集中豪雨を事前察知するには?

  ※本ページにはプロモーション(広告)が含まれています。
集中豪雨を事前察知するには?

サムネは7月7日の夕方時点の警報・注意報の図。ここまで真っ赤なのは、前年の台風19号以来だな……。

豪雨が来ること予想できますが、集中豪雨なのかは経過するまでわかりません。特に”自分が住む狭い地域の情報”はなおさら。それを調べるためには、「衛星画像」と「雨雲レーダー」を併用するのが効果的です。

気象庁が全般気象情報を出すと大抵ヤバイ荒天と信じろ!

7月3日から続く雨で、九州の各地域は豪雨被害に見舞われています。局地的な大雨被害でよく議題にあがるのが、「なぜ事前予測できなかったのか?」「なぜ事前に避難していなかったのか?」に尽きます。

これは毎回言われており、議論もしているようだけど……、気象庁なり民間運営は、”広義なら注意喚起を必ずしている”のは本当のこと。

今回の豪雨も、東シナ海から活発な梅雨前線が連続して九州へ流れ続ける──までは予想していますし、それは「全般気象情報」で発表しています。(現在は一五号まで発表中)

全般気象情報は主に、大雨や雷に突風やひょうなど、該当地域に起きるであろう荒天に対する注意喚起を促すものです。「こんなの何時出してるんだ?」と思う人もいるでしょうけど、ニュースなどで「○地方は非常に不安定な──」の文言は大抵これを参照しています。

7月2日に出された第一号を参照しますと、2日夜遅くから3日18時までで、九州南部で最大200ミリの降水量と予想しています。

どうです? この数字を見て「避難しよう」と自分で判断できますか? 未来を進み、結果を知った我々はこの数値を”こう見るはずです”。

「過小評価」じゃないか、と。

ニュースだけで「事前の自主避難」をキメるのは無理な話

当時なら「なんだひと晩で200ミリ程度か」と思うはず。実際はひと晩で600ミリを超えた地域もありますし、累計なら1000ミリ超えもザラ。

全般気象情報の難点は、自分の住む地域がどうなるかまで知ることができないところです。全国ニュースは関東圏が主だし、被害発生後は該当地域しか取り上げません。東海地方でも累計雨量なら九州に次ぐほどですし、被害も出ている地域もあるのに、地域ニュースでもロクに取り上げないのよね……。

地域ニュースでも知れるのは、せいぜい「○地方の△県」まで。凸市凸町がどうなるかは、経過情報と事後でしか知ることはできません。というわけで、TVのニュースだけの”受け身”な情報だけで、事前避難を決めるのは無理です。

台風時は避難場所の開設が迅速ですが、それは進路がほぼ決まっているし、誰もがヤバイことを理解しているため。豪雨による避難は、気象庁の事前通告で判断した自治体が自己判断で行うケースが多く、実態は”被害が出てから(避難準備以上)”準備に取り掛かるのが通例。これから大雨が来ることはわかっていても、それが避難指示をするレベルまで発展するかは、起きてみないとわかりません。

西日本豪雨も、台風19号による東日本の豪雨も、全般気象情報なり緊急記者会見で注意喚起はされています。ではなぜ避難が遅れる人が多かったのか──それは、「自分の住んでいる地域がまさかそうなるとは……」の思いが強かったのではないでしょうか。

「じゃあ水没予定の地域から、事前に全員を避難させていれば、誰も犠牲になることはなかったのでは?」

──可能ですけど、現実には無理な話。都市間の移動や避難場所(宿泊施設)はどうすんのってなります。自己判断なら自費でホテル取ればいいけど、同じことが出来ない人もいるわけで、なら支援をどうするかになりますが、そんなすぐカネと人材をポンと出せないことは、コロナ禍でもわかったことでしょう。

球磨川の氾濫でいえば、避難勧告が出された時点で外は視界を遮る大雨、真っ暗闇の中、雷がドンゴロやばい状況の中で避難を開始するほうが危険です。大雨特別警報も氾濫発生と同時くらいだったから──酷ではありますが、行政の指示を仰ぐ判断では常に一歩遅れてしまいます。

