シマノの「18ネクサーブ(NEXAVE)」は、同社の中でもお求めしやすい値段のスピニングリール。ネクサーブは長らくその役目を担っていた「エアノス」の後継機です。
安いリールは入門用と位置付けられがち。だけどシマノは少し違う。
「うるせえ! いいからウチのリール使ってみろ!(我々が作る機械の、確かな技術に──)」みたいな本音が聞こえる。安くてこんなにイイなら……数万レベルはどんな領域なの……? と、沼に引きずり込む入門用ではないかと。
他の「安くてそこそこ使える」をなぎ倒すシマノのネクサーブ
主観でいう”無難に使えるレベル”のスピニングリールの値段は、だいたい4000円を超えてからだと思います。
世には3000円以下のリールも多いですが、それらはメンテせずに使い潰すほうがマシ程度。しばらく使っているうちに、外装のメッキが剥がれてきたり、ベアリングがすぐヘタったり、ハンドルがガクつきやすくなったりと、道具の値段は質に繋がりやすい。
東西2大メーカー(シマノ・ダイワ)の最安リールは4500円を超えるくらい。
この値段はまさに入門用として申し分なく、いわば”体験版”みたいな位置づけ。ハイエンド製品は、ここから機能を充実したり素材を変えていくことで……、最終的には8諭吉くらいまで成長します。
──で、紹介する「18ネクサーブ」は、同社のハイエンドがいかにヤベーかを使い手に想像させるには、十分すぎるスペックを持っています。
ネクサーブで満足するとハイエンドを持った時チビるレベル
廉価とハイエンドの明確な違いは、製品クオリティと耐久度にあります。
シマノが誇る巻き心地は値段に比例しやすいし、デカい魚に耐えるのも素材の強度が重要です。防水機能があればメンテは水洗いにオイルを差す程度で済むし、何より「軽く、強靭に」なっていくのがハイエンドの特徴です。
ネクサーブは釣具の量販店なら、どこでも展示してあるリールなので、まずは試しにハンドルを回してみてください。そしたら他社の5,000円以下を回してみれば、巻き心地はネクサーブが上と感じるはず。
「およそ4,000円台と思えないクオリティなのに、8万台のステラはどれだけスゴイのだろう?」
そう思わせる魔法みたいなリールですが、ショアゲームなら大体対応できる万能なリールでもあります。
16エアノスと18ネクサーブの重量差
エアノス2500番は260gに対し、ネクサーブ2500番は255g。ちなみに18ステラは205gです。総重量に5gしか差がないってことは、この価格ではこれが限界ってことですかね。
ネクサーブはスリムでオサレ感が増しているので、見た目補正はエアノスより向上しているかと……。スプール周りを計量化することで、ハンドルのレスポンスを向上させたのが特徴です。なのでシマノらしい巻き心地はそのまま。
ドラグが少しぎこちないけど、「この値段ならこんなもんだろう」で全て丸く収まるマジック。
廉価だけど番手の豊富さとハイギアで多様な釣りをサポート
ネクサーブの番手は「1000~8000番」まで。
2000番以上はHG(ハイギア)モデルもあり、陸っぱりのエサとルアーで困ることはないほどの豊富さがあります。陸っぱりなら5000番台までで十分です。8000番はショアジギングの入門用にいいかと。
汎用性を取るなら「4000HG」がオススメ。ライトタックルや管釣りトラウトなら2000番台で十分かと。
どうしても拭えない見た目の安っぽさ
商品説明に、こんな一文があります。
このクラスでは例のない高輝度の塗装をはじめ、高級感を演出するメッキパーツをふんだんに使用。さらにスプールには飾り穴加工を施すことでスタイリッシュな印象を高めた軽快スマートモデル。
メッキを多用するとピカピカして「高そう」なイメージを植え付けてくれます。ただし、いずれ剥がれてくる運命だから、メッキは嫌いなのよね(個人差)。
外見は綺麗にまとまっているし、遠目からは何の違和感もないけど、触れるとわかるのが素材の安っぽさです。まあ値段相応と考えれば、享受して扱いましょう。
やりたい釣りで選ぶ「18ネクサーブ」のおすすめな番手
- アジングや管釣りトラウトなら「2000番台」
- サビキなど岸壁で真下に落としたりちょい投げ程度なら「3000番台」
- ブッコミや投げウキ釣りを楽しむ程度なら「3000~4000番台」
- 生餌や泳がせでそれなりの大物を狙うなら「5000番台」
- デカイリールを体験したいなら「8000番台」
18ネクサーブにはハイギアモデル(HG)もあります。ハイギアはよく”ハンドルが重くなる”と敬遠されますが、1回転で巻き取る量が多いため、仕掛けの回収スピードがあがり時間効率がよくなるのがメリット。実際使えば「別に重くないだろ」と感じるはず。
初心者が最初に選ぶリールとしては、最適なリールかもしれません。
無駄に番手が多いため、或る釣りに向いている大きさを選ぶ知識を養えます。ステラ1台でネクサーブ20台くらい買えるため、番手を揃えてタックルを使い分けることがしやすくなります。
何より……これに慣れると、ハイエンドを持った時の感動がひとしおです!
上でも例に出しましたが、これと同じ大きさのステラだと、50gも重量が違います。それでいて巻き心地は業界最高峰だし、魚に壊されることもまずない強度も兼ね備えています。
ネクサーブのような廉価リールから、値段を徐々に上げつつ経験を積んでいくことで、”違いがわかるアングラー”に成長できます。
高ければイイのは当たり前。評価する立場になりたいのであれば、(値段が)多様なリールに触れるのも重要ですよ。
