外出自粛要請などにより、釣具業界にも影響があったはずですが……。シマノの業績予測がなかなかどうして、いつもと変わらない──いや? まだ上がる予測だと?!
な雰囲気に驚く。
株式会社シマノの2020年12月期 第2四半期決算短信
シマノがコロナ禍でも頑張りすぎている実績を、わかる人にはわかる「財務諸表」などの決算報告で確認してみましょう。
ちなみに”四半期”とは1年の4等分。つまり3ヶ月間の業績デッキオープンのことです。通常、投資家・株主・ライバルくらいしか興味ありません。
前期(2019年1~6月)は”通常営業”といえます。当第2四半期(2020年1~6月)はコロナ禍の真っ最中。普通に考えれば、経常利益はひどいことになっても可怪しくないはず。
なのに、ビクともしてねぇ……。むしろここから上がる予測……だと……?
実は自転車部門が頑張っていた
日本のみならず、世界中で外出自粛が行われていたことは記憶に新しい。5月から緩和されるにつれ、世界は「感染リスクが少ない移動(通勤・通学)方法」に注目が集まります。
となれば、不特定多数が密室に集まる公共交通機関はアウト。おかげでJR東日本など、鉄道旅客業は悲惨な決算に。その背景には、座席数の半減もありますが、多くの企業が電車通勤を自粛気味にした結果でもあります。
そして自動車か自転車での通勤を推奨する流れに。しかし自動車が一気に増えると、今度は渋滞が問題になります。ということで、自転車での移動がマストな雰囲気に落ち着きました。体を動かせるから健康にいいし、開放された外だから感染リスクも少ない……。
ここで自転車の特需が世界中で起きたわけです。
シマノの自転車部門は、世界トップクラスの技術と性能を誇ります。ツールドフランスなり自転車競技マンガの影響もあって、国内でも「自転車といえばシマノ」と、地味に知名度が高い。特にギアなどの部品提供が多く、消耗品なこともあって、使う人が増えたから自然と需要も高まったといえます。
この特需が春(3・4月)の落ち込みを捲くる結果となり、コロナ禍の真っ只中でも、安定した決算を発表した稀有な会社となりました。
レジャー業界でも釣り部門はダメージが軽め?
旅客業の決算は……そらもう、ひどいことになっています。GoToが実質、政府が直接介入する経済支援になりますけど、特需が見込める盆休み期間が絶望的だし、台風シーズンの秋突入まで我慢のしどころ。
前向きに考えるなら、8月まで底値なのは確実だし、政府の息がかかってる企業なら、まず盛り返す可能性はありますね。
同じレジャー部門でも、アウトドア業は三密を避けたフィールドが主戦場であるため、緊急事態宣言後には大勢の企業が盛り返しています。7月は長雨など悪天候が続きましたが、ひどいのは西日本でも一部だったため、全体の消費が落ち込むまではならなかったようです。
シマノの業績だけを見れば、日本も諸外国も”自粛”は守っていたとわかるし、明ければ切り替えて、消費に動いていたことがわかります。特にEコマース(ネット販売)が下支えになっていたようですね。
本来なら釣り客が増えるはずの夏だが…
コロナ禍の影響をモロに受けたのは、管理釣り場に個人営業の釣具店ですかね。
管理釣り場は営業自粛になったし、もともと観光プラスの業態であるから、GoToの集客効果でどれだけ取り戻せるか、が焦点。個人商店は内部留保が少ない傾向があり、2ヶ月営業出来なければ即死な店も多い。が、個人釣具店はテナント運営も少ないし、浜名湖周辺で潰れた話は聞いていませんね。潰れた飲食店が多かったのは、営業できないと家賃が払えないテナント運営が基本だから。
浜名湖は愛知県からの釣り客が多いことは、駐車場のナンバーでも把握しています。現在はお互いにPCR陽性が連日出ていることもあり、互いの行き来が自粛傾向にあります。
浜松市はホテル・旅館がGoTo集客に全振りしているため、軽症者の宿泊施設が確保できなくなっていると聞く。……はてさて、この夏はどうなることやら。