集中豪雨から身を守るには、住む地域がこれからどれだけ降るかを、自分で予想する必要があります。それを知るには、「衛生写真」と「雨雲レーダー」を併用するのが効果的です。

豪雨がどれだけ続くかを知るには「衛星画像」を見るべし

今回の九州豪雨がなぜ起きたかは、天気図だけではサッパリですけど、衛生画像を見ると一目瞭然になります。参考は7月7日20時を使います。

衛生画像とレーダーを見比べると、「この雲があの雨を降らせているのか」とわかりやすくなりませんか?

九州にかかる雨雲(梅雨前線)は、衛生画像を見ると、もともと中国で発生しているものとわかります。向こうも豪雨による洪水被害が出ていますが、こちらで報じられることはほぼありません。「世界最大のダムが決壊間近か?!」などとネットで話題になったくらいですね。(いつもヤバイっていわれてるけど)

Yahoo!ニュース
Yahoo!ニュースは、新聞・通信社が配信するニュースのほか、映像、雑誌や個人の書き手が執筆する記事など多種多様なニュースを掲載しています。

中国で雨を降らせた低気圧はある程度弱まりますが、東シナ海を抜ける中で湿気を吸収し、再度発達して九州に訪れているのが実態。この様子は雨雲レーダーでは見れませんが、衛星画像だとハッキリわかります。衛生画像で見る雲は、「濃い白」であるほど活発な積乱雲を表します。それがどんどん九州に流れたのが実態。

ポイントは、雨雲レーダーと衛生画像を”見比べること”線状降水帯はレーダーで判断しにくいですが、衛星画像を時系列で見ると、真っ白な雲が断続的に流れる様子がわかりやすくなります。

衛生画像で雨の強さはわかりにくいですが、雨雲レーダーは強さを視覚化してくれます。互いを比較することで、実際の雲の量でどれだけ降るかを予想しやすくなるわけですね。

気象衛星の画像は過去を振り返ることができます。アニメーション再生すると、天気図では見えない「気流による雲の動き」がわかりやすく、線状降水帯なりゲリラ豪雨がどれだけ続くかを視覚化しやすい。1時間でこれだけ動いたから、あと○分で抜けるかな? とかね。

「天気図」「雨雲レーダー」「衛星画像」を見比べることで、現在の雨量とこれからを予想するのはやりやすくなります。これら3つを理解すると、天気を予想することは難しくなくなります。

次は7月9日の予想天気図。これを見てどこが最も雨が降ると思いますか?

東シナ海にある高気圧が、九州にある梅雨前線を押し出していきます。9日から九州は雨雲から一時的に離脱できます。東日本には日本海に抜けていた前線が戻ってくるため、通過する地域(主に東海・北陸・近畿・関東甲信越)は10日まで、大雨になる可能性があります。なおかつ太平洋の高気圧が前線をブロックするため、西日本は小康状態になりますが、東日本と北日本で強い雨が降る可能性が高まります。

ちなみに梅雨明けはどうなのかというと、右下にある太平洋高気圧くんの頑張り次第。これが日本列島を覆うと真夏の到来ですね。

局地的な大雨予想はでっかい山に雨雲がどう流れるかを意識する

静岡県は地味ながら、3日から雨が断続的に降り続いています。今回のように南西から雲が流れ続ける条件だと、静岡県でも北部の山間部と、伊豆半島でも東側が特に降りやすくなります。

太平洋側(本当の意味での)沿岸部は、山間部の半分以下ほどの雨量です。これはアメダスの累計降水量を見るほうがわかりやすいかな。北部と伊豆半島の一部は黄色表示で、降水量が多いことが伺えますが、海側はそれほど降ってないでしょ?

