「TUNA SCOPE」とは、マグロの目利きに特化したAIアプリ。尾の断面をカメラでパシャるだけで、等級など目利きに必要な情報を知ることができる優れもの。
とうとう(スマホがあれば)誰でもマグロの目利きになれる時代に突入したか……。
マグロ目利きAI「TUNA SCOPE」の実力
マグロの競り前は、目利き達が見て触って欲しい物を判断しています。その技術は”相伝”によって現代まで洗練され続けていますが、ここに来てIT化の流れに乗ってきたらしい。その背景には後継者不足問題もあります。
「TUNA SCOPE」は尾の断面を撮影するだけで、AIが等級など身質を判断するアプリケーション。焼津の水産企業と協力して、4000万近くの断面画像から機械学習し、新たなデジタル目利きが誕生しました。
マグロの競りといえば築地の花形。豊洲に移転してからは、気軽に取材なり見学できる状況でもなくなり、以前よりも話題になりにくくなった感じがります。目利きは新規参入も少ないし、技術よりも経験が物をいう世界。若手は基本的に”子供(二代目)”が多いけれど、先の見えない業態だから継がせようとすることも少なくなり、後継者不足に悩まされています。
それを解決するのがIT技術。TUNA SCOPEがあればスマホ1台で目利きになれるし、なによりも処理が早い。あとは欲しいマグロを買う駆け引きが残っているだけ。これが当たり前になれば、生鮮市場の姿も変わるでしょう。
グローバル展開する水産工場なり飲食店で目利きAIは需要が見込める
AIの利点は誰でも等しく扱えること。TUNA SCOPEはカメラで断面を撮影するだけで済むので、日本のトップ仲買が使ったところで、言葉も知らない素人の子供と同じ結果が生まれます。差があるとすれば、被写体をどう撮るか程度でしょう。
自動運転でもカメラは重要視されているため、今は視覚のAIが特に発達しています。人間の目を代行するAIが認知されていけば、乱雑に商品を並べても品質と種類を判別できるようになるし、言語と修練の垣根をこえることができます。グローバル規模の市場を運営、もしくは携わるのであれば、こういうAIは重要になりますね。
今の時代、「人間がやる必要があるの?」って仕事は、自動へ切り替えることができるかを考えていくべきです。
高速でトマトを判別する機械なんかもあるし、こういう技術が進んでいけば、船上で冷凍加工までする遠洋漁船が、事前に品質を区別できるため、ブランド化もしやすいと思います。
オンライン競り市はまだか
TUNA SCOPEみたいな技術が広がれば、市場に並ぶ魚をスキャンして見込み価格を提示し、あらかじめ設定した必要数と予算をもとに、自動で競り落とすことも可能になる時も来るのではないでしょうか。
市場の活気──は失われるけど、効率化の果てには「楽して儲ける」が待っています。
起きたら魚が届くようになれば、時間のゆとりも生まれる。コンビニなどバーコードで商品管理する店舗なら、傾向も加味した自動発注も実用段階にきているし、ITの入る余地がいまいちだった生鮮市場も、感染症対策をするとなれば、無人化の流れも加速すると思います。
現在の状況はたしかに苦しいですが、今だからできる対策を考えることで、もし次に同じことが起きた時への対処もしやすくなります。だから今を悲観して足が止まっている人ほど、先の時代の”当たり前”に苦しむことになるでしょうね。