ヒラメのリリースサイズを監視する人を「ソゲ警察」と呼んでいる

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ヒラメのリリースサイズを監視する人を「ソゲ警察」と呼んでいる

魚釣りの「リリース問題」は荒れやすい話題。サーフルアーで人気のヒラメは、小さいサイズを”ソゲ”と呼称し、リリースサイズと認識されています。

このルールは暗黙の了解というか、忖度というか、俺たちルールなので、実のところ強制力はありません。SNSでブツ持ち写真を見たら、「それソゲでは?」とリリースサイズを監視しているヒマ人を私は「ソゲ警察」と呼んでいます。

ヒラメのリリースサイズは、各地の条例に沿うべきです。

そもそもなんで「ソゲ」って呼ぶの?

そもそも「小さいヒラメをソゲと呼ぶ理由」について、多くのアングラーはわかってない気がする……。最初にソゲと呼び出したのは漁師らしく、その経緯はこんな感じ。

ソゲの呼称が生まれた経緯

ある漁師:小さいヒラメは市場で売れない……。葉っぱの方がまだ価値があるんじゃないか? むしろコイツ、木から削げ落ちた皮に見えるな。

謎の勢力:「それ頂き!」

ある漁師:!?

魚は学名より、各地で独自の呼称が多いです。その理由は、呼び方で大きさを判断出来るようにし、競りをスムーズにする狙いがあったのではないでしょうか。名前で大きさが解れば、見ずとも値段がわかるでしょ?

──でも、1匹に対して名前が多すぎるのも問題なんだよなぁ。

  • サーフルアーメンの認識するソゲサイズは「40cm以下」が主流
  • ヒラメは(各地の)漁業権で再放流サイズが決まっている

「Q.これはヒラメですか?」「A.いいえソゲです」

ヒラメは高級魚ですし、「おいしいヤツだ!」と国民の多くに認識されています。

一方で”ソゲ”はごく一部のマニアだけ使う専門用語みたいなもの。サーフルアーを始める際に「小さいヒラメ=ソゲ」の知識は必要ないですし、初心者が困惑するだけです。

凄腕アングラーはよく、一般とこんな会話をしている気がします。

それはヒラメですか?

いいえソゲです。

…ヒラメではないのですか?

ヒラメじゃなくて ソ ゲ

一般とマニアの会話はこんな感じになりますね。

専門用語は同じ業種なら短い言葉伝わる便利な言葉。でも知らない人は「ソ……なんて?」みたいに、疎通をさえぎる伝わりにくい言葉でもあります。

小さいヒラメを「ソゲ(笑)」と嘲笑している連中は嫌い

スポーツフィッシングは「魚の大きさを競う」ことから、生鮮市場のように、呼称だけで大きさが伝わる手法は効率がよくていいと思います。

でも小さいヒラメを釣るたび、「ソゲ(笑)」はどうかと。

私はソゲサイズを「40cm以下である」と認識しているし、遠州灘サーフの管轄である愛知県と静岡県で定められた再放流サイズも把握している。「小さいから逃がす」はマナーの範疇。「漁業規定に反するから逃がす」は法律。だから意味合いが違うんですよね。

ソゲサイズを嘲笑するようになった流れは、メディアアングラーじゃないかな。今だとSNSでそれを撮り「またソゲだよ(笑)」と……。リリースするなら早いほうがいいし、いちいち撮る必要なくない? わざわざスマホを出して、カメラ起動して、写真をSNSにアップして──。

一連の行動の無駄さがヤバない?

愛知県と静岡県のヒラメ再放流サイズとは?

