キャスティングの飛距離で、アングラー同士がマウントを取り合うこともあるが、それほど重要なことなのだろうか……?
それを知ったところで釣果が増えるわけでもなし、モテるわけでもない。だからメリットについて深く考えている人は少ないと思う。でも対象魚とフィールドによっては要となり、より成果をあげるための技術になる。
今記事では、キャスティングの飛距離をなるべく簡単に測る方法をまとめてみました。
キャスティングの飛距離を測るメリットはどこにある?
特にサーフルアーだと、キャスティングの飛距離は耳タコなほど聞きます。ところが実際にやってみると、「それほど意味なくね?」と感じるようになるでしょう。それは”距離の精度”が必要ないためです。
ルアーフィッシングで距離の精度が求められるのは、ブラックバスやシーバスなど、物陰が多い地域でそこを狙うほうが効率がいい対象魚が主になる。サーフはそのポイントがただ遠いだけの話。
距離の精度は「アキュラシー」と呼ばれます。これが重要になるのは、魚が居る場所を想定した場合のみです。
タックルで飛ばせる距離を把握することで「あそこに投げ込みたい」が実現できる
例えば50m先の橋桁を狙いたい時、40mしか飛ばないルアーだと狙えません。ならばと70m飛ぶルアーを選択しても、50mに抑えなければならない。全力で投げて70mなら、力を何%抜けばいいんだ? という計算ができるかできないかが、アキュラシーに繋がります。
計算せずとも体感と経験で可能になりますが、安定した飛距離を出すのがタックルの役目でもあります。これはゴルフにクラブが数種類あるのと同じこと。
なのでキャスティングの飛距離を測るメリットとは、所持タックルと所持ルアーで出せる飛距離を把握すること。その前提があってこそ、魚がいる場所にエサを届ける効率が上がります。
すると、メソッドを実行しやすくなり、釣果に結びつきやすい! ──てわけ。
投げた対象物までの距離を測る方法
測定のアプローチは2種類あって、アナログかデジタルかで分かれます。
アナログな方法は歩数で測るとか、目測で考えるとか、脳内電卓で算出するなど。キャストした飛距離を測るなら”目測”が現実的。ルアーの飛距離テストだと、巻き尺が使われていますね。
デジタルは測定器を使って瞬時に出せるメリットがあります。ただし誤差があるため信用しない人も多い……。これを参考値にアナログで確実に算出するのが、ありふれた方法かと思います。
ではそれぞれを詳しく掘り下げてみましょう。
アナログな巻き尺で測定する
アナログの巻き尺とは、体育の授業で50m走のラインを引く時に使うアレです。
アナログの強みは誤差がない(ように感じる)こと。巻き尺は素材によって、伸び縮みしたり地面の影響を受けたりと、多少の誤差が生じるのはやむをえない。ただしアナログだからこそ、年配のわからずやを納得させるのに優れているアイテムです。あいつらデジタルを信用しねーからな……。
キャスティングの飛距離を測る場合は、広場が必要になります。
起点に巻き尺の先端を固定し、何でもいいから投げたらタックルをその場に置いて、着地点まで巻き尺を引っ張っていく……。これなら1人でも測定できます。各社の「○mの飛距離!」は、だいたいこの方法で算出しているはずです。
デジタルな計測器で測定する
建築関連など、空間を測定することが多い業務では、すでに測定のデジタル化が進んでいます。
その代表が「レーザー測定器」で、対象までの距離をボタンひと押しで瞬時に算出してくれる優れもの! アウトドアではゴルフの飛距離測定に活用されています。遠くの対象物との距離を測れるから、ルアーの着水点さえわかれば、その距離を測ることができます。
ただし弱点もあります。それは使う状況によって誤差のブレが大きいこと。
デジタルの測量には、「三角視差」「光線の反射」「超音波」など、数種類の測定法があります。三角視差はみんな大好きサイン・コサイン・タンジェント的な算出方法によるもの。光線と超音波は”速度”が決まっているため、反射して戻る時間で距離を測定しています。車が時速60kmで走れば、1時間後に60km走ってるやろ? なニュアンス。
でも誤差が目立つなら、建築の現場で使われることがないのでは?
