この世は知らない方が損をする世界。
税金は何のために集めているのか。それは国民が安全で安心した生活を互いに補償するため。だから貰える時に貰う権利は、国民ならば誰にだってある。──ただ、その方法をわざわざ教えてはくれない。だから知る必要がある。
というわけで、休業補償に関することを簡単にまとめました。
「コロナの影響で~」なら証拠を集めろ!
まず肝に命じて欲しいのは、「心情だけで訴えて金を貰うのは無理」ということ。
なぜなら、「嘘をついている可能性」が常にあるから。
記憶と心は言葉に紡ぐことはできるが、証明しにくいし証拠にならない。裁判や事故の証言もそうですが、”個人だけの言葉”で、他人(行政)を納得させるのは無理です。
「コロナの影響で給料が減った!」と、いくら涙ながらに土下座をしながら靴を舐めつつ訴えたところで、「じゃあ証拠を持ってきてください」ってなります。ここで「証拠くらい用意できらぁ!」と息巻くと損をします。
だって何も用意せずに訴える人が、わざわざ証拠を用意しますか? こういう時は素直に、「何を用意してくればいいですかねぇ(グヘヘ)」と”相談”すればいいんです。
収益の証拠って何だろう?
収益の証拠になるのは、個人なら給与明細でいいし、源泉徴収票でもいい。事業主なら申告書なり納税証明書があればいい。
ほら証拠、手元にあるでしょう?
無けりゃないで、前年の所得なり住民税の証明書を役所で作れば、概ね月給を割り出せます(所得税は年収額に○%で課税されるため)。給与が振り込まれる通帳でも名義人がわかればイケます。とにかく、給料を貰ったと誰でも判る物を用意すればOK。
コロナによる減給と休業の補償は雇用主とのバトルになる
あとはどう説明するか──。コロナの影響が出始めたのが2020年1月末から、だから2019年度の明細と2020年1~4月までを用意。前年と現在を照らし合わせて、減益していることを明らかにすればいい。
ただし、給料が減った事実だけを相談窓口に伝えても、事態に変化はありません。政府が操業を止めたわけじゃないし、経済がどうなろうが、企業経営は事業主の腕次第ですから、補償は事業主がどうにか捻出するしかない。捻出できない分を国が支払う(補填)するのが経済対策のひとつ。
そのため、従業員が突然の減給や休業による手当を貰えない問題は、まず雇用主と相談する必要があります。支払うのは雇用主だから決める権利もある、というわけ。
現在問題になっているのは、雇用主がそういう仕組を理解していない、もしくはしたくないとゴネている場合ですね。こういう場合は、社労士に相談を持ちかけましょう。労働権利と社会保険を専門とするプロなので、総務が居ない中小は近くに事務所があるか探しましょう。もちろん個人でも可。
休業による一時解雇なら、雇用保険の適用を薦められるだろうし、それならハローワークか労働基準監督署に相談。「休業補償」は雇用主が支払うべき費用なので、基本的に企業との争いになります。雇用主の都合による休業には、給与の6割は補償すべきとの決まりがありますが、その支払い能力がなければ意味がないし、”雇用維持”に関しては、雇用主との話し合いでしか解決できません。
貸付金は無利子でも「借金」です。タダでくれるものじゃない
事業主なら「貸付金制度」があるけど、無利子とはいえ借金です。奨学金みたいなものですね。
今現在潰れそうな企業は、内部留保(会社の貯蓄)がなく、休業手当も出せない状況で手詰まりがほとんどでしょう。日々の売上で自転車操業の個人店が当てはまりやすく、対処としてまずは会社の維持コストを極限まで下げる(水道なり電気を止める。家賃の先送り申請。税申告の延長申請)ことを優先。それか一時的に潰しておく。
従業員を守りたい気概があるのなら、貸付金で雇用保険の見込み支払いをするなり、休業手当を支払いつつ、終息まで気合で店を守るか……。
それとも、入店時にアルコール消毒&体温測定を徹底し、マスク着用だけの入店を許可し、商品も陳列しないかラップでくるんで感染リスクを限界まで下げる。そういった衛生管理を完璧にしても、コストに見合う売上があれば……ですけど。そもそも外出している人がいないから、店頭販売は難しいですね。
感染拡大させないため、「飲食店はこれだけ徹底した衛生管理をすれば営業していいよ」っていうガイドラインがあれば、これほど窮地になることはなかったかもしれない。でもバカな客1人で全てが終わる可能性が高いから、営業しないほうがイメージダウンに繋がりにくいですね。
