2018年で躍進した魚といえば「鯖」でしょう。
健康食で取り上げられ、水煮缶レシピのブームで鯖缶が壊滅状態になりました。
ついには、JAXA認定の鯖缶が産まれ、サバはとうとう宇宙へ。死に体だけど。
今年を駆け抜けたサバブームを振り返ってみたい。
2018年は空前のサバ缶ブームに
2018年のサバブーム、その火付け役はTVの情報番組らしい。でも詳しいソースをどこも提示していません。
ひとつの理由として、食べることでの健康効果が挙げられます。
けれど鯖だろうが鰯だろうが秋刀魚だろうが、効果は似たり寄ったりです。
察するに、鯖缶がたまたま安かったんですよね。
国産でいうと鰯はもはや高級魚の領域。秋刀魚も水揚げが少なくなり、昨年は価格の高騰も話題でした。
そんな中、鯖は国内水揚げだけでも安定水準。だから価格も安定していたわけ。
鰯と秋刀魚は1缶150円くらいまで上がりましたが、かつては100円以下で買えました。
鯖缶は今でも100円前後で買えるし、栄養価はそれらと遜色ないし、青魚だから全体から見ても効果は高い魚です
安いだけでブームになるならどこもやるだろうし、何か他に理由があるはず……。
その理由はおそらく、洋風へのアレンジがしやすい点ですかね?
アレンジの自由度が高い水煮に人気が集中
例にあげている「鰯・秋刀魚・鯖」は全て青魚。生臭い代表格です。
秋刀魚は旬の塩焼きで知名度が高く、鰯はツミレや練り物で鍋のお供に。一方で鯖は煮るのと焼くのが主流ですけど、下手くそがやると生臭いだけの物が出来上がりやすい。
下ごしらえ段階でやる”臭み抜き”が重要なんですけど、それは薬味を使ったり、数度焼いたり煮たりと面倒です。
そのひと手間を省けるのが水煮缶。
カパッと開けてトマトソースにでもぶちこんでチーズをかければ、イタリアンぽい鯖料理が出来上がる。その簡単さがウケたんじゃないかなと思います。
王道の「ツナ」を破った鯖缶と悪魔のおにぎり
今年は「ツナ」が市場で陥落した年でした。
世界的なマグロの規制と水揚げ量の減少。ツナ缶もけっこう割高になってきました。無難にウマイ魚の缶詰として不動だったツナ缶が、とうとう鯖に負ける時が来るとは……。
あっ、悪魔のおにぎりは鯖と関係ないです。
鯖缶は「安い!簡単!美味い!」と三拍子が揃ったレシピがホイホイ人を寄せ、スーパーの棚から姿を消すようになります。一時期はマジで見ませんでした。
そして品薄になって値段も上がり、今度は鰯と秋刀魚のほうが安くなりました。
んで秋頃になって鯖の水揚げが増えると、また100円前後で売られるように。
──鯖缶の値段を追うことは、取引はなんたるかを知ることができます。
このブームは一体いつまで続くのだろうか。
今度は鯖が絶滅の危機に瀕するとか、ありえなくもないぞ……。
若狭高校が作ったサバ缶がJAXA認定の宇宙食に
年末が近づき水煮缶の値段も元通りになって、「鯖缶ブームも終焉か?」と感じていた。
そんな折、福井県のとある高校が作った鯖缶が、JAXA認定の宇宙食になり、宇宙へ旅立つチャンスが産まれた。
若狭高の冠である”若狭”は、古くから京の魚食を支えてきた地域。
近年の水揚げ量は他に譲っているが、魚食を伝える風土に変わりはない。
鯖アレンジでは先端を走る地域、それが福井県かもしれない。
ちなみに若狭湾のサバ釣りは、船釣りがメインで、ショアからは有効じゃないです。
フィヨルドみたいに入り組んだ入江をしているから、沿岸に魚群が訪れにくいからでしょうね。
若狭湾という”全体”で見れば広いですが、沿岸部は狭いんです。
福井県観光「鯖街道」
福井県への観光は、全国からだと石川県にある「小松空港」からアクセスするのが主流。
18きっぷ的な在来で行くのは速くないが、琵琶湖の西か東まで新幹線でひとっとびして、そこから小浜線を目指すのがいいでしょう。
鯖街道を目指すなら、レンタカーを借りるほうが自由度があっていい。
とはいえ、冬は荒天になりやすい地域なので、電車なら天気とにらめっこするのは忘れずに。
大雪とブッキングすれば、最悪数日は缶詰になりかねません。