東京の名物に「ねぎま鍋」があるらしい。
知ってる? ねぎま鍋。私はもちろん「鶏肉と長ネギを煮込んだ料理」を想像しました。すると「プークスクス!」ってされるんですよ。じゃあどんな鍋だよと問いかけると──。
「いやいや、鮪(マグロ)を使った鍋なんだよ」
……………………は?(半ギレ)
「ネギ+マグロ」でねぎま鍋……だと……?
ねぎま鍋とは「葱(ネギ)」と「鮪(マグロ)」を使った鍋料理のこと。どうせなら「ネギマグ」にしろよ! ちなみに「葱鮪鍋」と書きます。
葱鮪鍋が生まれたのは江戸時代の頃。
今では高級食材の「大トロ」も、かつてはゴミの扱いをされていました。脂が多すぎるため、生食に向いていなかったわけです。
それでも貴重な食料ですから、日本人らしい「困難をなんとかするパワー」を発揮し、生み出された調理法が葱鮪鍋。ようは牛すき焼きみたいなものです。煮込んで脂を落とし、口当たりよくしたわけですね。

ねぎま鍋はどこで食べれるの?
いちおう東京発祥の料理であるため、食べられる店は東京に多いです。
地方でもねぎま鍋を扱う店はありますが、仕入れの関係で期間限定だったり、事前予約が必須のところが主になります。ここまで聞いて「うわ食べてぇ」となっても、すぐ食べるチャンスはなかなかありません。
なら、東京まで行けばいいじゃない!
……そんなわけで、横浜で開催する釣りフェスのついでに、東京でねぎま鍋を食べる機会を作りました。おまけに銀座で店を選んだぜ!
「鮪屋(とろや)」でマグロ尽くしのコース料理をいただく
選んだお店は、銀座インズにある「鮪屋(とろや)」。
名前の通りにマグロを扱った料理が主力。予約のコース料理に、ねぎま鍋があったので即決しました。1人当たり5000円で楽しめるコースだから、本マグロを使うとなれば安いでしょ。2名からコース料理が頼めるのも大きかった。
コースのスタートはマグロのほほ肉から。
マグロづくしは希少部位からですか……これは後も期待大ですね。
カブト煮でほほ肉を食べる機会はあるけど、生の刺身ははじめて。臭みはないし食感はとろとろ。中トロとそぐわない味で、期待していた以上です。
そしてメインのねぎま鍋!
うん、うん。ネギとマグロが確かにいる。
確かにいるが……思っていたより少ない。くっ! これが5000円の限界か!
とはいえ、ふたり分の分量ならこんなもんでしょう。テーブルは4名の席しかないし、4人で頼めば、鍋にマグロが山のように盛られる可能性だってある。それを互いに奪い合うバトルもあるかもしれない。
鍋つゆは関東らしいドス黒さですね。関西人が見ると発狂しかねません。……でも味は濃くないんですよ。どちらかといえば西のほうが濃いくらい。
鍋をつついていると、テール肉の煮込みも来ました。
これがまたウマイのよ。魚に捨てる部位はないんだなと実感します。
過去は捨てられていた部位が、こうして美味しく食べられるのは、もったいない精神から試行錯誤の末に生まれた料理だと思われます。もちろん世界のマグロ市場が近くにあるため、質も関係するでしょう。
鍋のシメは麺か、それとも雑炊か
鍋のシメを何にするかで、よく議論になると思う。
私は麺派。雑炊も悪くないけど、麺のほうがスルッと入りやすいじゃない。東海地方は味噌ベースの鍋が多いから、ウドンやホウトウが選ばれやすいせいもあるかもしれない。
ねぎま鍋のシメに来たのはライスでした。
このドス黒いつゆで雑炊は……まぁこうなるよね。ビジュアルがけっこうキツイすよ。
関東のつゆは、色のわりに味は薄め。西からすると、脳がバグる感覚があります。
つゆを吸ってドス黒くなった雑炊は、見た目ほど濃くはなく、むしろあっさりで、イカスミリゾットと思えばなんてこたぁない。気づけば鍋は綺麗に片付けられていました。
シメに炭水化物で追い打ちするのは、減量を考える身としては愚行だが、雑炊は鍋を綺麗に片付ける知恵と実感する。麺類だとこうはいかないしね。ツユだけ飲むと後から腹に来るし。
東京駅は夜が綺麗だと思う
コース料理はペース配分がしやすくていいですね。
食べ放題は食べることに夢中になるから、話が進みにくいし、後半は満腹で苦しみだす。コースは食事に時間がかかるので、少ない量でも満腹度が高くなる。接待を兼ねる会食で食べ放題を選ぶと、気配りはアピールできるかもしれないけど、話は進まないだろうしね。
帰りはほろ酔いで、なぜ立ち寄ったか不明だけど、夜の東京駅を撮っていました。
いや~……いい夜を過ごせました。
家庭でもねぎま鍋が楽しめる!
ねぎま鍋はマグロを使うので、高価になりやすいし、料理としてマイナーかなと思っていたけど、クックパッドにレシピが意外とありますね。
脂と筋が強めの魚なら応用できます。例えばブリとかね。