浜松市を例にするなら、今回は南西から雨雲が近づいているため、紀伊半島の南端で強くなった雲と、海上からそのまま流れてくるのが降っている程度。一時的に強く降ることはありますが、事前に弱まっているのが流れてきている構図です。

一方で北部は中央・南アルプスに連なる高い山々があります。前線は列島中央に位置し、そこへ向かって湿気を引き込むため、高い山にぶつかって急に冷えた雨雲が活発化し、局地的に雨が強くなりやすくなります。ですので、浜松市でも北部に位置する天竜区と水窪(みさくぼ)が最も雨量が多くなっています。

301 Moved Permanently

私は浜松市でも平野部に住んでいるので、今回のように前線が南西から空気を引き込む条件だと、ニュースで騒ぐ「東海地方で最大400ミリ」の地域には該当しにくい。これは直前にあった静岡東部の大雨でも同じです。

さきほど9日の予想天気図を出しましたが、あれを見て何か感じることはあると思います。

「北から雨雲が流れていると平野部はどうなるの?」

浜松の平野部(市街地)で豪雨になる条件は、西寄りから雨雲が近づいてくる場合と、台風なり発達した低気圧が海から直接接近する場合が大半。去年に時間雨量が100ミリを超えて市街地が冠水した時は、愛知県の平野をうまく抜けた雲が、豊田と新城の山で発達し、平野部へ断続的に流れてきた結果でした。

──というように、雲の流れと地形を理解すれば、局地的な雨もだいたい予想はつくようになります

9日は金沢から愛知に前線が抜けてくるため、大雨が北西からだんだん近づいてくる構図になります。風向が南東気味だとヤバ味が続き、西になると前線が抜けたかも……てな感じになるでしょう。釣り人は風向の変化で、低気圧を感じるべきだと思います。

九州があれだけの雨を受け止めたから他は無事で済んでいる

最近は「何十年に一度」を聞き飽きてしまい、何かと「異常気象だ!」と地球へ責任転嫁する傾向があります。……本当にそうなのだろうか?

七夕豪雨 - Wikipedia

約50年前の今日、静岡県では「七夕豪雨(1974年)」がありました。この時はまだリアルタイムで衛星画像は見れなかったし、気象情報はラジオやTVなり新聞を通じて知るだけの時代。これは台風8号がもたらした結果で、今でも「この時期で8個目!?」と驚くことでしょう。まあ今年は少なすぎる部類だけど……。

台風8号は東シナ海を抜けようとしますが、朝鮮半島沖を抜ける際に太平洋から引き込み帯状の雲を形成、それが静岡県に集中豪雨をもたらし、七夕豪雨とつけられました。

台風が引き込む湿気で離れた地域に大雨が降ることを知ったのは、前年の台風19号(令和元年東日本台風)による豪雨が記憶に新しいでしょう。この時は狩野川台風を比較例にしていましたが、それだって約70年前ですからね。地球が誕生してから繰り返している”異常”なんて、大地からすれば”秒”の感覚でしょう。

今回の大雨被害は九州が最もひどく、報道もそこを重点にして報じています。でも、もしも九州が全て平野だったり、高気圧が居座っていたとしたら……? 豪雨被害は中国地方と四国が主であったといえます。

毎年のように梅雨時期は豪雨被害が目立ちますが、目立つ地域があるからこそ、他が助かっていると考えてもいいのではないでしょうか。だからこそ、無事な地域が支援をする必要があるべきだと思うわけです。

【令和2年7月 九州南部豪雨災害支援】被災された方々への支援活動(日本レスキュー協会) - Yahoo!ネット募金
認定NPO法人日本レスキュー協会の募金ページ | Vポイントでも寄付できます。

Yahooサイトを経由すれば、Tポイントによる寄付もできます。コンビニなり商店には募金箱も設置されることでしょう。

特別警報が解除され、若干”終わったムード”が漂っていますが、九州は現在も大雨に見舞われていますし、明日も続く予報です。太平洋高気圧がもっと頑張って、梅雨明け宣言までは気を抜けない状況が続きます。

