一攫千金を狙うならカニとマグロどっちが上だろう……?
マグロ漁師「そらマグロよ」
カニ漁師「いやいやカニだよ」
(2人が口論をはじめたところで)男のドリームを叶えてくれるのはどっちだ!?
【○○漁船】借金のカタをつけるために送られるイメージが強め
裏社会を描いた作品では、「ある漁船に乗る」ことで借金の精算をさせることが多い。女ならお水、男なら船。どっちも”水”が関係してらぁハハッ(乾いた笑い)。
数十万程度なら「ちょっと臓器摘むだけだから」で済みそう。募金箱抱えて1円ずつ10万人から集めるゴリ押しもできる。──借金が数百~千万にも嵩めば、資産と当てがない限り、おいそれと返せる額じゃない。そんな時に過酷な重労働に放り込まれるのが創作のお約束である。実際問題、地下でペリカを稼ぐより、円で稼げる漁船のほうが効率はよさそう(安易)。
じゃあ実際、どれだけ稼げるかを真面目に考えてみましょう。
マグロ漁船とカニ漁船の平均年収とは?
稼げるイメージの強い遠洋漁業の代表格である「マグロ漁船」と「カニ漁船」。その年収は実際のところ、おいくら万円なのでしょう?
平均年収 | 形態 | 備考 | |
マグロ漁船 | 800~1500万円 | 遠洋 | 1年間ほぼ海の上。たまにTV取材がくる。 |
カニ漁船 | 1000~1500万円 | 遠洋 | 漁期のみで約3ヶ月間。死亡率が全職業の中でもトップクラスらしい。 |
──と、されています。
ただし! これは会社員でいう役職クラスの年収ベース。乗船したての見習いは半分以下になります。
年間通して航海を続けるマグロ……。カニは漁期に合わせて短期決戦……。
どちらも嵐の中で寝泊まりする可能性があることや、”過酷”の類義に値する「真冬のベーリング海」が主戦場となるため、精神的に参ったり、海にダイブしてしまったり、船酔いダイエットできたりと、キケンがとってもアブナイ漁業です。
とはいえ、履歴書の経歴に「カニ漁船」とあったら、どんな苦境にも耐えてくれそうですね(ブラックな意味で)。
日本領域内でワンパン財産を築くならマグロかそれともカニか
日本の漁業は慣例があって、「初セリで最もすごいやつ」にご祝儀価格がつきます。
最高落札額/1 | 取引市場 | |
クロマグロ | 3億3360万円 | 豊洲市場 |
松葉ガニ | 500万円 | 鳥取港 |
元旦明けの話題といえばクロマグロの初競り価格であります。豊洲(旧:築地)市場で毎年熱いバトルが繰り広げられており、各メディア取材も必ず来ます。3~5日に水揚げされたクロマグロで最高とされる1匹は、すしざんまいの社長がだいたい億以上で買ってくれます。大間の漁師がよく勝ち取っていますが、いちアングラーでも操業許可があれば参戦することも可能。効率がクソすぎるけど。
一方で高級カニと名高い松葉ガニは、今年の初競りで1杯500万円と過去最高の落札額を記録。単価でいえば「なんだ安いじゃん」と思えますが、一度に捕れる量が全く違うので、平均年収としてはカニ漁船のほうが上になりやすい傾向があります。
マグロ漁船の特集番組が多い謎
新春の番組改変時期には、たいていマグロ漁船特集がぶっこまれてくる謎がある。


とにかくマグロに関するTV番組は多い。Primeビデオは俺に薦めてきたし、世間はマグロに何かご期待をなされているのかもしれない。やはり刺身や寿司がウマイからなのだろうか……。カニは全然見ないんだけどね。
マグロ漁船の特集が多いのは、まだカメラマンが耐えれる環境だからなのか? Youtubeでカニ漁船を検索すると、波高8m前後でも網を入れるクレイジーな動画が見つかるかもしれない。それが世界で最もキケンな漁業の実情である。
年末はカニで年始はマグロ!
遠洋漁船が借金の精算に向いているのは、衣食住がそこで確保される点が最も強い。
生きるためのコストが極限まで抑えられなおかつ高収入。年収がそのまま口座にある状態で地上に降り立つわけだから、ヤの人が効率を優先して放り込むのも頷ける。今のHRテックで「漁船組」からの稼ぎを計算していたら、どんなにボロく楽だったろうか。
そんなわけで漁船ドリームは、つらみはあるけど稼ぐ手段としては最高効率だといえる。
カニは紅白の縁起物で、日本の年末にはかかせない物。年始になればマグロの特集を見て寿司を食べたくなる。赤身の握りも有り体にいえば紅白。どちらも目出度いし、美味しい存在。その需要に答えてくれる方々には感謝を。
クロマグロ漁師の仕事の流儀
ポーン
大間伝統の1本釣り漁師の中でも、随一の腕を誇る方のドキュメンタリー。
この回は釣り人にとって「おっ?」と思うシーンがあります。それはマグロを釣るためのエサであるサンマを、生きた状態に見せるための道具を使っているところ。死んだサンマは食べないけど、ある道具を使って船を流すと、まるで生きたように動くのです。
「ルアーやん?」
これは潮流が激しい磯で使える技かもしれませんねぇ……。