三密の説明も今更ですが、「密集」「密室」「密接」の三つの密を避けて感染拡大・予防をしよう! って取り組み。──で、海釣り公園などの管理釣り場も閉鎖が相次ぐようになったことで、「三密じゃないから釣りはセーフだろ!」と喚く、残念な釣り人が増えてきている。
「なぜ感染症は人から人へ感染するのか?」、に想像力を働かせていただきたい。
魚釣りは三密じゃないからセーフじゃないのか!?
「魚釣りは三密じゃないからセーフ論」が瓦解したのは、遊漁船の釣り客にCOVID-19感染者が現れ、クラスターかと報道されたから。

報道を見た釣りクラスタ達はSNSで話題にあげ、「釣りは三密じゃないだろ」「釣りは不要不急なのだろうか」を今更議論しはじめるなど、滑稽だった。メディアはここぞとばかりに、緊急事態宣言下でもにぎわう海釣り公園を晒し、危機感ゼロの言葉を巧みに公共へ伝えていく。
──となれば、まるで釣り人全てがそうであるかのように、一般の目に映ってしまうのは当然だろう。
それを危惧しているアングラー達は、偏向報道じゃないかとアピールし、我々は感染予防をしているし、ルールも守っている模範的アングラーだ! と主張する。
……知っての通り、立入禁止区域内で釣りをするバカは後を絶たず、過去からさんざんネタにされている。ちなみに漁港は基本として、港湾関係者以外立入禁止なのは肝に命じてほしい。マナーが良いなら見逃してもいいかもな、の話。
今回ばかりは緊急事態宣言で外出自粛が叫ばれる中であるし、「釣り人はバカしかいないのか!」と世間からお怒りを頂戴するのも致し方ない。しかしながら、釣り人の全てが一部のバカと”同じ”にされるのは気にくわない。
そう感じたアングラーは大勢居るだろうし、あらゆるジャンルでも同様の悩みはある。厄介なファンだって、ヘイトだって、全体からすればごくごく一部なんだ……。でも自分がそうじゃないと証明するのは難しい。「全然知らない人だけど、仲間がなんかスマセン、ヘヘヘ……」と嵐がすぎるのを待つしかない(平謝りの極意)。
海釣り公園がなぜ閉鎖されるのか
海釣り公園など”管理釣り場”の閉鎖が相次いでいるのは、別に不思議なことじゃない。答えはすごく簡単。
もし感染者が現れたら、責任者が責任を取らなければいけないから。
管理釣り場も漁港にも、必ず管理者は存在する。例えば現状でライブコンサートを断行したとして、感染者が現れクラスターと報じられてしまったら……? まず責任を問われるのは開催を決めた運営。次に施設を開放した管理業者。この場合、そもそも誰が悪いかってヘイトは、ライブの開催を決めた運営側に集まりやすい。
露見してしまえば「なぜ開催した」と糾弾され、社会に殺されるのは明らか。個人なら人権保護のために仮名なりぼかすことはできるが、地域ネットワークでバレる可能性は高いし、某県で実際ある投石や落書きなどのいやがらせが横行するのは想像するに易い。
でも感染者だって、発生源からの遠い遠い被害者だ。誰を呪ったって何も解決しない。