報道で得る情報は全部「事後」ばかり

熊本の洪水被害から、九州北部も洪水にみまわれ、報道もそれ一色になりました。こうなると、そこ以外の地域の情報がTVを通して一切入らなくなります。

今はPCやスマホを使い、ウェブやアプリで気象情報を地域別で事細かにいつでも見ることができますが、無い人・使えない人はリアルタイムで知ることができません。ここまで私が伝えたことは、ネットで気象情報を得ることが最低条件であります。じゃあ使えない人は何を信じればいいか──。それはラジオなりTVなり防災無線による”報道”でしょう。

8日から9日にかけては、東海地方でも愛知・岐阜が最も降る予報です。「東海地方で最大400ミリ」といったところで、それが東海地方のどこを指しているかまでは報じません。だから情報てのは、常に自分から調べる必要があるわけです。ましてや自然が相手ですから、起こってみないと誰も実感しませんしね。

自分の身は自分で守るのが最善ですし、責任を負うのも自分なので後腐れがありません。異常気象でおかしいと思うなら、なぜ異常といえるのかを学ぶべきだし、天気予報が信じられないなら自分で気象学を学ぶべきです。

興味を持って得た知識は、必ずあなたの力になります。

気象予測をするに参考しやすいサイトなど

Yahoo!天気・災害
天気予報はもちろん、天気に関するあらゆる情報・災害情報を迅速にお伝えする天気・災害総合サイト。全国各地の雨雲の動きをリアルタイムにチェックできる「雨雲レーダー」や、花粉や熱中症、積雪情報など、季節ごとの天気情報も。

Yahoo!天気はアプリが見やすく、レーダー表示までスムーズだから好き。衛星画像も見やすいしね。”自分が居る地域情報”は一番早く見やすいけど、全国のデータを見たい時は数段リンクを踏むからメンドイ。

日本気象協会 tenki.jp - tenki.jp
日本気象協会公式の天気予報専門メディアです。市区町村別のピンポイントな天気予報に加え、専門的な気象情報、地震・津波などの防災情報を提供します。気象予報士が日々更新する日直予報士、花粉や熱中症、スキー積雪などの季節特集も人気です。

tenki-jpは予想天気図が72時間先まで見れるのがデカイ。UIがごちゃごちゃして使いづらいので、天気図を確認したい時だけに利用します。

海の安全情報(沿岸域情報提供システム)

MICSは全国にある海沿いの風速観測地点から情報を得ることができます。各地の風向で低気圧の位置がわかるし、風速で危険度も判断しやすいため、”発達した低気圧”がいる時に使います。台風接近時は2時間に1回は見てる。

Professional weather forecast
50+ weather layers, weather radar and satellite

windyもMICS同様に低気圧の位置を調べるのに使います。約10日先まで時間別の風速を可視化できるため、”天気が非常に不安定”な情報が出された時、低気圧の動きを予想する時に使います。風速はノット表記(kt)なので注意。

川の防災情報 - 国土交通省:"気象"×"水害・土砂災害"情報マルチモニタ
全国の河川の水位や降雨の情報など、水災害に関する様々な情報を紹介しています。

国土交通省が管理する全国の河川状況をまとめたサイト。各地のライブカメラを見れるし、水位のモニタリングも参照できます。自分が住む地域は河川による洪水の恐れがないのであまり見ませんが、河川の付近に住む人は「現在の水位」を見れる状況を作るべきです。

ハザードマップポータルサイト
国土交通省が運営する、「ハザードマップポータルサイト」です。身の回りでどんな災害が起こりうるのか、調べることができます。

ハザードマップは自治体から提示された人が多いでしょう。このサイトは情報量が非常に多く、見づらく使いづらい一面もありますが、検索をうまく使いましょう。例えば「住む町名 洪水」で調べれば、河川氾濫のレベルによって自宅に影響があるかどうかを調べることができます。

……無料で利用できて有能なのはこのくらいでしょうか。

1サイト1サービスで完結したいなら、ウェザーニュースの有料会員になるほうが手っ取り早いかな。運営と会員による現地気象情報の共有が特に強く、リアルタイムの情報を”受け身でとる”には一番でしょう。UIが好かないのでアプリもウェブも使っていません。

自分が使いやすいと思ったサービス、もしくは信頼できるサービスを利用するのが一番!

error:Content is protected !!