とある日の釣行後、雑草の隙間にいる古びたリールに出会った。
泥にまみれ自然と一体化しかけていたが、手に取ってハンドルを回すと
「まだ頑張れるよ!」
と、現役を主張するかのように動いた。
せっかくだから、「どうしようもなさそうな古いリールでも、オーバーホールすればなんとかなる理論」を実践してみよう。
30分で終わったOHの分解記録、はっじまっるよー。
”この記事のまとめ”
この記事では、釣行中に見つけた古びたリールをオーバーホール(OH)し、蘇らせる手順とポイントを詳述しています。リールが泥まみれでも、分解して掃除すれば再び使えることを実証し、OHの重要性とその具体的な手順を説明しています。まず、スピニングリールを分解する方法として、ドラグを緩めてスプールを外し、ハンドルのネジを緩めるなどの基本作業を紹介。その後、スパナやペンチを使ったローターの取り外し方や、逆回転防止機構の腐食部分の清掃など、細かい部品の取り扱いについても解説しています。OHの際に必要な道具として精密ドライバーセットやペンチ、綿棒、グリスとオイルを挙げ、手順ごとに写真を撮ることを推奨しています。また、リールのOHを自分で行うメリットとして、時間の短縮やコストの削減が挙げられ、釣りの合間にリールのメンテナンスを楽しむことの価値を強調しています。
古くてたとえ錆と泥にまみれても、分解してキレイにすればリールは蘇る説
というわけでOH(オーバーホール)をしていきましょう。
OHとは「分解して使える部品はそのまま、ダメなのは交換などして元に戻す修理作業」のことをいいます。
簡単だね!
スピニングリールを分解するのは簡単です。ドラグを緩めてスプールを外し、ハンドルのネジを緩めてこれも外す。
……ここまでは誰でもできる作業。
ローターを外すのはスパナかペンチを使う
スピニングの分解はまず、ローターを外すことから。ローターとシャフトは”六角ナット”で固定されています。これはスパナで緩めましょう。ペンチでもいいですが、ネジをなめる恐れがあります。
メインシャフトの横にあるコンクリみたいな物体は、腐食した逆回転防止機構です。
開けてはならない箱を開けた気分ですが、ここから先は細かいパーツが多くなります。
カバーを開けるにはプラスドライバーが必要
本体にあるプラスネジをドライバーで外していきます。これが意外と錆びてなく、作業がはかどりました。
リールのパーツでも錆びると厄介なのがベアリングです。だけどこのリールは、ベアリングと思っていた物がただの輪っかだった。
……これならハンドルは回るはずだわ。ってことは別の箇所も……?
この簡素っぷりを前向きに捉えると、かなり素晴らしいアイデアなのではないだろうか。コスト減になるし油をさせばなんとでもなるし。
OHをする際の注意点
メーカー毎でクセはありますが、ベイトもスピニングも基本構造は同じ。分解してからの組み立ては、100均のドライバーセットとペンチでもあれば、誰でもできます。
リールを購入すると説明書(仕様書)にパーツの説明が書いてあります。これは構造図になるので、分解・組立の手順書にもなります。部分的な部品発注にも使えるので、なるべく捨てずに持っておきましょう。
この図を見て「わけがわからないよ」と感じる人は、自分で分解するのは止めましょう。
手順書がなければ分解手順を記録しておけばいい
リールの構造は安いほど簡素で、高級なほど精密に細かい部品があったりします。
それを理解していれば、説明書がなくとも分解して元通りにすることは可能です。でも高級なほどパーツが増えるし、”アレをこうしてからじゃないとコレが入らない”──なんてケースもあるので、手順ごとにスマホかデジカメで写真を残すほうが無難です。
抑えるべきは3点。
- 最初に全体図を写真で撮る
- 何かを外すたびに写真に撮る
- ネジ類は外した順に並べるか、部門ごとにしっかり分ける