釣り場の閉鎖が相次いでいるのは、「利益がなくても、感染者を出して責任追及されて社会に投石されるよりはマシ」と考えた結果。これを”保身”と笑うのは筋違い。経営側になれば、否が応でも閉鎖を選ぶはず。
不要不急で行くな、とか。政治利用するな、とか。ちょっと何いってるかわかんない理由も見かけたりしたが、今の状況で人相手の商売で経営を続けても、ビジネス展開が無理だしメリットもない。むしろ閉めるほうが社会貢献として賞賛されるくらいだ。
休業補償を受けれるかは、地方行政の予算編成と判断次第……。例えば熱海の釣り施設なら、「当施設は地域の重要な観光施設です!」とアピールすれば、休業補償なり収束後の来場支援を受けるのも容易と想像できる。実際日本トップクラスの集客だしね。
一方で10万給付がほぼ決まり、「10万円で釣具何買う?」などと平和な会話も繰り広げられている。それを使うための場所が閉鎖されているというのに、だ。
『不要不急の外出自粛』と言ってんだろーが!
緊急事態宣言による不要不急の外出自粛の促しで、特定7地区の都市部はかなり往来が減少している。たとえ7割でも平時と比べれば十分な結果だし、密の回避に十分役立っている。8割以上を目指すなら、国民総引きこもりを目指すしかない。
「不要不急の外出」に何が該当するかについては、今だに自分で判断できない人がいることに驚く。
生活する上で必需とされる「食料品の購入」や「仕事関係」による行動に制限はかけられていない。それまで制限されたら「死ねっていうのか?」と同義だし、まぁ法律で強制されているわけでもないから、自粛するもしないも自己判断。ただ今の状況で、見るだけショッピングや観光をしていると、世間からバカに映るのは間違いない。
──で、最近は自宅待機疲れと称して、密を避けれるアウトドアや、観光地への流入(コロナ疎開・避難)が増えており、地方への感染拡大が懸念されている。それで失敗したのが石川県かもしれない。

これは外国でも同じ状況。欧州は日照が貴重で日光浴が習慣だから、公園にみんな集まり密集しすぎて「お前らバカか」と政府に閉め出されたし、アメリカ西海岸で「水中ならセーフだろ!」と集まりすぎて州知事が頭を抱えるなど、考えていることは世界共通なのだな、と思い知らされる。フィリ○ンなら大統領がガトリング抱えて巡回してきそう。
キャンプ場は宣言前からコロナ避難が目立っており、メディアで取り上げられ我も我もと集まった結果、青天の下なのに閉鎖を決めた施設も増えている。閉鎖されてもめげないバカ達は、「キャンプがダメなら海がある!」とでも思ったのか、海岸や釣り場に人が集中してしまい、潮干狩り場など磯遊びも閉鎖せざるをえない影響が出始めている。(※浜名湖は不漁でもとから中止)

運動することは健康にいいし、日光を浴びることは免疫力を高めるから、そのための外出はいちおう規制の対象外(ジョギング・近所を散歩など)。だから外で遊ぶことは悪いことじゃない、のだが……。なんでわざわざ”施設”で集まるの? と行政が対応に追われている。
そうなるのも、「三密のどれか一つを避ければ──」と都合よく咀嚼した短絡が多いせい。指示に従う規律はあるが、何が危険なにかを自己判断できない残念な結果といえる。
先の日曜は静岡に緊急事態も出た後だったが、買い物しようとスーパーに近づいたら、新規オープン来溢れた記憶がない駐車場が溢れていて、都知事に密を唱えてほしかった。もちろん翌日にしたよ……。
現在の法律でこれ以上縛るのは無理だし、人の意思と目標をひとつにするのが難しい。だから感染症対策も頭打ちになっているのが現状。
魚釣りも状況によっては密だし空気感染するから
魚釣りの人気ポイントは、お世辞抜きで密になる。
「でも密閉じゃないから大丈夫だろ」と考えた方は、船内ではない船上でなぜ感染したかを考えてほしい。密閉じゃなくても空気感染する可能性は大いにあるわけで、そうなる要因は”風”の存在。

