クロダイのせいでアサリがヤバイ【浜名湖の潮干狩り危機】

近年、浜名湖の重要な観光資源である潮干狩りは、危機状況にある。

水質うんぬんより、そもそもアサリが居ない。減少の原因はいろいろあるが、その中でもとある魚による食害が話題。

 

「クロダイがアサリの稚貝を食べるから潮干狩りピンチ……!」らしい。

 

いったいどういうことなんだってばよ……?

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クロダイのせいでアサリがヤバイ

他県から浜名湖に訪れる人は、ほぼ海水(汽水湖)なことをあまり知らない。

有名なウナギにアサリも、汽水域のほうが好むこともあまり知られていない。多くの水生生物の揺り籠である浜名湖は海のレジャーも盛んです。

その一角を担う「潮干狩り」が、ここ近年で存続が難しくなってきている。

 

http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20160402/CK2016040202000090.html

 

戦後初となった2013年の中止以来、(ようやく)資源保持に努めだした甲斐もあって、翌年は開催できるようになりました。

しかしながら今回は、それを打ち砕く自然との戦いの末、敗北してしまった次第です。

──そういう理由もありますが、本当にそうなのか?を考えてみたいと思います。

そもそもクロダイはアサリを食べるのか?

クロダイはわりとなんでも食べる雑食性。

アサリは砂に潜っているわけですが、食べるといわれるクロダイは、それをどうやって食べるのだろうか……。

 

これに関しては『別の記事』でも書いていますが、掘り出して食べる記録が残っています。

それとは別に、潮干狩り場は養生のため、アサリを撒く必要があります。浜名湖はクロダイとキビレが多く棲息しており、客のために撒いたアサリをつまんでいるのでしょう。

食べた犯人が居ることは、殻のカケラが残っていたことで判明したらしい。

二枚貝ハンター「ツメタガイ」

他にも「ツメタガイ」という天敵も存在しています。

こいつは貝に穴を空けて中身を食べます。エサを求めて移動を繰り返し、行く先々で食事をするため二枚貝ハンターとしてかなり厄介。

これが異常繁殖したのが前回中止された2013年以前のこと。積極的な駆除対策で減少傾向ですし、食べても美味しいほうだったりする。

 

他には大雨で川から泥酔が流れ込み、泥が堆積して酸欠で全滅することも。

赤潮や苦潮も発生しやすく、海藻が潮溜まりに積もって腐り、毒素を出して影響を及ぼすなど、アサリは環境による打撃も致命的なケースが多い。

そのような自然による減少理由もありますが、人的な要因に乱獲や密漁も見逃せません。

 

今年のアサリ不漁の原因としては──

 

  1. 急激な環境変化に逃れる術がなかったアサリが死滅
  2. 追い打ちとして、希望の稚貝がタイ達に食べられてしまう

 

これらが最大の要因でしょう。

浜名湖にクロダイは本当に多いのか?

 

[A.一昨年辺りから”増えた”とはいわれていますが、水揚げ量としては平均値です]

 

浜名湖の釣り対象魚としてはメイン。でも水産資源としてはアサリに叶わぬ微妙な魚。

駆除の名目で捕るほどの悪じゃないし、減れば減ったで釣り人が来なくなる可能性だってある。

店に並ぶとそれなりの値段はするけど、水質が悪めの汽水湖で捕れるのは衛生面で少しリスクがあったりします。タイは刺身のイメージが強いし、値段のわりに”いうほど”美味しくはないから、消費されにくいイメージがあります。

ちなみにアサリをパックンチョされる地域だと、キビレのほうが多いはずです。

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人はまだ水産資源量をコントロールできているようでできていない

 

10年で世界の魚の数を回復できる、研究報告
長らく減り続けている世界の魚の生息数が、わずか10年で回復でき、同時に漁業者の収入も増えるとする論文が発表された。

 

獲るべき魚を獲るのは簡単だが、獲るべきではない魚を回避するのは難しい。

漁業に”網”を使う限り、これは切っても切れない問題点。

 

出展:http://blog.livedoor.jp/shirobakama/archives/2010-09.html

 

シラスのような小魚を獲る網で、他の魚が入らないわけがない。

「獲らなければ増えると誰もが知っているのに、獲らなければ生活できない」

漁業の頭の痛いところはここにある。

 

アサリの寿命は8年ほどとされていて、漁獲推移をよくみると、10年サイクルで水揚げ量が変化している。豊漁から5年かけて減少していき、5年かけて元の水準に戻る──みたいなサイクル。

どの魚介類にも当てはまるけど、獲れば獲るだけ減ってしまうのは当たり前です。

 

潮干狩りを観光利用するうえでの悪循環に、居ないアサリを他所から買い取ることで営業できるようにしたが他所も減ってしまい、国内でアサリを分け合うことも難しくなっている。

これが現在の状況。

水産業の現状は、常にコップから溢れる水だけを飲んでいるわけではなく、じわじわ増えるコップの水をちびちび吸い上げているような状態。

一気に吸い上げると、翌年には全体の量が減るわけで、消耗戦が長く続いている。

一方その頃……有明海ではアサリの稚貝が豊漁だった

 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151219-00010007-saga-l41

 

アサリの水揚げ量全国一位は愛知県だったりします。大きな湾もあるし干潟も多いので、アサリを育てるに十分な環境な揃っています。

しかしながら愛知県側も、潮干狩りを中止する箇所も多い。

豊漁のニュースは嬉しいですが、その後に必ず不漁が待っていることを忘れてはいけない。

何事もほどほどにしないとね。

 

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