伊勢海老の密猟の疑いで、現職の警察官2名が警察官に書類送検されました(ん?)。
和歌山県警と大阪府警での出来事だから、ややこしいようで事は単純明快。「法律違反に組織も上下も忖度もねぇんだよ!」という、すごく当たり前な話。
でも一番恐ろしいのは……正義マンを悪の道へ誘う、”伊勢海老”の魔力ではなかろうか。
エビの密猟はなぜ無くならないのか
伊勢海老の密猟がなくならない理由は、大まかにふたつ。
ひとつは高級食材であること。ふたつは岸壁なら割とどこにでもいること。
堤防で根魚狙いをしている時に、エビが釣れちゃった経験がある方も居るはず(ワイも)。他にも密猟で名高いサザエ・ウニ・アワビなどは、干潮時の磯遊びとか、潜らないと取りにくいため、それほど話題にならない。
でも伊勢海老は、釣り用の仕掛けがあるし、ある程度は狙って釣ることができます。エビ専用の漁業権を持てば違法になりませんが、持つ釣り人が皆無レベルだし、むしろ──「違法(密猟)だと知らない」ほうが多いのではないでしょうか。
大阪の警察官がエビ密猟疑いで書類送検される
タイトルの話題に戻ります──。該当の記事はこちら。
和歌山県の漁港で規則に反する方法で伊勢エビを密漁したとして、県警御坊署が県漁業調整規則違反の疑いで大阪府警の警察官2人を近く書類送検する方針を固めたことが30日、捜査関係者らへの取材で分かった。
https://this.kiji.is/595402392375051361?c=39546741839462401
大阪から和歌山にエビ捕まえに来るのはわかる。だって釣れそうだもの。
伊勢海老といえば、”伊勢”を冠するだけあって、三重県に居るイメージが強い。でもそれは短絡的思考! 水揚げは千葉県が全国一位です。
生息地は千葉県からの太平洋側と西日本ほぼ全域。なので”割とどこにでも居る”高級食材なんです。
伊勢海老を釣っても違法にならないパラダイスはあるの?
伊勢海老は共同漁業権によって、無許可の漁獲は認められていない地域が大半を占めます。
ですが、”全域ではない”。
ちょっと調べれば、密猟にならない場所も存在します。──そこに居れば、ね……みたいな場所になりますけどね。内湾の奥深くとか、砂浜とかね。
ちなみに和歌山県は全域で禁止。大阪から近い広島や四国を調べると、エビが含まれていない地点もありました。彼らはそういう知識がなかったために、犯さなくてもいい罪を、わざわざ犯してしまったわけです。
地図から共同漁業権の情報を調べるには、こちらの「海洋状況表示システム」が便利。
注意してもらいたいのは、たとえ漁業権にソレが含まれていなくても、各市町村の自治体ごとに細分されているため、何が良くて何が駄目なのか──全てを把握するのは非常に難しいこと。
伊勢海老と同じ味がする「ショウジンガニ」狙いを勧めたい
太平洋側の岩礁なら大抵どこでもいる、赤くてすばしっこいカニがいます。それが「ショウジンガニ」。
甲羅は10cm幅くらい。テトラによく張り付いており、穴釣りをしていると脇からエサを盗んでいくニンジャです。隠れてねぇけど。
浜名湖の今切口にも腐るほど居ます。針にワームをつけて、近くに落とせば「ササッ」と掴みに来るし、針が刺さりつつ糸が絡めば釣れます。ちょろいけど、なかなか石から離れない。
コイツ、見た目がどことなく伊勢海老に似ている。そして伊勢海老とほぼ同じ味の出汁が取れます。
それを知らない方が結構多い。
エビは1匹ン千円するのに比べて、ショウジンガニを釣るコストはほぼ無料。目視で捕まえることが出来るし、エギのようなテンヤがあればもっと釣りやすいかもしれない。イシダイのエサにもされるカニだから、安く買うことも出来る。
それが高級エビとほぼ同じ味ですよ。…………まぁ身は全然無いんですけど。
近くの釣り場で見かけたら、騙されたと思って1匹持ち帰り、味噌汁にしてみてください。きっと見方が変わりますよ!
カニ釣りはこちらが参考になるかも。とある釣りの指南書にも、ショウジンガニ釣りがあって驚いたこともあったなぁ……。