よく言われる「飛沫」てのは、わかりやすく可視化するとプロレスの毒霧攻撃みたいなもの。
無風状態なら前方空中に漂うだけだが、空調の流れや風があると、下手側に飛沫が流れやすくなってしまう。すると風下に居る人はウイルスを口腔にスポッと入れて空気感染する恐れがあるし、体表や服に付着したウイルスを触ってから指を舐めたり鼻をほじったりして、自分から体内に入れて感染する恐れもある。
報道では飛沫・空気感染だけが取り上げられているが、そもそもの主要感染元は手に集約されている。
パンをちぎる時は? ピザを食べる時は? 握手してから手で口を抑えたりとかは? ……日本は箸で食べるから、感染予防に地味ながら役立っている。手洗いとうがいは幼少から教えられるけど、「なぜ手を洗わないといけないか」までの教育と意味が重要視されていない。ウイルスは消毒で殺すより、洗い流すだけでも十二分に効果がある。だから石鹸がなくとも、長く手首から指先へ水を流すように揉み洗いするだけで、薬剤でササッと洗い流すよりも効果はある。
じゃあ安全に釣りができる場所ってどこなの?
漁港や管理釣り場が閉鎖されて、広大なサーフなら問題ねぇだろと思っている方も居るようだが……マスク無しエチケット無しかつ風上でゲホゴホされると、風で流れた飛沫なり呼気が、風下のアングラーに届く可能性は十分ある。
だから風邪を引いている輩に「マスクをしろ!」と口うるさく言うわけ。COVID-19は異様に恐れられているが、予防方法はウイルスによる風邪(コロナウイルス)と変わりない。感染しないさせないを徹底すれば、自然に収束するはずなのだが……。ここまで長引くのは特効薬がないのと、一人ひとりの衛生観念がまだ弱いから。
釣り中なり外で咳をするなら、マスクをしていても胸元を引っ張って、服の中に口を突っ込んで咳をするほうがスマート。マスクは何も考えずに飛沫飛散を抑制することはできるが、だからといってノーガードで咳をしていいとは言っていない。密閉しているわけじゃないから、隙間からウイルスがぽろぽろ溢れるようなもの。
「なぜそうする必要があるのか?」を考えて、ようやく予防とは何かが見えてくる。
どんな釣り場なら安全安心にできるかについては、周りに人気がなくボッチ感しかないポイントなら、他人に迷惑をかけることもない。この条件に当てはまるといえば、魚が釣れず人気が皆無なポイントとか、行くのが困難すぎる源流釣りとか、オンラインなど釣りゲームくらいだろう。
風上から相手のニオイが香ってくる時点でヤバイと思うくらいじゃないとダメ。春から夏にかけての遠州サーフなんて、毎年ヒラメの盛期だから人人人で、密閉じゃないが密であることは留意して頂きたい。
三密はあくまでクラスター防止策のひとつ
COVID-19などの感染症が、人から人へ伝染る要因はなんだろう?
簡潔にいえば”体液”が要因。空気感染するタイプは唾や呼気に鼻水など、主に目・鼻・口から出る体液に含まれている。そのため通常の会話でも危険はあるし、汗を拭ったタオルを嗅いで吸い込むとか、キスをしないセクロスでも可能性はある。ソーシャルディスタンスが叫ばれるのは、”呼気や会話による感染を防ぐ一手”のため。

