トビウオほど、自然界から執拗に追われる存在もないと思う。
なぜなら──空でも鳥に食べられるから。
YouTubeで見たトビウオ動画がせつなかったので書きました。
”この記事のまとめ”
トビウオは、水中の捕食者から逃れるために飛ぶことができる魚で、英名は”Flying Fish”です。しかし、空中では鳥に狙われるため、逃げ場がない悲劇の魚と言えます。トビウオは、味が非常に美味しいことで知られており、特に内臓が簡素で雑味が少ないため、刺身や塩焼き、出汁として人気があります。最大で40cmまで成長し、最長で45秒間飛行することが記録されています。トビウオの名称「アゴ」は、「アゴが落ちるほど美味い」ということに由来しています。
トビウオ「ああ!逃げられない!!」
トビウオは、飛びます(迫真)。
英名は”Flying Fish”、扇状に開く翼のようなヒレで空を飛ぶ魚は、唯一無二の存在。
トビウオの悲劇は、空中に逃げるために進化したことではなく、「美味い魚」として知られていること。
「空中に出たほうが簡単に食べられてしまう」と、空中戦は水中より分が悪いらしい。
水中の敵から逃げるために飛ぶのに、空では鳥に食べられてしまう。あげくは人間にも狙われ、あご出汁として売られてしまう。もはや存在自体が”誰かの食料”と思えなくもない。
そんな姿に、ピクミンを重ねてしまった。
トビウオは海と空を育むベイトフィッシュ
トビウオがめっちゃ美味い魚になってしまったのは、空を飛ぶために体内のある部分を無くしてしまったから。
食べるのは主にプランクトン。内臓はどの魚よりも簡素で少なく、雑味(生臭さ)がないからすごく食べやすい。空を飛ぶほどクセが強い魚なのに、味はクセがありません。
最大40cmまで成長し、大型であるほど長距離を飛びます。ちなみに100mは当たり前、45秒の飛行時間が最長(映像記録)とされています。
そういえば、トビウオが美味い魚だと気づいたのはいつ頃なんだろう。
1947年、ポリネシア人の民族移動の新説を実証するべく、南米のペルーから南太平洋の島まで4,300マイルを航海した「コンティキ号(筏帆船)」の漂流記には、「トビウオがたくさんぶつかってきて、ムカついたから食べるとウマかった」──みたいな一文があります。
人間にしてみれば、食料から飛び込んでくるわけだから、これも長時間の航海に必要だった栄養源だったのでしょう。ありがとうトビウオ!
なぜトビウオは「アゴ」と呼ばれるのか
なぜ飛魚は「アゴ」と呼ばれるのか。
それは……”アゴが落ちるほどウマイから”。
トビウオは飛ぶために筋肉が発達しており、雑味になる内臓や脂が少ないため、雑味のないスッキリとした味わい。新鮮な刺身は極上! 塩焼きやフライの加熱調理もイケるし、練り物は高級品です。
とはいえ、「アゴ出汁」のほうが有名でしょう。
「アゴ=飛魚」は日本海側の呼称で、素干しや煮干しにしたのが「アゴ干し」。それで出汁をとった鍋つゆにラーメンが人気となりました。ふるさと納税の返礼品でも探すことができます。
アゴがトビウオだと知らないまま、食べている方も多いかもしれませんね。
トビウオ料理なら島根におまかせ!
島根県の県魚はトビウオで、夏を告げる魚です。
現地では飛んでいる状態を網でキャッチする伝統漁法を体験できたり、お土産に練り物やアゴ干しが有名で、プライドフィッシュとしても登録されています。
トビウオを狙って釣るのは難しいですが、夏のショアジギングで飛ぶ姿を見たらチャンスはあります。
食性がプランクトンなので、ジグサビキを使えば釣れる可能性はあります。実際釣ったこともありますしね。
もし釣れたら刺身にしてみたりと、上品な味を堪能してみてはいかがでしょうか。