漁で「春を教えてくれる」魚が存在します。
季節は気温の移り変わりによるもの。
そのため「春告魚」は、地域によって異なるのですが、あまり知られていない……。
春告魚といっても年中いるし釣れるよね?
「春告魚(はるつげうお)」は、日本を3つに分けて、3種が知られている。
該当するのは、特定の時期になると産卵のために接岸し、沿岸で獲れやすい魚のこと。
「魚の名前=春告魚」と呼ばれるので、非常にややこしい。
というわけで、全国の春告魚をざっくり紹介します。
北の代表魚「ニシン」
樺太を回遊するニシンは、3月頃になると産卵のため、北海道西岸に寄ってくる。
国産のニシンは乱獲によって減少。
現在流通しているニシンは、ほとんどがノルウェーなどからの輸入品。
「春告魚=ニシン」と知るなら、関東より北の地域が出身である可能性が高い。
北海道の釣り人は、春よりも夏を告げる、サケの解禁日が待ち遠しいことでしょう。
真ん中あたりは「メバル」
メバルは年中釣れる魚ですが、3月頃になると数釣りが可能になる。
1年目の新人がメインで、形こそまだ小さい。
サビキ釣りで1人100匹とか、乱獲自慢に子供をいじめるのはやめましょう。
メバルの産卵期は秋から冬(11~2月まで)にかけて、体内で受精から産卵を行います。
3月はルアーメン的にいうと『アフター』が接岸し、大型の1発狙いから数釣りまでできる時期ですね。
世間一般からすると、「THE春告魚」の認識は高そう。
でもそれは、釣りやすい釣り人目線ともいえるし、漁師はニシンやイワシでしょうね。
西は「サワラ」と「イカナゴ」
名前の漢字に「春」が入るサワラ。
「鰆は春告魚の代表格なのか?」といわれると、実はそうでもない。
産卵期は春から夏、冬は深場に移動するので、サーフで釣れるのは暖かい時期限定。
水揚げ量は関西~九州が多く、質は瀬戸内海産が最も有名。
美味しい時期は秋頃で、釣れやすい春~夏にかけては味が落ちやすい。
脂が乗る冬は「寒鰆」と呼ばれ高価になるが、そもそも獲れにくいからでしょう。
沖縄は「イワシ」、伊豆諸島は「ハマトビウオ」
沖縄は「ミジュン」と呼ばれる魚が春告魚と呼ばれている。
これは地域名で、和名だと「イワシ(総称)」です。
伊豆諸島は「ハマトビウオ」で、トビウオの中では最大種だったりする。
どちらも「煮てよし焼いてよし生でもOK!」と、美味しい魚。
乱獲で個体数が減少しつつ、海水温の上昇で回遊ルートから外れたりと、春になってもあまり来てくれないと、嘆く状態が続いている。
特にハマトビウオは絶滅の危機に瀕したくらい。
現在は資源保護の取り組みによって、数を取り戻しつつある状況。
春告魚らしい魚はニシンくらい
メバルもサワラも、季節限定かといわれるとそうでもない。
ニュースで取り上げやすい初漁から考えるに、ニシンやサンマが季節を感じやすいと思っている。
名前に春が入る“鰆”は、「キングオブ春告魚」の資格がありそうだけど──
君は年中見るよね……。
釣り人の感覚は、「渓流の解禁」が最も春を感じるかもしれません。
遠州サーフにおける春告魚
ヒラメが釣れやすくなる時期は、4月に入って水温が落ち着きはじめてから。
シラス漁が解禁となる、3月21日からが本番って感じ。
その頃より少し前から、東から順々にちょっと育ったイワシが接岸してくる──てのが例年のパターン。
大体3ヶ月に1回のペースでイワシ祭が開催されている気もする。
海が春になるタイミングから考えると、釣具屋やら個人が発信する情報で──
「ヒラメはじまってます!」なんてアピールする頃が、春っぽく感じます。