濃厚接触者に関しては、キャバでお触りやベロチューしたようなエロい意味ではなく、「感染者に近づいた可能性が濃厚」という意味が大きい。なので感染者と同じ空間にいたり、会話をした者がそうだと見なされる。
ウイルスは空中を常に漂ってると思い込んでいる人が多そう。実際は物に付着したり地面に落ちていることが大半で、それを拾って体内に入れることで感染する。施設内なら乾燥していると空調で浮き上がる可能性はあるし、スーパーに並ぶ惣菜の前で咳をして飛沫がかかり、大量の感染者を出す原因になる可能性もある(食中毒でよくあるパターン)。だから感染者の行動履歴を調べて、消毒して周り、感染源を一つづつ潰していく必要がある。
──で、「三密を守れば絶対! 大丈夫!」みたいに報道されているが、それは大きな勘違い。三密は一度に大量の感染者を出す恐れがあるケース(クラスター)を、バカにもわかるよう単純にした言葉なだけ。
本来はどれか一つでも該当するなら避けるべき。……それを「三つのどれかが該当しなければOK」と判断するのは、短絡というより他はない。
そもそもインフルや夏風邪もウイルス由来だから、COVID-19と同様に密ってれば感染する。「風邪はなぜ移るのか?」「なぜインフルで学級閉鎖をするのか?」など、理由を今一度考えて頂きたい。
マスクは感染させないために装着するもの
風邪でマスクをするのは、感染しないための意味合いもあるが、感染者が他人に移さないための配慮として必要。
肺炎は肺に入る空気量が減るため、普段と同じ呼吸量でむせやすくなる。ということは咳もでやすい。「あっ咳が出そう」なんて時は腕で抑えることもできるが、意識せず出るのをとっさに抑えるのは難しい。抑えなければ飛沫が霧散するため、空気感染のリスクが高まるし、落ちたウイルスはしばらく生存し、看病側が二次感染しやすい環境になってしまう。
マスクをして咳をすれば、飛沫が遠くに飛ぶことは防げるから、同一空気内感染のリスクは軽微に抑えられる。だから「咳エチケットって何?」と恍けるアホほど着けるべきなのだが……ご存知の通り、マスクは日々の奪い合いで世界中で品薄状態にある。
日本だけの話でも、使い捨てマスクなら少なく見積もって1日に8000万枚は消費される。1日1億枚生産でギリな状況だが、実際は月産で1億いけるかどうか──になっている。
国民の安心を提供するのも大事だが、施策としては医療用を最優先にしたいところ。厚労省配布はアベノマスク(笑)と散々ネタにされたが、一般は洗って繰り返し使えるマスクなり布あてをすれば消費を抑えれるし、間接的に医療関係者の助けになる。
政府批判をする余裕があるなら、自分はいかに消費を減らせるかを考えるべき。
一般がマスクを買うなら、ドラッグストアを監視するよりも、ネット通販の予約販売が確実じゃないかな。ただし下手すれば、ヤバイ品質をゲットする恐れはあるけどね。今は民間企業がラインを切り替えて生産していたりする。
シャープのマスク販売は案の定というか……見事にサーバーが落ちた。これが日頃ドラッグストアや医療現場で繰り広げられているのだから、危険手当があったとしても逃げ出したい気持ちはわかる。
感染症の知識を得て、正しく恐れよう
新聞やニュースなり報道から情報を得るのは、ハッキリいって時間のムダ。
一日の感染者が○人! 政府の対策は?! ○○でクラスター発生!? ──などなど、知った所で不安になる情報しか得られない。ニュースは結果だけを報じるから、そうなるのも不自然じゃない。けれども、毎日のように耳にしたところで、どんな対策をすればいいかは結局、自分次第なんだよねぇ……。
飲食観光が大打撃を受けるのは、人が移動できないから当たり前。中小が困るのも内部留保がなく自転車操業が多いからだし、非正規や派遣が困るのも雇用保険の加入が絶対じゃないため。今はネットで取引が完了するのと、医療関係以外は全部ダメと割り切るほうがいい。
いくら「客が来なくて大変ですよ~」と報じたところで、じゃあ要請を無視してリスク犯して尋ねてもいいの? って話じゃない。この状況下でも「ここまで感染対策(を互いに)すればいいですよ」のガイドラインが必要なのだが、対策側のコストもあるし、その話はむしろ客側(訪問側)にも必要。
ウイルスを体内に入れないことに尽力する。あとは自分が感染者と仮定し、他人に移さない努力をする。そのためにはどうすればいいかを、一度ゆっくり考えてみるべき。ようするに今は、”引きこもり耐性が問われる状況”なわけ。それでも外出したい、もしくはしなければならない? ならば他人に移さない努力を最大限しよう。

最後に、ウイルスが付着した手で、目・鼻・口に触れることが、感染の主な原因であることは胸に刻んでおいてほしい。
無意識に指を噛むクセはないか? 鼻をほじることが好きじゃないか? 花粉症で目がかゆくて指でこすってないか? ──そういった些細なクセがないか見直すのも重要。何事も”手洗いしてから”を習慣つけるようにするいい機会、そう捉える方が前向きになれるのではないだろうか。
COVID-19だから恐れるのではなく、そもそも風邪を引かないようにするにはどうしたらいいか?を考えて、未来へ正しい知識を共有して頂きたいと願う。