1月13日のNHKスペシャル「東京ミラクル第1集 美食の街 受け継がれる“築地の魂”」を見ました。
そこで築地市場の歴史に触れており、日本特有といわれる市場取引の仕組みを改めて知ることで気づいたことがあります。
仲買人の役割は”インフルエンサー“と同じだったんだな、と。
日本独特の市場取引の仕組み
日本における生鮮市場の構造は大きく3つに分かれます。
- 漁港から市場へ魚を卸す大卸し
- 競りで買い付ける仲卸し(仲買人)
- 仲卸しから買う飲食店や一般消費者たち
日本特有なのは「仲卸し(仲買)」のこと。
商売や輸送において中間業者が増えるのは、コストも増えるので価格の上昇に繋がります。そのため、合理を重んじ無駄を省きたいマンからすれば不要な存在です。
しかし、1日あたりで世界トップクラスの取引高を誇る築地だからこそ、仲買人の存在は必要不可欠だったといえます。
社会構造とソーシャルネットワークは当然似ている
水揚げされる魚は種類こそ同じでも質はバラバラ。人間だってそれぞれ性格は違うし、生活習慣で体格や健康状態も変化します。
それと同じことが魚たちにも起きているわけです。
集の魚から最上の個を見つけることを”目利き“といいます。
それが仲買人の商売道具です。仲買人は目利きを活用し、自分の商店で最上の商品を取り揃えるか、直接飲食店に卸します。
──得意な魚は人それぞれだし、大量の魚を限られたスペースで取り扱うことは難しい。
なのである程度、スマートに、”特定魚種に特化”していきます。
そこから商品を購入する料理人は、メニュー(レシピ)が前提にあります。
欲しい魚がある程度決まっているから、専門に扱う仲買を探したり、リストアップしておいて効率よく探すわけですね。
メニューは季節で固定しやすいから、時期ごとの旬を扱う仲買は自然と覚えやすいし、期待以上ならリピーターとして追いかけるようになります。
この関係をわかりやすくいえば、“興味が合う”みたいな状態。
……なんだかSNSのフォローとフォロワーの関係と似ていませんか?
「この人についていけば間違い!」みたいな存在を
SNSで他人をフォローする理由は、人それぞれあるでしょう。
でも「興味があったから」が根底にあるのではないでしょうか。
釣りでいえば、「すごい上手な人」をフォローして技術を会得したいとか。または同じ地域でめちゃ釣ってる人をフォローして、観察眼などの知識を知りたいとか──
なにかしら有用な情報を得るため、「この人についていけば間違いない!」と思える存在をフォローしたくなります。
そして、フォロワー(支持者)が多くなるほど”インフルエンサー”になるわけです。
築地市場は毎日全国から生鮮食品が集まる場所でした。
個人がいちから必要な食材を探すと、それだけで1日が終わるほどの規模です。
毎日手探りで食材を探していると、料理店なら仕込み時間が足りなくなるし、時間効率も悪く疲れてしまいます。
仲買人は買い物客が求める商品を、巨大な市場から見繕って販売してくれる役目を果たしており、ようは時間短縮の手助けをしているわけです。
目利きを活用し、求めている以上の魚を代理で用意してくれる──。
旧来のシステムで最善を模索した結果、仲買人という職業が産まれたのでしょう。
自分の必要な情報を選んで送ってくれるわけですし、ネットでいうなら「まとめサイト(キュレーション)」みたいな存在ですね。
膨大な情報をまとめる存在に金を払うのは何もおかしくないよね
膨大なデータが溢れるネット上で、自分の興味があうニュースだけを短時間で知るために、まとめサイトは有能な存在だと思います。
視点が違う人から見ると、他所からの引用だけで金を稼ぐアフィサイトと嫌われています。
私はいちいちサイト巡回するより、好きな情報を集めてくれるまとめ系はありがたい存在と感じています。
嫌なら見なきゃいいし、稼ぐのが気に入らないなら、仕組みをパクってでも稼げばいいんじゃない?
ブログだって書籍を断片化したようなものだから、ある1冊を写すだけで作ることはできます。
ただし何もアレンジしなければ著作権違反で終わりますけどね。
釣り雑誌も同じような存在です。
釣り情報をまとめて読みたいなら、確実で早い手段のひとつでしょう。
メディアには「産み出す存在」と「纏める存在」が必要。
SNSのフォロワー集めに躍起する前に、それが自分に備わっているかを確認するのもいいんじゃないかと。
アングラーもまとめれば、その二極になるんじゃないかな。
新しいメソッドを産み出す想像力がある人に、地域のポイントを掌握してシーズンで安定した釣果を得る人とか、プロに至る人はどちらも持っている感じですよね。
だからプロフェッショナルと呼ぶんだろうな……。