釣行先と釣りたい魚を指定すれば、今もっとも可能性のある答えが返ってくる。
MaaSサービスが魚釣りに導入されれば、そんなことも可能になります。これを便利と捉えるか、自分の意思で決めるのが至上とするか……。これからはその2択になると感じます。
伊豆半島で「観光型MaaS」の実証実験がスタートする
日本初の観光型MaaSの実証実験が伊豆半島でスタートします。
例えば伊豆に来訪してから、「下田海中水族館に行きてぇなぁ」と思ったら、スマホアプリで検索して「ここに行きたい!」と指定します。すると、水族館までの最適ルートを表示し、乗車券から入館チケットまで一括購入(予約)ができます。初見の観光客にとっては便利ですよね。
ルート案内中はGPSとマップで誘導してくれるし、券売機はどこだよと迷うことがありません。アプリが多言語対応なら来日客も安心! ただし専用アプリはDLしておいてネ♪
MaaSって何?どんなことができるの?
MaaS(Mobility as a Service)は交通のクラウド化が最終目標。要点だけいえば、”行きたい場所へAIが案内してくれるサービス”です。
- カーナビが地域の渋滞情報を取得して「こっち空いてるで」と迂回路を提案
- 「アレクサ、上海で火鍋食べたい」といえば空港までのルートとチケットに店の予約まで代行してくれる
- 辺鄙すぎてタクシー通らないし電話するのもなぁ。そうだ、アプリで呼んだろ!
- コミケで効率よく本を買いたいのに時間が…。AI「俺に任せろ!」
- 後輩女「終電…なくなっちゃったね…」AI「待って!あきらめるのはまだ早いよ!23:55発の上り──」
例をあげればこんなことができます。
MaaSの理想形を実現するには、各地域の交通機関のリアルタイムデータと、ルートの最適解を導くプログラムが必要になります。それを活用したのがUberの配車サービスや宅配ですね。更に発展すると自動運転プロセスになります。リアルタイムデータの問題は、遅延なく無線で大量データ送受信が可能な「5G」に期待がかかっています。
これは観光業だけでなく、他のサービスにも適用することができます。
美味しいと評判の店を巡るグルメ旅とか、アイドルコンサートツアーの全通をサポートしてくれるとか、症状に適応する病院までの送迎とか、ルート営業の効率化にサボリーマン防止とか……そして、魚釣りとかね。
「なんだか無性にブリを釣りたくなったぞ!」を叶えるMaaS
ある時期に「ブリを釣りたい!」と、どうしようもない衝動が襲ったとします。
それを叶えるMaaSサービスは、全国のブリ釣果情報からデータを参照し、今はどこで釣れる可能性があるかを調べます。「○県で可能性があるで!」となれば、残るは移動手段と釣り方ですね。
氷見ブリを釣りたいなら富山に行くしかないし、「ロックショアで爆釣したい」なら離島になるでしょう。釣り方はエサかルアーで変わるし、ネイティブか釣り堀かでも目的地が変わります。秋から冬ならショアでも狙えるけど、それ以外はオフショアか海上釣り堀が無難だし──
とまぁ、組み合わせは無限にあるんですよ。ただし、季節ごとの最適解は必ずあります。
その解を提案してくれるのが、全国津々浦々の凄腕ロコアングラー達の経験。”メシのタネ”にもなる貴重な情報をAIに学習させて、季節ごとにどこが一番釣れやすいかを導きだすだけです。
釣行型MaaSはフィッシングガイドのAI化
今は情報も溢れかえっており、全国の釣果情報を集めるのも簡単になりました。ただし、釣れたと知ったところで、釣れるとは限りません。なんたってポイントに魚が居ないと成り立ちませんからね。
”釣らせるための”情報と引き出しの多さで、フィッシングガイドは職業としてなりたっています。
これに個人が勝つには、同様の経験を積むか弟子になるか賄賂しかないですが……「釣行型MaaS」があれば、アプリがガイドの役目を果たしてくれるようになります。
「Aで釣りをしたい」と問えば、「今はこんなのが釣れます。行きますか?」と返してくれる。それは旅行のついででもいいし、地元で何を狙ったらいいかわからない時にも使える。完成すれば非常に便利なサービスですよね。
けれど、アングラー達は”釣れた方法”をもったいぶるから、ビッグデータを集めるのが難しい……。まあメソッドはほぼ統一されてますけど、最重要なのは魚が居た実績と場所ですし、それは誰もが知られたくはない情報ですしね。
例えサービスがなくとも、釣り仲間から情報を集めたり、釣れた地点をマッピングして記録したり、あとは季節ごとに釣れる魚と場所をリストアップしたり──と、ある程度自分で作りあげることはできます。その過程で、特に実釣データが重要なことがわかるでしょう。
そういうデータも貯めておけば、いずれ買ってくれる人もいると思います。
悩める初心者ほど有利になれる!
AIによるサービスの利点は、その人の目的に合った提案をしやすいことです。
TVのAI特集を鵜呑みにしていると、なんでも出来ると信じている方が多いと思う。──でもあくまでプログラムです。それを書いた人たちが想定しうる範囲でしか答えを出せません。なので釣りをしたことがあるプログラマーと、釣りをしたことがないプログラマーでは、AIの方向性が全く変わります。
今後重要になるのは、知能を与えるべき人間の説明能力。それも間に入れる知識と、論理を展開できる人間が理想です。これらがタッグを組めば、無理といわれる職人技も全てプログラム化できます……が、最大の難関が立ちはだかります。
人間と同等の動きを自律できるロボットはまだありませんからね。AIに仕事を奪われるのは、オンライン上などシステムだけで完結できる「銀行」が最も早く、最も多いのではないでしょうか。
MaaSサービスは東京五輪が開催される2020年7月に、ひとつの出発点を迎えるかと思います。本来ならトヨタが「国産完全自動運転のお披露目!」となる予定でしたが、競技場をアプリで多言語案内するモビリティサービスが先でしょうね。
自動運転が事故した責任を、運転者(乗車)・プログラマー(システム開発)・製造企業・通信企業など、ある事例をどこに問うべきかが決まっていません。道交法の改正後にようやく、自動運転の時代が来ることでしょう。
ICTが現在の予想とリンクする目安は2025年くらいじゃないかな。その頃には運転席で本読みながら通勤できるようになっているといいな~。