緊急事態宣言が発出した行政区域では、国が営業中止を命じた業種に限り、休業補償を企業が支払う義務がなくなる可能性もあります。この場合は国による所得補償がされるはずなので、その対象であったことを証明するように準備しておきましょう。
基本的に手続きは雇用主がするハメにはなりますが、企業全体で立ち向かうのがスムーズに事が運ぶでしょう。誰かが先走って申請したりすると目もアテられません。この動きが進むと、株のバーゲンセールがはじまるんだろうなぁ。
確定申告の期限延長が申請できるようになりました
法人税なり所得税の申告は4月16日まででしたが、延長申請すればさらに延ばせるようになりました。所得税なり法人税を払うのがキツイ状態なら延長しましょう。延長申請は申告先の税務署で行えます。
労働に関する相談を行政にすることは、「うちの会社が労基守ってないんです」とチクるようなものです。人事・総務の部署があって、相談しても話が噛み合わない時に頼るのがベスト。
全従業員が同じ立場だろうから、個人で話すよりも結束して話合いをしましょう。なんだかんだで、有休使いきらせてからが補償問題の本番かな。
20年から働きはじめたor新卒入社の場合
地味に困っているであろうのが、20年から働きだしたとか、新卒で4月入社の方々。この場合、感染症のせいで給料が減ったことが当人から説明できないことが致命的。
だから雇用主が用意する書類か証言が必要。就業時に書いたであろう「雇用証明書」があればいいし、雇用主に「在籍証明書」を作ってもらうのもいい。それを用意して相談窓口に話せば、雇用主へ連絡&確認して、「なんで補償してねぇの?」という流れになるはず。
──んで、ブラックだと「そんな人居ません」って言う可能性も無きにしもあらずだから、雇用契約時に署名捺印した書類は確保しておくこと。新卒なら「内定証明書」があるはず。メールでも日付と送信元ドメイン(内定先の)がわかればいい。たとえ無くても、就業したと記録した日記なりSNSの投稿や写真(Exif有)だって証拠になりえます。ブログやメモ帳などは、日付を変更できるため証拠としては弱い。
なんだかんだで、日付署名捺印アリの書面より強い提出書類はないです。まずは自分が弊社で働いている、または働くかもしれなかった証明を確保してから動きましょう。
研修期間でも給与は発生しているし、インターンでも貰う権利はある。労働した時間を自分で記録しておくことが大事。特に手書きの日記は証拠として強い。
「内定取り消しにする企業なんて願い下げだ!」というなら、ハロワで新卒採用枠を探すのもいいでしょう。行政機関の枠でいくつか専用に応募しているようです。
非正規・派遣などで切られた場合
こういう場合に最も立場が弱いのが非正規や派遣。正社員は一方的なクビ宣言も法律上で難しいけど、非正規・派遣は無理やりに「任期満了」「契約終了」で済ませるから切りやすい。
まあ一方的な”切り”は労働者派遣法で違反なわけですが、労働者の訴えが認められた場合に限ります。雇用契約には書類があるのが通常ですけど、日雇いは口頭だけで済ますケースもあるので、”仕事を請け負った事実がわかる物”が重要になる。
仮に認められても、契約元に罰金が課せられるくらいなので、抑制の効果があるくらい。むしろ制度を知らず働く人がほとんどだし、雇用時の契約書もまともに全文読む人も少ないでしょう。大抵読み飛ばしやすい所に、「派遣先の休業による補償はしません」とかあります。そうなってりゃアウトですが、裁判で違法を訴えるのはアリ。
大規模な派遣切りなら集団提訴が定番だけど、個人で訴えるのは弁護士費用なり、法廷提出書類を用意するのが難しい。そういう悩みを抱える方々のために、非正規や派遣の保護に動いているNPO法人に頼るのが確実でしょう。
コロナの影響で職を失った場合、自主的に雇用保険なり社会保険に加入していればそれでいいですが、無いと失業保険を受けることはまず無理。
この場合でも救済措置が無いこともない。
一方的な解雇には、派遣元か従事する会社が「休業補償」を与える義務があります。仮に支払う能力がなくとも、その助成金は企業から国へ請求できるため、従事する企業と共同で国と話し合いする必要がある。これは企業に払う気がないパターンが多いため、こじれにこじれること間違いなし。
個人でなんとかするなら──。事実上「無職」になったから、生活保護を受けるか、貸付金でWHOか日本政府の終息宣言を待つかになるでしょうね。……とはいえ、ある程度の貯蓄や資産があるなら、「それを売ってから」と言われるのがオチです。自主的に雇用保険の未納分を支払えば、少額とはいえ次への繋ぎにする手もありますし、職業訓練を受けて助成金を得つつ次の職を探す方法もあります。
