自分で新しいリールにラインを巻く際は、下糸の量をどうしたらいいか困る。
これは『割合計算』で算出することが可能。
ついでに「数字に弱いから…」という人向けの方法もまとめてみる。
新しいリールに何故下糸が必要なのか?
リールは糸を巻くもの。よって「糸をこれだけ巻けるよ?」が表記されています。
スプールに「3号-150m」とか書かれているのがソレ。これは糸巻き量とか呼ばれています。
それならば「3号のラインなら150m分巻けば丁度いいよ!」ってことです。
「何故下糸が必要なのか?」については、市販されているPEラインは長さがあるのと、最大飛距離があるためです。
PEラインは「100m」を基本とすると、そこから50m刻みに長くした販売手法をとっている。
そしてルアーをぶん投げた最大飛距離は、せいぜい100m前後がいいところでしょ?
だからPEラインは150m巻きが多いんです。
ここで何か違和感を感じざるをえませんね……
「売っているPE1号は150mなのに、このリールは『1号-400m』になってるんだけど? どうやって巻くの?」と。「400m-150m=250m」の250mはどうすんの?
それを解消するため、テキトーな糸で250m分を補うのが下糸です。
細かいの省いてとあるリールを例に説明します
下糸なしで巻けそう! に見える浅溝スプール(例:ヴァンキッシュ3000HGM)で、PE1号を150m巻きたい場合──。
PE1号なら220m巻ける表記ですね。150mを買って巻くと、70m足りないんですが?
同じタイプで3000番台の「ステラC3000HG」は、PE1号は400m巻ける! 150mだと250mも足りません!
この差を埋める下糸は、安いナイロンで十分。1000m巻で販売もされています。
──ですので、浅溝スプールに使うなら1号、深溝なら3号が妥当です。
計算はおまかせ!数式で算出する理系タイプ向け
「下糸は補うための物」でピンと来る人は多いでしょう。
[A号]で[Bm]巻けるリールに、[Cm]足りないのであれば、それを割合で導いてあげればいいだけです。
例として、ステラに「PE1号150mを巻きたい!」となった時、下糸にナイロン3号を使うならで、計算してみましょう。
参考のステラは『PE1号で400m』巻けるスプールです。つまりこれが100%の状態。
400mに150mを巻くと、どれだけの割合を占めるのかを調べるため、スプールにPEが巻かれる割合を算出します。
PE150mを巻くと、スプールは62.5%の糸が足りないとわかりました。てことは、「ナイロン3号を62.5%巻けばいい」ことになります。
ナイロン3号はスプールに150m巻けるので、150mの62.5%は「93.75m」──。
したがってこのリールの下糸は、「ナイロン3号を93.75m巻いてから、PE1号を150m巻けばいい」と判明しました。メンドクサッ
表記にない号数を下糸に使いたい場合の計算方法
「ナイロン3号は書いてあるけど、2号しか持ってないんだよなぁ…」
そんな時は1つ上の参考数値を使います。
先に算出した62.5%を基本として、ナイロン2.5号の下糸必要量を算出すると112.5m。これに号数(2.5)を掛け、使いたい号数(2)を割ります。
ナイロン2号では140m必要と判明しました。メンドクサッ
スプールに巻く量は「ハンドル1回転の糸巻き量」を参考にする
先の計算で「93.75mを巻きたい」とわかりました。
ですが、何を基準に下糸の長さを判断したらいいのでしょう?
これはハンドル1回転での巻き取り量を参考にします。
本体に書いてあるのはほぼないため、商品の仕様書か、HPのカタログスペックで確認するようにしましょう。先の画像なら”右端の数値”が該当します。
巻取り量は「cm表記」なので、「m」に換算してから計算します。
下糸を巻く時にハンドルを106回転してから、PEを150m巻けばいいということになります。
「あれ? 今何回転…?」とならないようにしましょう(経験済)。
数字に弱いが完璧にこなしたい文系タイプ向けの方法
これが最も確実ですが、面倒な方法になります。
明は簡単「──実際に巻けばいい」。やっぱこれだね。
空のスプールにまずはPE1号を巻いて、その上に下糸を巻く。巻いたらほどいて、下糸から巻けば……完璧じゃん!
ただし巻きの作業が全然巻きじゃないため、時間はけっこうかかります。
『高速リサイクラー』みたいな、ライン巻き機を持っているなら、おすすめできる方法。
計算で頭使わないし、完璧に出来るのはいいものの……、「何故俺はあんな無駄な時間を…」という喪失感に襲われます。
「全部PEで巻いてしまっていいのだろう?」
計算なんてやらない。下糸なんていらない。PEだけで巻けばいい。
ショアキャスティングではもったいないけど、船釣りならこの方法になりますね。
下糸をするメリットとデメリット
主なメリットは「節約」です。他の理由はこんな感じ。
- ラインを再利用(巻き直し)する作業が楽(効率がいい)
- 一度下糸を決めちゃえば、同じ号数のPEなら簡単に交換できる
- 結果的には節約に繋がる
岸からの釣りだと、150m巻いても投げるのはせいぜい80m前後。
ノットを編み込んでチマチマ切ってくとしても、使い終わりの目安は100mになったくらい。
魚に近いほうがボロボロになりやすいので、そうなったら反対に巻いて、フレッシュな気持ちで再開するようにすれば、比較的長い間使えますね。
デメリットは、大きな魚や根掛かりなど、負荷をかけると下糸にPEが喰い込んで、トラブルの元になりやすいこと。
下糸よりPEのほうが細いためにおきやすい宿命です。
それを防ぐため、スプールに装着して嵩上げする「エコノマイザー」もあります。
リール下糸巻き量を算出する方法のまとめ
そんなわけで、割合で計算すれば下糸量を導くことが可能です。
ラインの太さは統一規格ではないし、硬度もバラツキがあるため、計算と現実にズレが生じることはあります。
巻く時の力加減も一因だし、「キッチリ」より余裕をもたせたほうが無難。
シマノの「AR-Cスプール」は構造上、ピッチリで計算すると溢れやすいので注意。
算出した長さから、10mくらい削るほうが無難かも。