もともとエクスセンスシリーズは漆黒ですが──さらに真っ黒に。
「漆黒に秘められた闘志」の煽り文で、開発陣に中二病を患ってる方がいるからこそ、コイツのような「オトコ心をくすぐるモノ」を作れるのかなと勘ぐったり。
新しい『EXSENCE DC』は、ベイトリールで100mオーバーの飛距離を叩き出した、『16’アンタレス』がベース。
旧モデルから飛距離を大幅改善、ライントラブルをほぼなくしたPE専用ベイトリールとして、業界最高峰に達する性能を持つに至った。
合わせてスピニングモデルも新しくなるよ!
17’EXSENCE DCよりもアンタレスDCがすごい?
『17エクスセンスDC』は端的にいうと、海で使えるアンタレスDCです。
それだけじゃ淡白すぎるので、機能をおさらいしましょう。
明確な違いはスプールくらい(ナロースプールとマグナムライトスプール)
17’エクスセンスDCはナロースプールを採用。
これはスピニングでいう浅溝スプールと同じもの。
これは「ブレニアス」ですでに採用されており、飛距離向上とライントラブル軽減に貢献しています。
仕組みとしては、レベルワインダーとの放出角度をほぼ同一にすることで、糸抜けの向上がひとつ。
回転軸との隙間をほぼ無くすことで、バックラッシュ時にラインが噛むことを防ぎ、ライントラブルの軽減を実現している。
マグナムライトスプールは、
「スプールを軽量化したよ!」
って技術。
これはアンタレスにあるけれど、エクスセンスには存在していなかった。
今回採用されたのは、海水で使用することを可能にするためでしょう。
マグナム(略)は、スプールに軽量化するための穴を開けているため、水の飛沫が内部に飛び散りやすく、入りやすい構造。
淡水なら乾燥させればいい話だけど、海水だと塩が残るのでそうもいかない。
そのため防水モデルではないですが、仕方ない転換だし、些細なことだと気づきます。
ルアー別のブレーキセッティングも知れる辺見哲也氏のインプレ
おそらくこれが一番役に立つと思います。
ベイトリールは機械的に制御されたリールで、「安定した◯◯を引き出せる」メリットがあります。
それは飛距離とか、精度とか、ライントラブルの軽減とか──。
個のユーザーの設定が最良なら、それを伝えることで、同じことができるわけです。
記事中で辺見哲也氏は、向かい風10mに向かってキャストする、メカニカルブレーキ泣かせの実釣です。
機械制御は可変する自然の風(抵抗)までは計算できないため、こちら側で調整する必要がある。
ベイトリールを使うなかで、これが難題ですね。
ブレーキシステムには電子制御もあります。
名前にある『DC』は、デジタルコントロールのこと。
内蔵されているCPUで、ブレーキをある程度自動で制御しています。
これはサミングをコンピュータが手助けしてくれているようなもの。
強風の向かい風でもライントラブルが無いと名言しているのは、ベイトリールを使ったことのある人にとって「本当なの?」と疑いたくなる事案。
PEラインは特に悩まされやすいので、機械がそれを軽減してくれるのは嬉しい限り。
スピニングリールでトラブルに悩む人は、ベイトリールを使うほうが、トラブルから開放されることがあるかもしれない。
XGギア化でひと巻のストロークはスピニングと遜色がなくなる
ベイトリールはスプールが小型になりやすいため、ハンドル1回転あたりの糸巻き量が少ないのがネック。
端的にいうと、巻くのが忙しいリール……でした。
今はハイギアも珍しくなくなり、スピニングリールと遜色ない糸巻き量も多くなっている。
エクスセンスDCはXGギア化し、1巻91cmとベイトリールでも巻けすぎの部類になった。
巻きのトルク(パワー)も向上したので、根から引きずり出したいロックショアでも無難に使えそう。
ベイトタックルでヒラスズキも現実ですね(メリットはほぼないけど)。
ショアキャスティングの部類では、「使えない場面を探すほうが難しくなった」ベイトリールに仕上がっています。
ベイトリールが効果を発揮するのは漆黒な状況(ナイトゲーム)
ベイトリールはブレーキのセッティング次第で安定した飛距離を叩き出してくれます。
ようするに、「一度(ブレーキの)設定さえしてしまえば、あとはずっと同じ飛距離で投げれることが可能なリール」ってこと。
ということは、リール側で飛距離を調整できるわけです。
例えば暗夜の橋脚狙いで、8割の力でとりあえず投げてみたら対象物にぶつかってしまったとする。
橋脚から30cm以内で着水させたい場合、どのようにして調整すればいいのだろうか。
飛距離を調整するにはスピニング・ベイトとも糸の放出を抑える必要があるけれど……
・スピニングリールの場合
8割でキャスティングしたのなら、7割以下で投げるか8割で投げてフェザーリングで調整する。
・ベイトリールの場合
8割でぶつかったのだから、メカニカルブレーキを1段階強めるか、スプールを抑えるハンドルをちょい締めて8割で投げてみる。
機械の性能がユーザーを補助してくれる。
これがベイトリールの強みです。
着水点を調整するにあたり、「振り抜く力を調整する」「ラインを抑えて放出を抑制する」方法があります。
これらはどちらのリールでも可能です。
「テクニックなんてまどろっこしい方法は面倒だ」なんて人は、1の力で数段階の制御ができるベイトリールをおすすめします。
同一のポイントなら、セッティングをメモしておけば、安定したアキュラシーを実現できます。
なので、データを集めたい人にとってもいいリールになるでしょう。
エクスセンスのスピニングモデルも新しくなるよ!
昨年レバーブレーキモデルの『16’エクスセンスLB』が登場しました。
エクスセンスはシーバス専用モデルの印象が強いでしょうけど、それゆえに万能です。
シマノのリール技術を詰め込んだスペックに、PEラインを巻くことに適している浅溝スプール。
マイクロモジュールギアを入れちゃって巻き心地はシリーズ屈指──てとこですかね。
感覚的には、ちょっと重いヴァンキッシュになるかと。
「16’アンタレス」と「16’ヴァンキッシュ」はこちらでも取り上げています。
これらと遜色ない性能を持つのが、17年モデルのエクスセンスになります。