特に(3)は注意してください。カバーのネジも部分的に長さが変化していたりします。
組立で厄介なのがベイルアームとラインローラーに逆転防止機構
分解は楽だけど、組立するうえで厄介なのが次の3点、
- 「ベイルアームの可動部(カバー内)」
- 「ラインローラー」
- 「リール逆転防止機構」
たち。
この3点はバネを使っていたり、アレをこうしないと入らないなど、面倒な構造をしています。ドラグも面倒だけど、小さいバネがあるベイルアームと逆転防止は特に面倒です。バラした瞬間にバネが旅立つこともあります。
この辺は自信が無ければ触らないようにしましょう。
何個か触れば、「だいたいこんな感じだろ」と感覚でなんとかできるようにはなります。
バラした部品をお湯なりクリーナーで洗いましょう
古いグリスは先に拭き取っておくと洗浄作業が楽。
ギア部分の洗浄は「ブレーキクリーナー」を使うと楽です。
ボディ部分にはなるべく付けないように、塗装が剥がれる恐れもあります。
ギアはちゃんと乾かしてからグリスを塗ってあげましょう。
ネジ類はCRCを吹き付けるほうが、ゴミを洗いつつサビ防止になるので手間が減ります。でもグリス代わりにそれを使うと、金属摩耗が早まるので避けてください。
各パーツをキレイキレイしたら組み立てます
各パーツをキレイキレイにしたら、適宜オイルやグリスを塗って、バラした作業手順を思い返しながら組み立てていきます。
そしたら完成です(アバウト)。
OH時に必要な物などまとめ
私の場合はこれが最低限欲しい物。
- デジカメ(記録用)
- 精密ドライバーセット(やや大きめのプラスとマイナスがあると尚良)
- ペンチやピンセット
- 綿棒とテッシュ(グリスを拭う時とつける時に)
- グリスとオイル
次に「あったら楽になるかもね」的な物。
- ピルケース(ネジの整理に使える)
- 汚れてもいい作業台(ダンボールでおk)
- ゴム手袋(グリスの臭いは取れにくいため。軍手は塵がでるのでアウト)
- 磁力付きのドライバー(ベイトはあると便利)
くらいかなぁ。
自分でリールOHできるメリットとは?
リールのOH・修理は釣具店で頼むことができます。でも実際は製造メーカーに病院送りしていますので、完成までそれなりに時間がかかります。
そのためリール1個しかない状況だと、修理期間中は釣りができないことになります。……釣りに行きたい欲望、止められるかな?
自分でOHできるメリットは、作業時間の短縮化です。
先にいったように、メーカーへ輸送して山積みのタスクから自分のリールが選ばれるのを待つよりは、愛着を持って自分で修理をするほうが、時間短縮にはなります。
今回私がしたOHは、「メーカーに頼めば3週間はかかりそうな作業」です。でも実際の作業時間は30分程度で済んでいます。
メンテナンスは時間を金で買うか手間を楽しむか
日々のメンテナンス次第で、道具の寿命は左右されます。その代表がリールかな。
こまめなメンテはスプレーのオイルを使うくらいで十分です。
ハンドルが重くなったかな? と感じたくらいで、内部のグリス切れを疑いましょう。
釣行後に水道水で洗うだけでマシになるのに、ラインローラーが錆びただの、ギアが錆びただので騒いでる人が多い。そういうのを聞くたび、「水洗いで塩抜きサボってるだけじゃねーの(それは大変でしたねぇ…)」などと、思わず本音が出てしまいそうになる。
「リールを海ポチャしただけで、数日間釣りができない……困ったなぁ……」
なんて悶々と家で過ごすなら、ダメ元で分解洗浄に挑戦してみませんか? まずはバラして戻らなくなっても泣かない値段のリールからはじめましょう。
何個か自分でOHやってみれば、意外と簡単なことに気付くかと。所持しているリールはすべて自分でメンテしているし、動きが鈍くなれば都度OHしています。
その手間を楽しむか、それとも金を出して委託するかは、個人の価値観と時間の使い方次第です。
(了!)