはどこへ行くのか
もっとも大量にアラを排出するのは、水産加工業者になります。
廃棄物として処理されていますが、肥料や飼料への転換や、リサイクル燃料に利用されるなどして、”再利用”に使われていることも。
「家庭からもリサイクルしたい!」と意識の高い人は安心してください。
家庭用も生ゴミとして一括処理されているため、同じようにリサイクルされています。……正しく捨てられていれば、の話ですけどね。
魚のアラは専用のリサイクル業者も存在します。
バイオマス発電などの燃料にも期待されますが、ナマモノをそれ用に加工する手間があるのと、発生する生臭さに課題が残るもよう。
主に、「骨・貝殻・甲羅」などを砕き、飼料や肥料に運用されています。
魚のアラを生臭くない状態で燃えるゴミに出すには?
魚のアラは腐敗臭がするため、燃えるゴミの前日に処理するのが望ましい。
基本的に内臓はめっちゃ臭いため、臭いを抑えるためにも、別の袋に入れたほうがいいです。臭い対策をしないと、ゴミ集積場でカラスや動物に漁られる原因にもなります。
魚のアラ(内臓)を捨てる時、臭いに困っているのなら、「防臭袋」を試してみたらどうでしょう。
使用済みオムツやペットのうんちを入れても臭わないことが売り。もちろん魚のアラにも対応できます。
わざわざ防臭袋を買うのもなぁ……って考えなら、アラをビニール袋に入れて冷凍しましょう。冷凍すれば腐敗の進行を抑えれるので、臭いは多少なり控えめになります。
ゴミ当日に凍った袋のまま出せるから簡単!