広大なサーフでは、夜明け前など暗闇の中で、地形的にいい場所を探すのは苦労します。
明るい時に離岸流などを見つけるのは簡単ですけどね。
サムネ画像のように、夜間で白波がようやく見える状況においては、初見で良ポイントにたどり着くのは、経験者でも難しいのではないでしょうか。
でもヒントは隠されているものです。
そんなわけで「夜間でもいい地形と離岸流を見つける簡単な方法」を教えます。
目 次
【注意点】夜のサーフには危険がいっぱい
注意事項として──
暗闇のサーフで釣りをする場合、若干(足が入る程度)でも、海に入るのは勧めません。
それは迫る波が見えない理由がひとつで、危険察知がどうしても後手になるところ。
ふたつめは、引き波の先に砂地が見えているとしても、そこから1歩先が「ドーン!」と深くなっている場合もあるから。
ついでに夜にやるメリットは、「空いている」のと「夜間が有利になる魚種」もいる点。
暗闇は不利になる条件でもないです。夜に活性が上がる魚もいますしね。
夜のサーフで良い地形を見つけるコツ
暗闇のサーフでポイントを探すコツは、まず「海岸線を見ること」からはじまる。
とりあえず水辺まで行き、左右を見て海岸線の形状を見る。次に前の海を見て、白波が発生しているかどうかを見る。
これだけの材料で、目に入った範囲の水中の形状から流れまで、大方わかります。
ではその方法を流れで説明していきます。
【STEP1】とりあえず海岸線まで行く
目的のサーフポイントに来たら、まず潮騒を辿りに、ずんどこ進んで海岸まで行きましょう。
足元に寄せ波の先端がくる地点まできたら左右を確認。
とあるチョイ深のサーフポイントの海岸
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日中なら左のように、海岸線も一目瞭然です。夜間では右のように……なーんも見えないですね。
でもこの中にもヒントは隠されているんですよ。
気になるのはここ!(真っ暗だとわからないので若干光度を上げてます)
これだけの情報から考えられるのは、以下の2点。
「逆に流れがあるためか波の発生点が遅れている(離岸流がある)」
「手前より奥の方が浅いため縦方向にある駆け上がりの境界線かもしれない(地形変化)」
波がある一点だけ他より小さい、遅いなどが表れている時は、逆方向に流れがあって相殺されている可能性が高い。
それはつまり、海流があるか、離岸流があるか──に繋がります。岩盤が多い砂浜だと、そこだけ岩が残っているとかもあります。
海底の起伏と波高はリンクしていることを覚えてください。
「さらに暗い場合で、白波もほぼ無い状態ならばどこを見たらいいのか?」
という疑問を持たれたなら、足元に来る寄せ波の長さを確認。
どれだけ遡上してくるか──だけで波の高さはわかるし、高さがわかれば地形の変化もわかります。
これらを理解すれば、海流がどうなっているのかもわかるようになるかと。
波の高さまでわかれば、これで波打ち際のおおよその水深までわかります。
『津波が何故沿岸部で高くなるのか?』を理解しているなら、ここまでは既に理解しているのでは?
波の高さは海底の高低で変化するから、他よりも「高いor低い=水深の目安」になります。
津波の発生要因も揺れではなく、海底が大きく沈降するか隆起するかで発生するからです。
波から得る情報でおさえるべきポイント
- 波打ち際の深さ=全体の水深
- 流れの方向
ここをおさえましょう。
白波が見える状態で、それが低いのにやけに遡上してくるなーって時は、波打ち際が浅い。
波打ち際が浅いってことは全体的に浅めになり、シャローを引けるルアーをスタンバイって流れ。
【STEP2】沿岸の形状から離岸流を特定する
波の高さからおおよその水深は把握できました。次は海岸線を見てみましょう。
外洋に面しているのなら、直線の海岸線はほとんどないはず。
なぜそうなるかといえば、海岸線の形状を作るのが「流れ(海流)」だからです。
イラストの”海岸線が弓なり”になっている部分に着目。
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何故弓なりの形状になるのかというと、「波が寄せて引くことによる侵食」がひとつ。
波が海岸に対して斜めに遡上する箇所は、こういう形状になりやすい。逆に真正面から波が当たる場所では、平坦に見えますが、幅が広い弓状の海岸線になります。
右の図は特殊な例ですけど、「反転流」と呼ばれる流れ。川は均一の流れが一方方向にあるため、よく見かけます。
サーフのように流れが弱い箇所ではあまりないですが、磯では岩と岩の間で発生しやすく、これにより侵食されて、ぽっかり深い所ができたりします。
海岸線の情報からおさえるべきポイント
離岸流は様々な形がありますが、雑誌などでいわれる離岸流は「左右からの流れがぶつかり、岸から沖へと流れる現象」のこと。
これが起きやすいのは海岸線の凹凸。つまり弓なりの箇所です。
日中では水面を見ることで離岸流を判断する紹介が多いです──が、”事象の原理から考えれば”夜間でも簡単に見つけることができます。
離岸流は岸から深く掘るわけではなく、岸から振り下ろすような流れ。なので、離れた箇所に影響がでます。
なので弓なりの部分には”ワンド”といわれるくぼみができやすいわけです。
豆知識としてあげると、”海流が他より強め”の場所には、砂利があることが多い。
これは寄せ波の力で砂利が乗り上げている証拠なので、「他より波の力が強い=海底に傾斜がある」という構図になります。
【STEP3】夜間のサーフはワンドで粘るほうがいい
「ワンド=離岸流がある」ようなもので、夜間でも海岸線を見るだけで見つけやすいメリットもある。
ここには流れが出たり入ったりしやすいから、魚も入ってくる可能性は高い。
なので「粘るならワンド!」と覚えておくのもアリです。
それを見つけるには”沿岸の傾斜”に着目します。
先の汚い絵でも説明がつきますが、寄せ波と引き波の方向がこれで大体わかります。
弓なりの部分は内部で持続的な離岸流が発生しており、岸からは瞬間的な離岸流が発生する。
私はこちらを”払い出し”と呼んでいます。
払い出しやサラシなど、白泡が引き伸びた箇所は魚の警戒心も薄れます。そのためシーバスにはいいポイント。
海岸線の傾斜で沖の水深までわかる理由
これは遠浅とドン深を経験しているとわかります。
これは満潮時と干潮時のそれぞれ頂点に、同じサーフにいくとわかりやすい。”沿岸の傾斜が沖まで続く”ような考えでも構わない。
海岸線を形作るのは”風と波”、海底を形作るのは”流れ”。
これらを理解しておくと、日中でも海岸線を横から見るだけで、「あそこにいい所があるなぁ」とかわかるようになれます。
【STEP4】実釣!
ここまで来たらルアーを投げて「流れ・深さ・海底の地質」を確認するだけ。
深さを知るのに手っ取り早いのはメタルジグ。
60gくらいまでなら(形状にもよりますが)秒速1mくらいで沈降するため、広範囲の水深を知るのにはもってこい。流れを確認するにはプラグ系が向いています。バイブレーションでも可。
サーフで流れの変化があれば、それは離岸流みたいなものです。
ルアーを等速で巻いていて、若干重く感じる時は反対側に流れがあることになります。潮汐でも流れは変化するので、寄せ波と引き波の進む先を確認しつつ、あとは追従していけばいい。
夜間の場合、海岸線の形状を見るほうが手っ取り早く、日中なら波の高さと進む方向をみた方がいいですね。
海面の盛り上がり方でも地形がわかるので、沖合は日中の方がわかりやすいです。