つり人社のブログに、アニメ『放課後ていぼう日誌』を監督した、大隈孝晴さんのロングインタビューが掲載されている。
当人も生粋のアングラー。その経験をどうアニメへ落とし込んだのか──。
釣りもアニメもどちらでも、好きな人に刺さるいい内容!
「あ、ガチの釣り経験者が妥協せず作ってるアニメだ」と思った
アニメの放課後ていぼう日誌ですごいのは、釣りをする所作とか動作の全てがもう、そのまんまなところですかね。モーションキャプチャーしたのかな、と思うくらい。
ネットには「弓警察」とか「ライフル警察」が待ち構えている。ていぼう日誌には「釣り警察」が出動してきそうだが……、実際にやっている人ほど、完璧なアニメーションだと気付くはず。
むしろ、やりすぎレベルなんだなぁ……。
4話の「エギング」回は、実写と見紛うほどのシャクりモーションで驚かされた。「誰がここまでやれといった!」とアニメと釣り好きな人は思ったかもしれない。そうか、わかったぞ、スタッフ全員はきっと釣りバカだ!
この作品のクオリティを維持できたのは、スタッフ内のぶっちぎりで釣り好きな大隈孝晴監督だろう。
監督がどのようにアニメの放課後ていぼう日誌をイメージしたのか。あの繊細すぎる描写と動作はなぜ実現できたのか。釣り人が見ると確実に”謎”と思うスポットに、「月刊つり人ブログ」のロングインタビューは迫っている。
1月の横浜FSで参加声優とのトークショーを見てたけど、あの時点でここまでガチで作りに来るとは思っていなかった。予想以上すぎてもう笑うしかないんだよなぁ……。後続のハードルあがりまくりやでぇ……。
アニメは終わったけど、マンガの放課後ていぼう日誌も忘れずにね
アニメ版『放課後ていぼう日誌』は2020年4月から放送がスタート。
──が、新型コロナの影響で放送が一時中断したり、放送再開後は7月豪雨で作者と舞台地が被災したりしたものの……、困難に立ち向かう世界とリンクしながら、9月に12話1クールを無事に走りきる。評判を聞くと、わりと多くのブヒィを魚釣りの沼へ誘ったらしい……。うんうん、やっぱり二次元だよね。
アニメはアマプラで11話まで見ていた。つり人のインタビュー記事を読んでから、12話までを再度見直しつつ、この記事を書いていたりする。最近は釣りを題材にしたマンガも増えている気はする。
……(ていぼうヒットしたから後続にも)アタリきてっぞ!
ていぼう日誌は舞台のモデルである熊本県芦北町にそこの漁業組合、そして「日本釣振興会」「日本釣用品工業会」と釣り業界も参入し、はては「水産庁」までも取り込んだ。現地では作中に登場する釣具店が聖地巡礼先になっており、原作マンガも販売中!
釣り業界にとっては一大ムーブメントといえる。
アニメ化前からマンガスキーでは密かな人気があったけど、実際放送されるまでは、釣り人界隈でもそう話題にもならなかった感じ。……やがてガチすぎるアニメーションが「サクガガー」勢をも驚かせ、コロナ禍でもアニメファンから再開の声をよく聞いていた気がする。それだけ完成度が高く、釣りをしないファンの支持層も高かったといえる。
作品内は「釣ったら食べる」を徹底しており、生き物が苦手な陽渚が、自分で釣った魚を捌いて食べて美味しくいただく──。その過程が食育にもなるし、命を奪うことへの配慮も勉強できる。この辺は釣り人でも意見が分かれるだろうけど……
アイゴ(バリ)のさばき方をアニメで伝えることは、今後もうないやろ……。
放課後ていぼう日誌は、釣り人が嫌う「外道」にもスポットを中てる。
アイゴは全てのヒレに毒を持つ魚で、堤防や磯釣りでよく釣れる。主に海藻を食べているため、数が増えすぎると、水中に生える海藻が根こそぎ食べられ”磯焼け”になることも。これを減らせる役目は釣り人に託されているわけだが……、作中で夏海が「不味い魚」というように、食味を褒める人はいない。
部長や大野さんのいうように、下処理をキチンとすれば、アイゴは抜群にウマイ魚になる。引きも強いし釣り味もある!
ていぼう部員によるマナー川柳がアングラーの心をエグる
ED前に部員が「今日のひとこと」として、マナー川柳を残すのがお決まり。中には心に刺さる人もいるようなので、全話分をまとめてみた。
- ていぼうの ルール守って サビキ釣り(1話 陽渚)
- 気を付けよう 後方確認 投げる前(2話 真)
- 釣り場ゴミ 拾う数だけ 海きれい(3話 夏海)
- マイ帽子 かぶって防ごう 熱中症(4話 陽渚)
- 大きさと 量ば守って 潮干狩り(5話 悠希)
- オキアミは 流して帰ろう 忘れずに(6話 陽渚)
- ライジャケで 体も心も 浮かびます(7話 真)
- 河川釣り 釣り券買うのが 基本たい(8話 悠希)
- 生き物を 守るイコール ゴミ拾い(9話 陽渚)
- 三年後 もっかいおまえを 釣ってやる(10話 夏海)
- 砂浜に 置き忘れないで 釣針《はり》と糸(11話 陽渚)
- この海を 残していこう いつまでも(12話 ていぼう部)
特に9話の「備えとアオサギ」は、釣り人が遭遇するかもしれない水難事故に対する備えの知識と、釣り人が生き物へ与えている影響について客観的に学べる回。放課後ていぼう日誌の良いところは、初心者の陽渚を育てる他のメンバーが、正しいこととそうでないことを、考えさせながら学ばせていること。
作中では数多くのマナーが登場するが、それら全てを守れている釣り人は、どれほどいるのだろうか。
個人的に好きな回ベスト3で締め
- 1位:れぽーと7「穴釣り」
- 2位:れぽーと4「エギング」
- 3位:れぽーと8「テナガエビ」
まさかなー、アニメでブラクリ使って穴釣りするシーンが見られるなんてなー。自分もここから魚釣りを広げていったので、懐かしさと共感できるところが多かったですね。人が狙いにくい狭い穴ほど釣れるのはわかります。
エギングの回は、「このアニメ、ガチで作りに来てる!」と気づいた回。大野さんのシャクり動作とドラグ音は必見! そしてエギを抱くイカちゃんの動きはエギンガーもうなる出来では? 釣具とくてい部も増えてきた頃。
テナガエビ回のすごいのは”まとめ力”。河川の釣りには遊漁券が必要だが、その必要性と「カネを払って何が変わっているのか」を説明しつつ、高校生からは必須になることを、2分以内でまとめあげているところ。黒岩部長のディベート力と素足とキツネ耳がすこやねん。
アニメもいいがマンガもいいぞ。現在1~6巻まで発売中! 6巻からはアニメから先の展開も。円盤が売れたらきっとキャストかOVAで五島に行くんやろなぁ……(予知)。