昔から魚が釣れなかったことを「ボウズ」といいます。ところが、ナウでヤングなルアーフィッシング界隈だと、ノーフィッシュを「ほげる」「ホゲた」といっていることに気づく。
(この違いは何だ……?)そもそも”ほげ”ってなんだよ……。
そのままでも何となく意味は通じるけど、そもそも何故その言葉を選んだのか、気になります。というわけで由来について真面目に考えてみました。
(※2019年8月21日に加筆修正しました)
この記事のまとめ
この記事では、釣り用語の「ボウズ」と「ほげる」の違いについて探っています。「ボウズ」は「釣果がないこと」を意味し、「オデコ」とも言われます。その語源は「魚が釣れない=つるつる坊主」という連想から来ている可能性があります。一方、「ほげる」はルアーフィッシング界隈で使われる言葉で、意味は同じく「釣果がないこと」です。その語源についてはいくつかの説があります。
九州地方の方言では、「ほげる」は「崩れる」や「穴があく」などの意味があり、釣行記録に穴があくことを示している可能性があります。ゲイ言葉としては「女性的な仕草をすること」を意味し、「釣果がない奴らは女々しい」という連想から来たかもしれません。また、プログラム用語の「hoge」は意味のない言葉として使われ、釣果がゼロを示す「無」として使用された可能性もあります。さらに、疲労と絶望から来る「ほげ~」という放心状態を表現しているとも考えられます。
「ほげる」って一体なんなんだよ……
まず”ほげる”のルーツを探るにあたり、同じ意味を持つ釣り用語の「ボウズ」から探ることにしましょう。ちなみにボウズは「釣果が無いこと」を指します。同じ意味で使う「オデコ」もあります。
そもそもボウズの時点で髪はあるじゃ────ハッ!?(閃き)
ほげるに繋がる「ボウズ」の語源考察
- 魚っ気がない→つるつる坊主→ボウズ
- 釣れないからストレスがたまる→毛根が死ぬ→ボウズ
- 釣果がない→ゼロ→髪がない→坊主
ボウズの語源に関しては、おそらく”無い”から連想されたのが、頭髪のないつるっつるの坊主からだったのではないだろうか。
……どうやら「ハゲ」は、いつの時代だって淘汰・嘲笑される存在らしい。
ここで「ボウズ」がなかった場合の例文を──。
「いや~昨日は爆釣だったけど、今日は何も釣れなかったよ~」
「なんだよ、お前ハゲたのかよ(笑)」
これは喧嘩ですよ。それを防ぐために、暗喩でボウズを使いはじめたのではないでしょうか。むしろ坊サンに対する風評よ。
素直に”釣れなかった”っていえばいいと思います!
ところで「ほげる」はどこから来たのだろう?
主観だと、エサ釣り界隈では「ボウズ」、ルアー界隈では「ノーフィッシュ」が使われます。
ルアーフィッシングは横文字連発でシャレオツなイメージが強い。エサ釣りよりも汚れにくく、魚釣りに新規参入する場合、ファッションに優れたルアーからはじめる方も多いでしょう。
その中でも異彩を放つのが「ほげる」です。
魚が掛かると「フィッシュオン!」。お帰り頂く時は「リリース」。そして釣れない場合は「ほげる」。……意味わからなくない? いきなり平仮名ぶっこんで来るし、おまけにその意味がよくわからない。Google先生に聞いて他サイトを参照しても、「魚が釣れなかったこと」だけしか書いていない。
まさか、誰も由来や語源を知らずに使っているのか……?
でもいつから? ……いつから「ノーフィッシュ=ほげる」になったんだろう。方言? ルアーメンだけが使う暗喩? その語源を真面目に考え探求し、理解を深めていこうとする過程で、時間を無駄に浪費していると知る。
それでもいくつか絞り出し候補が挙がったので紹介しましょう。
方言としての「ほげる」
九州地方の方言で「ホゲる」を見つけました(達成感)!