そんなことはありません。使う側が正確に測れるように使えばいいだけです。
デジタル計測器は使用側に知識があってこそ精度が増す
例えば三角視差の測定を数学の問題にすると、「目線の角度と影の長さだけで木の高さを計算して?」みたいになります。
木の頂点までを求めるなら直角三角形になるため、目線の角度が30度だとするなら、内角の和が180なることを利用して視線と頂点の角度を出せば、三角形の一辺それぞれの長さを求めることができます。アナログの測量機もこれと同じ原理。だから数学はいつどこで必要になるか、仕事を決めるまでわかりかねないものです。
光線と超音波は速度が決まっているため、跳ね返ってきた時間をもとに距離を算出します。これは実際に光の速度を算出した方法と似たような感じですね。ちなみに世界で最初に「光速」を測定した方法は、高速回転する歯車の”隙間”に光線をあて、ぶつからずに反射した時の時間で算出したそう。
これが約180年前に実験されて成功しているんだから、頭のいい人の情熱ってすごいわ……。
──とまぁ、夏休みの自由研究にもってこいの主題を投げかけたところで、デジタル計測器をより正確に測定するために重要なのはなんでしょう?
それは観測側を固定すること。直角三角形なら内角の算出が用意ですし、測定器の高さが決まっているなら、一辺の長さを計算するのも容易になります。だから誤差を少なくするためには、測定器を水平位置に固定してから、対象物を”見る”だけでいいんです。
ワンデバイスでルアーの飛距離から魚の体長まで測れる時代に
ルアーの飛距離はレーザー測定で可能。でもそれで魚の体長を測るのは難しい。写真アプリは対象との距離と陰影で長さを測定しますが、それで飛距離を測定するのが難しい。
これは魚を測る1m程度のメジャーで、100m飛ぶルアーの飛距離をどうやって測るんですか問題、みたいなもの。今までどんなデジタルデバイスも、両方の機能を備えることはできませんでした。ところが、あるクラウドファンディングの製品が、それに近い性能を持って登場しました。

「iPin PRO」はスマホに取り付けるだけで、あらゆる寸法が測定できるデバイスです。
これ1つで室内空間の寸法を測れるし、対象物の4辺を測ることもできるし、離れた距離も測定できる優れもの。とくに室内空間をコンサルするインテリアコーディネーターにとっては、「ちょっとコレで室内の撮影してください」だけで遠隔プロデュースが可能になるから、業務も世界規模になるってわけです。
魚釣りで扱うなら、魚の体長が測れるし、あのナブラまで何メートル飛ばせばいい問題も解決します。
手持ちのタックル全てで、飛ばせる距離を把握しているなら、「80m先にあるナブラに届かせるタックル選び」も可能になるため、データはゴルフでいうキャディみたいな役割を担うことになりますね。ゆくゆくはキャスティングロボみたいなICTの分野にも活用できそうです。
「このルアー本当に○m飛んでるの?」を論破したい人にレーザー測定器
ルアーを投げたら巻き尺を持って沖まで泳ぐ方法もあります。……それは非効率ですよね。 キャスティングの飛距離を手間なく測定するには、大きくわけて3つの方法があります。
- 目測
- ラインのマーカー
- レーザー測定器
”目視”は建築業界で数十メートルの測量をしている人なら概算しやすいでしょう。”ラインのマーカー”はキスの投げ釣りなら一般的。およそ20m間隔でラインの色が変わるため、120mなら「6色飛んだぜ!」と表現します。”レーザー測定器”は最も簡単ですが、高価なのと誤差が難点です。
……ぶっちゃけどれも正確性は乏しい。でも概算しないよりはマシ。
マーカー付きPEラインは、棚取りとキャスティング飛距離で2種類に分類されます。前者は数m刻みで後者は数十m刻み。”飛距離”を測定するなら当然数十mのほうが向いています。
例えば「よつあみ M・O・P・E投げ WX8 200m」のように、4色25mごとを選ぶとわかりやすい。色の順番は決まっているため、覚えておくかメモっておきましょう。
レーザー測定器は対応距離を確認するように! 安物は40m以内が多く、数百mを測定できるのは主に”ゴルフ用”です。
1km先まで測る必要はあるのだろうか……。