愛知県と静岡県は、漁業規定で30cm以下のヒラメは再放流と決められています。詳しくは「JF静岡漁連」のサイトをご覧ください。

漁連紹介 - 静岡県漁業協同組合連合会

私はこの規定に基づき、サーフで釣れるヒラメは「30cm以上なら持ち帰っても問題ないのでは?」と考えているほう。魚釣りのリリース問題で揉めやすいのは、漁業権(法律)と自己解釈(俺ルール)の齟齬による乖離です。

……そもそも40cm以下のヒラメを持ち帰ったところで、「食べるトコないやろ」と感じるのでは? 小さくても筋肉マチョマチョな個体も居るには居るけど、皆が大好きな刺身にするサイズは、40cm以上が望ましいです。

ソゲ警察さんはせめて、このくらいの知識は覚えておけ

ヒラメは捕獲した大きさにより、漁業権で再放流が定められています。その大きさは日本の北から南まで統一されておらず、それが余計ややこしいことになっているのですが……、まとめると以下のように。

エリア別ヒラメリリースサイズ
  • 九州~関西は25cm前後
  • 中部から東北くらいまでは30~35cm
  • 青森~北海道は40cm以下の地域も

なぜ「ソゲ=40cm以下」の認識が強いかを考えると、全国どこでも規定に反しないのが「40cm以下はリリース」なんですよね。 ソゲ警察さんにとってこれは必修科目ですし、最低でも「各地の再放流サイズ」は暗記してからパトロールしていただきたい。

ここで「なぜ魚釣りなのに漁業権を守らないといけないの?」と、疑問をもつ方もいるでしょう。

魚釣りはレジャーと認識され、ただの遊びと思われていますが、漁業権に含まれる「遊漁」に該当します。だから漁師と同じく、漁業規定を守る必要があるため、ヒラメの再放流も地域サイズに倣う必要があります。

魚釣りをライセンス制にしてリリースサイズを明確に決めては?

外国は釣りをするために、「ライセンス」を購入する必要がある地域も。これはルールの遵守を認識させるためでもあり、正しい釣りをしているかを管理しやすいメリットがあります。

実際、資源と自然の保護を念頭にすると、あらかじめ知識をぶち込めるライセンス制度(免許)は有用です。アングラーはたびたびリリースサイズで揉めていますけど、それは法律じゃなくマナーの範疇だから、個人の気分でどうにでも変化するんですよね。

だからヤフー知恵袋にこんな質問が降臨しちゃうんです。

Q.ヒラメのリリースサイズについて教えてください|YAHOO知恵袋
決まりはありませんが、逃したほうがいいかな?と思うようであれば逃してあげてください。

……一部を抜粋しましたが、答えになってないと思いませんか? 決まりがないから正解がないんです。現在の遊漁は自由すぎる! だから厳格に守る漁師に嫌われるし、マナーは悪いしで一般からも白目で見られている。

個人の良識や価値観だから、明確な規定がなく、問題の着地点がないのです。

「40cm以下のヒラメはリリース」の風潮は悪いことじゃあない

40cm以下リリースは、日本全国のヒラメ再放流サイズ規定を守っています

これは悪いことじゃないからむしろ推進していくべき。ただし! 頭ごなしに否定するのはいただけない。そうしなければならない理由を説明できる知識は持つべきです!

ちなみにヒラメやマゴチなど、底に張り付く平べったい系をリリースした場合……。その個体はそこに長く居続ける傾向があると、研究結果でも報告されています。てことはだよ、30cmが翌年50cmになって同じ場所で釣れた──。

なんて、恩返し(?)もあるかもしれませんね。

ソゲ警察を逆探知するには

意図的にソゲ警察をあぶり出すのは簡単です。

小さいヒラメを釣って「ヒラメ釣りました!」とSNSに写真をアップしましょう。すると……「それソゲですよね? 持ち帰ったんですか?」とメッセが来るかもしれません。

魚釣りのリリースは個人の価値観、裁量に委ねられます。

私は「漁業規定にある再放流サイズを守れば持ち帰ってもいいだろ?」派。人にリリースサイズの概念を伝える場合は、いつもここまで説明して、あとは当人の良識にまかせています。

魚を知る

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