スレを打開するのは意外と簡単……でも、実際やるのは難しい。
なぜかといえば、一度釣れた経験を捨てる必要があるから。
流行のメソッドで釣れることが想定だとすれば、釣れなければ想定外になります。じゃあ想定外の事態に対応するには……?
答えは簡単。”あたりまえ”に逆らうことです。
釣れるメソッドに乗るリスク
「釣れるメソッド」は、アングラーなら誰でも知りたいでしょう。
情報誌なり口コミで爆釣メソッドが確立すると、次第に広まっていつのまにか、みんな同じ仕掛けを使うようになります。ファッションのトレンドと似てますね。
大多数が同じメソッドを使うと、見逃せない問題が発生します。
魚は同じ仕掛けを、毎日延々と見せつけられるわけで、「あれヤバイやつだ」と学習しやすくなり、スレの進行も早くなります。
魚のスレは、危険な体験から来る学習(反射)です。キャッチ&リリースが前提のポイントなら、長く続けていると、命の危機を感じた個体ばかりになって、全体がスレてしまうわけです。
そのため、人気ポイントかつリリース前提の対象魚ほど、スレ対策を意識しなければいけません。
新作ルアーはなぜ釣れるのか?
メーカーのHPなりSNSをチェックしている人なら、開発中のプロトルアーの釣果に驚いて、「絶対買わなきゃ!」と思ったことはあるでしょう。
新作ルアーが”釣れやすい”のは当然のこと。
だって、魚がそれを罠だと体験してないから。
ルアーフィッシングを長く続けているほど、ある時ふっと現れる”よく釣れるルアー”は、新製品が多いことに気づくはず。それも気づけば通用しないことにも……。
魚が危険を学習しないのなら、スレの概念は存在しないはず。食べ慣れた、見慣れたエサから逸脱しているほど、警戒を強めるのは当然のこと。
そしてスレは遺伝することが確認されており、キャッチ&リリースかつ閉鎖的なポイントほど、年代を重ねることで、同じメソッド(ルアー)は通用しにくくなります。
特に湖や池のブラックバスは、スレが遺伝しやすい条件が整ってますよね。
だからこそ、バス界が釣り業界の革新をリードしているといっていいでしょう。以前と同じことが通用しなくなるのも、魚釣りではよくあることです。
スレは本当に遺伝するの?
「スレの遺伝」については、こちらの記事が参考になります。
結果は実に明瞭で、釣られやすさが子孫に受け継がれること、特に、釣られにくい個体同士から生まれた子が釣られにくくなることが判明した【図B】。つまり、釣られやすさの個体差に起因する「スレ」の影響は、次の世代まで残る可能性があるということだ。
池や湖など、魚が外に逃げられないポイントは、ロコなメソッドが使われやすい。誰かが「これは釣れる!」といえば、みんな真似をして、メソッドの流行が発生します。
釣った個体をすべて消費するなら、スレが遺伝することもないはず。
釣られたことを覚えた魚をリリースすることは、ポイントのスレを早めるし、当該メソッドの衰退も早めます。
──スレの進行をなんとかするのは、単純なんですよ。
流行りに乗らないことがスレ対策にもなる
ライバルと差をつけたいなら、ライバルと違うことをすればいいだけ。
釣れるメソッドは結果こそ出ていますが、常識だと思い込まないことが大事。常識に囚われていては、個性は生まれません。流行りに逆らうのは個性といえます。
通用しないとわかったら、すぐ切り替えて別のことを試しましょう。
ルアーゲームで大事なのは、魚に罠だと見切られないためのローテーションです。
流行りのメソッドをローテーションすることがカギ
流行りのメソッドは一度通用しているので、「技術(テクニック)」としてストックするのがおすすめ。
技術をストックするのが大事なのは、スレに相対したときの対処に引き出しが増えること。
メソッドは「釣るための技術指南」みたいなもの。多く覚えておいて損はありません。ホームで使えないテクニックだとしても、誰もやらない・やれないからこそ、チャンスがあると思いませんか?
魚は釣られた危険を覚えるはずですが、ずっと覚えているかは定かじゃありません。
ランカークラスまで育つのは、警戒心が特に強く、たくましい個体であるといえます。それでも釣られてしまうのは、隙を見せる瞬間があるからでしょう。
アングラーは「これで釣れた!」って経験を蓄積するほど、釣れない状況を打破する応用が上手くなります。