銀色の魚は光を反射することで、敵に見つかりにくい性質があります。銀色といえば「アジ類」が多いですね。中でも”とあるアジ”の隠れっぷりが忍者らしい。
魚は海のニンジャ
ナショジオの特集記事で、「魚が水中で姿を消せる理由」の研究について、詳しく開設されています。
ざっくり要約すると──
「斜め45度からとあるアジを見ると、やっぱり見えなくなることが判明した」
ということ。……うん、わかりにくいね。
研究者たちは以前から、シロガネアジやメアジのような銀色の魚が、体表の色をカムフラージュに使っているのではないかと推測していた。光を別の方向へ反射させれば姿を目立たなくできるからだ。
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/112600339/
アジのステルス性が高いのは、「偏光」による効果です。偏光について簡単に説明すると、「光の波長の方向(ベクトル)」のこと。
偏光を理解するには、鏡で自分の顔を見るといいかもしれない。
正面で鏡を見ると、自分の顔が映りますよね? ──じゃあ斜め45度にしたら? 鏡の向いている方向が映されますが、自分は見えなくなるはずです。物体が目に映るのは、対象の光が届いているから。だから対象物までの光線を意図的にねじまげれば、それは見えなくなります。
特殊な体表がステルス機能を実現しているシロガネアジ
記事中で紹介されているNINJYAアジは「シロガネアジ」。
こいつの体表には「小板」があり、これが1枚1枚鏡のような性質を持っています。小板は無数にあって、それらが不規則にあっち向いたりこっち向いたりしている。目で捉えようとすると、こちらの目に届く光が極小となり、まるで消えているように見える──ということ。ようは「生まれながらの偏光体質」なんです。
「外洋は身を隠せる場所が少ない……。なら他の魚から見えないよう、偏光しちゃお!」
カムフラージュ効果が最も高かったのは、魚の頭または尾から45度の角度に対してだった。これは捕食者が狙ってくる角度であるため、理にかなっているともいえる。
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/112600339/
──なんてノリで転生を繰り返したかは知りません。進化は本当にしているのか、外敵から身を守るためにパワーアップしたのか、は疑問です。答えが見つからないからこそ、生物の研究は面白いんじゃないかな。
NINJYAなアジのシロガネアジはこんな顔
シロガネアジはどんなヤツなのかと言うと、こんなヤツ。
なるほど……こりゃ、水中だとわかりにくいかもしれない。斜め45度から見ると鏡そのものだろうなぁ。
水中ステルスに「小板」が使われていると先ほどいいました。それがステルス性を高めているのであれば、現実世界の我々人間同士にも、同じ効果はあるんじゃないだろうか。……と考えるのは、敵から身を隠したい「軍」が研究を支持しているようです。
この研究は米海軍が支援している。外洋で姿を隠す方法が分かれば、有効活用できるからだ。魚の行動の解明という科学的価値に加え、観光客向けのエコロッジ(環境負荷を最小限に抑えた宿泊施設)周辺で海の景観を乱す物体を目立たなくする、調査用の潜水艇をより見えにくくする、魚から見えやすい釣り用の疑似餌を作るなど、人の活動に関わる応用も考えられるとブレイディ氏は話している。
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/112600339/
対象から見えにくい研究があるなら、対象から”見えやすくなる”研究もある。
「魚から絶対に見えるルアー」がもし生まれたら、ルアーフィッシングの様相にも変化が生まれるのではないでしょうか。