その意味は「崩れる」「穴があく」などの意味で使われています。なお秋田県では「物を散らかす」の意味でほげている模様。もしかしてこれが語源なのだろうか……?
- 釣行記録で”釣れない日”があった→記録に穴があいた→ホゲた!
- 毎回釣れてた場所なのに今日は釣れない→予定が崩れる→ホゲる!
うん、なんだかしっくりくるぞ。
でも使っているのは九州・秋田の方々だし、地方が発信した結果、全国のルアーメンに伝播する影響力はあるのだろうか?(失礼)おまけに連続して釣果がない場合は誤用ですよね?
よし次だ次。
ゲイ言葉・オネエ言葉としての「ホゲる」
方言の後に判明したのは、なんと! ゲイ言葉としての「ホゲる」です。以下は語源の引用。
「釣果がない奴らは女々しい!」「だよネ、あいつらマジホゲてるよネ」……そういう会話からほげてしまったのだろうか。もしかしてルアーメンはオネエ系だった!?
というわけで、ホゲるを大衆で多用しすぎると、ノンケ以外を集める可能性があります。意味もわからずに多用するのは身を滅ぼすゾ☆
意味のない・存在しない言葉として使われる「ホゲ・hoge」
「Homepage」はネット黎明期に「ほめぱげ」といわれたり、「ぱげ=はげ」としても使用されていました。キーボードでのタイプに慣れている人ならわかりますが、「hoge」はホームポジションから打ちやすい文字で、何も考えずでもなんとなく打ってしまう言葉だったりする。
そして「hoge」はプログラム用語の”メタ構文変数”です。通常ユーザーをIDで指定する構文を作成する場合、ユーザーIDを変数に入力する必要があります。まだ仕様が決まらない状況で適当にID付けできないから、代入しても問題ない”意味のない言葉”がhogeなんです。後で置換すればいい話だしね。
- hoge→意味のない言葉→すなわち「無」→釣果がゼロ
もしかしてルアーメン達はプログラマーが多かった?
疲労と絶望…魂が抜けそうな状態からひねり出る「ホゲ~」
アングラー達はいつだって、「釣りに行けば魚が釣れて当たり前!」と思っています。そう思っているからこそ、ノーフィッシュの言い訳を常に考えており、暗喩が「ボウズ」なんですよね。
あれこれ試行錯誤し、長い時間をかけても釣れない場合は、疲労と絶望から「こんなはずじゃないのに……」と、口から魂が出そうな時もあるでしょう。その放心した表情は……
- 1日かけて何も釣れなかった
- 疲労と絶望に打ちひしがれ、思わずでた言葉が「…ほげ~」
- 第三者がそれを見かけて、「こんな過ちは二度とあってはならない」と戒めた結果。釣れなかったことを「ホゲる」と形容した?
使用例としては驚くほどしっくりくる。
私の経験だと、暑い中で一日中メタルジグ(30g)をひたすらぶん投げてぶん投げて……。結果ノーバイトだった時、こんな顔(↑)していたはずです。
以上の考察から最も”らしい”「ほげる」とは?
そんなわけで、ほげるの語源・由来についていろいろ考察しましたけど……、一番しっくりきたのが「崩れる」「穴があく」の意味である九州・秋田の用例でした。釣果記録に穴があく意味での「ホゲる」が、最も”それらしい”と思います。
しかし誰が使って、どうして広まったのかまではわかりません……。それを辿れないってことは、私が「ほげるって何だよ」と疑問に感じるまで、アングラー達は「ほげる=釣れない」とDNAレベルで認識しており、意思疎通できていたかもしれない──と仮定できます。笑顔はどこの世界でも人を嬉しくさせるコミュ手段と同じように……。
さて、ここまで調べることで、それなりに時間を浪費してからこの記事を書いているわけですが、その自分に対してしっくりくるのが──
ホゲました。