「けなげな魚図鑑」という本を知っていますか?
残念ではない。獰猛でもない。
ここに載っているのは、”けなげ”な魚たち。
ハリセンボンなのに針が350本は草
【疑問】ハリセンボンという名前だから、針は1000本あるに違いない!
【真実】数えてみたら350本しかありませんでした……。
ハリセンボンという名前なのに、針が千本もない。これは詐称なのでは? FFの青魔法「はりせんぼん」を現実ベースにすると、1000ダメージ固定じゃなく350ダメージになるじゃないか!
──魚の生態は未知数な部分が多く、我々は知ったかぶりをしているだけかもしれない。
特に釣り人は対象魚としての先入観があるため、学者視点からは逸脱している。一般と同じく「うまそう」「まずそう」の物差しだけが発達しているように思える。
「けなげな魚図鑑」を読むと、魚に対してマインドフルネスになれる。
魚たちの生態や姿かたちには、進化の過程で何かしらの理由がある。人からは無駄に見える進化や行動も、視点を変えれば”健気”に見えるわけです。
発想の転換というか、素直に驚きの連続な内容でした。
”健気”とは何か
健気とは、(弱い者が)困難に立ち向かっていく様をいいます。
生物にとって、生き残る・生き続けることは困難です。思考と分析を自らできる人間に関しては、生き残るすべがほぼ確立されています。でも、進化をしてきた水の生物にとっては、安寧できる場がありません。
「けなげな魚」って何かといえば、人間が普段知ることがない、舞台裏で頑張っている姿のこと。生態こそ知られてはいるけど、なぜその行動を取るのか、なぜそんな姿をしているのか。
そういう疑問に気づけるいい本です。
さかなクンさんも絶賛しているように、ここから魚に興味を持って、世界中のけなげな魚について知ろうと、学者の道を選ぶ人もいるかもしれませんね。
魚のイラストがすごいかわいくて、若干キモいところがすこポイント。説明文も短めだし、あらゆる人に伝えたい著者の心を感じます。
サヨリの下顎が長い理由については、「えっそんな理由なの?」と驚いたものです。魚を誰よりも詳しいと思っている釣り人ほど、カルチャーショックを受けるのではないでしょうか。