時代と共に発展する物もあれば、衰退する物もある。今昔でただひとつ変わらないのは、思いやりとおもてなし。伊勢から大阪へ稼ぎに出る行商人の歴史を運んだ「鮮魚列車」は、惜しまれながらも57年の年月を持って、先日の2020年3月13日に幕を下ろした。
と、思っていたのだが……。
人情極振りの鮮魚列車はなぜ57年も運行できたのか
「鮮魚列車」とは、三重から大阪へ向かう魚の行商人のために運行されていた列車のこと。行商人の専用列車であり、一般は乗ることができない。約2時間半をかけ、三重県の宇治山田駅から大阪府の大阪上本町駅までを繋いでいた。
鮮魚列車が誕生したのは1963年。はじまりは一般乗客との区別のため。
行商人は三重で獲れた海産物を持ち、大阪へと向かうわけだが、一緒に乗り込む”売り物”の生臭さが一般に不評を買っていた。発泡スチロールなどの荷物も場所をとるため、どのみち一般乗客も減ってしまう難点がある。「もう行商専用の車両にしちゃおう。区間も決まってるし定期券オンリーな!」からはじまった。
時代は流れ、行商人の後継者不足と、自動車など他ルートの輸送技術が発達し、列車そのものの需要が減少。盛期は200人を超える乗車があったが、平成中期で50人ほどになり、廃止寸前は数人程度まで落ち込んだ。そして顧客の「伊勢志摩魚行商組合連合会」の組合員も、年々減少を続けている……。
経営目線であれば、廃線もやむなしに思う。乗客の減少が顕著になった時期で、存続の可否が問われていたはず……。だが、近鉄は「社会貢献のため」走らせ続けた(広報談)。
世の中には時代の流れに乗り切れない人も大勢いる。
乗客が2桁から1桁になろうとも、その生き方が”日常”である人々のために、列車は走り続ける。それは全国の過疎路線にも通じる事情である。終わりが訪れるのは最後の乗客か、それとも最後の駅員か……。いずれにせよ、路線が紡いだ物語には、「今までありがとう」。とだけ伝えてあげたい。
新鮮な海産物を求めて買い物客や訪日外国人が集まる大阪市の黒門市場。「魚菊」の二代目店主・刀根正博さん(55)と陽子さん(55)夫婦も列車への思い入れは深い。「知り合いと一緒に荷積みをしたり、お弁当を食べたり。楽しかったなあ」と陽子さん。より早く積み荷を運べる特急列車を利用するようになった今も「思い出の詰まった列車がなくなるのは残念」とつぶやいた。
日本経済新聞:近鉄「鮮魚列車」半世紀の歴史に幕
鮮魚列車を利用した一人ひとりに物語があるはず。半世紀走り続けた列車は、最後の声援を浴びながら、皆の記憶を留めたまま、役目を終えた──。
お待たせ!新しい鮮魚専用列車の運行がはじまるよ!
──まだ終わっちゃいねえ!(ボタン連打で復活)
感動の余韻も冷めないうちに、中2日(2020年3月16日)で新しい列車が登板! 新車両は43種の海産物描いたラッピング車が連結されるが、今までの形態(行商人専用)となんら変化はない。少し変わったのが、観光向けの一般開放(土日祝)もあるようで、鉄道ファンや引退した方々の思い出列車として、新たな出会いを予感しながら物語は続く。
近鉄は行商人が存在する間はきっと運行を続けるのだろう。時代に沿って”やり方”は変化しても、根本にある「お客様のため」も、きっと変わらない。
どうしようもなく「鉄道員(ぽっぽや)」が観たくなった
鉄道員(ぽっぽや)は、北海道にあるローカル線(架空)のとある駅長に訪れる幸福を舞台にした作品。高倉健主演で、共演した広末涼子の人気に火がつく起因にもなった。日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞しており、『自分、不器用ですから……』のセリフは未だに覚えている。
公開は1999年。そうか、もう20年前の作品なのか……。もう記憶リセットされているだろうから、観たら号泣しちゃうんだろうなぁ……。Amazonプライムにあるかな、と探したら会員特典で無料じゃないか。やったぜ! ちょっと泣いてくる!
Amazonプライムは月額500円か年間4900円プランがあり、送料無料やマッハで届くメリットもあるし、ビデオや音楽に書籍も(一部)読み放題がありお得です。初回は1ヶ月無料体験もあるし、期間内に解約すればいいだけ!