もし雇用保険の未納分を支払う能力がないとか、給料をもらってもカツカツな生活──というなら、カツカツである証拠として家計簿があるとスムーズに進みます。持ち家や自動車などの”資産”を持っていると不利なので、一時的に名義変更するとかね。借家や賃貸なら家賃補助を受けるのは比較的簡単なはず。
現金給付に関しては自分で申請する必要がある
30万円の現金給付が話題ですが、満額貰うための制約はかなり厳しい。その対象は、コロナ前と後で給料が半減したとか、住民税非課税世帯になります。年収換算は以下の引用文を参照してください。
政府の原案によると、給付対象は、世帯主の2月以降の月間収入が1月以前と比べて減少し、年収換算で個人住民税非課税の水準まで落ち込む場合。東京23区内に住む会社員で単身世帯は年収100万円以下、専業主婦と子ども2人の4人世帯では年収約255万円以下だと住民税が非課税となる。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020040600345&g=pol
ようは2~4月の給料が単身年収125万ベース(月給9万以下)、共働きなど世帯収入255万ベース(月収13万以下)に落ち込んでいることを証明できればいい。
例えば単身なら1月に30万貰ってても、2~4月に8万かそれ以下で、これからも休業状態が続くと証明できればいい。共働きだと、どちらかがガッツリ稼いでるなら意味がないため、世帯換算のほうがハードルが高いです。
ちなみに税金を収めている自治体により支給額は異なるし、支給しない可能性もあります。ここまでちゃんと読んでいれば、何を用意すれば申請しやすいかはわかるでしょう。
住民税非課税世帯は、他にも生活保護や障害給付などもありますが、もともと国からの支援を受けているため、今回の給付からは対象外になるでしょうね。もともと非課税の年収だった場合でも、半減しているのであれば、申請しないよりはしたほうがマシでしょう。
ライブやイベント中止の場合、チケット代は寄付金扱いになる
ライブやイベントの中止が相次いでおり、自粛の要請では保証金を受け取るのが難しいため、運営にとっては地獄の日々が続く。自粛中だろうがK1のように開催してもいいんですが、もし感染者が現れた場合、企業イメージのダウンで社会的に死ぬリスクがあります。だから開催しない方がマシなのが実情。
イベント事は客から集金した(or見込み)を元に開催するため、チケット代金を事前に集めるのはそのためです。会場を借りるのも金がいるし、出演者などの人権費だって捻出されています。”お布施”とか”課金”とはよくいったもので、我々のチケ代でライブやイベントが運営されている。
予期せぬ事態で開催できない場合もあるから(台風など自然災害や会場の都合など)、保険で補償してもらえるケースもあります。ただし、自粛による自己判断(運営の判断)による休止は対象外。
COVID-19の流行による自治体からの自粛要請は、自粛を要請(お願い)しただけで、中止しろとまでは言っていない。だから行政に損害金を請求することがまず無理。新たにイベント事業向けの貸付なり補償は提案されたが、借金には違いない。開催の見込みがない限り手を出したほうが負け。
……でしたが、ここからが本題で、演者のために我々が支払ったチケット代は、寄付金扱いになって税優遇される運びになった(まだ決定ではない)。
寄付金は税金控除(限度はある)されます。ようはふるさと納税みたいなもの。
例えばチケ代に1万円払って返金処理しなければ、それは運営会社への寄付になります。運営はそれを運転資金なり、会場の補償に充てることができる。我々は翌年の申告(年末調整)で「推しに1万円寄付しました!」と声高々に宣言すれば、1万円分の税控除を受けることができる。
なのでコミケカタログを買う運動も、寄付ワンチャンあるわけですね。もちろん申告時に「推しに寄付してます」と申請しなきゃ意味ないですよ。
推しが私の金で生き延びれたら死んでもいい
私事ですが──シャニマス2ndLIVEに当選していましてね。よりにもよって、5月2日開催なんですよ。千葉県も緊急事態宣言に含まれるため、イベントの中止要請もやむなしかなぁと……。
流石に(観光へ忖度して)GWに自粛は外しそうと予想していたが、東京都は5月6日までやるっぽいし、まず間違いなく中止になるだろうなと予感しています。
でもいいんだ。1万ぽっちが運営への寄付になるのなら、それでええんや。開催するかしないかは2周年ラジオでいうんだろうなぁ。「推しが武道館いってくれたら死ぬ」のえりぴよさんの気持ちが、少しわかれた気がした。