「アユのルアー釣りが流行っているみたいだ……。せや! 近くの川ではじめたろ!」
──などと無知のままはじめると、罰金を支払ったり、裁判所に行くハメになりかねません。
特に海釣りアングラーが、経験の少ない川釣り(淡水)に挑む時に陥りやすいですね。
そうならないため、”アユイングをこれから始める人”のために、守るべきチェック項目をまとめました。
この記事のまとめ
アユのルアー釣り(アユイング)を始める前に、注意すべきチェック項目をまとめました。まず、アユ釣りが解禁されている河川を確認し、遊漁券の購入が必要です。特に、アユをルアーで釣ることが認められているかどうかをチェックしましょう。静岡県では、アユをルアーで釣ることは認められていませんが、全国には可能な河川もあります。違反すると罰金が科せられるため、規則を厳守することが重要です。
アユイングを認めない背景には、オトリアユの販売利益減少や疑似餌の環境への影響があり、これらを理解した上で、環境保護に配慮した釣りを心がけることが大切です。
これからアユイングをはじめる前のチェック項目
川釣りは河川を管理する漁業組合の遊漁規則を守る必要があります。
アユを疑似餌(ルアー)で釣ることに関しては、さらに規則が重なります。
アユイングをすることができる河川が少ないことをあらかじめ理解してください。
近くでアユ釣りができる河川があるとして、そこでアユイングができるかどうかをチェックするには、次の項目を全てクリアする必要があります。
- アユ釣りは解禁されてる?→YES or NO
- アユの遊漁券はある?→YES or NO
- アユのルアー釣り(疑似餌)は認められているか?→YES or NO
- アユ釣りが可能な区間を把握できたか?→YES or NO
- 全部「YES」なら釣ってヨシ!
ここでは静岡県で鮎釣りが盛んな、「天竜川」「大井川」「安倍川」「狩野川」を例に、チェックしてみましょう。
(1)アユ釣りの解禁期間は?
天竜川・大井川は6月1日から12月31日まで。
安倍川は6月1日以降で組合が告示する解禁日から、最長11月30日まで(友釣り・エサ・毛鉤)。
狩野川は5月20日以降で組合が告示する解禁日から、終了は12月31日まで(最長は1月31日)。
これらからわかる通り、各河川は釣種で解禁日と終了日が違います。管理する漁業組合で変化するため、全国一斉に同じ釣りが解禁されるわけじゃないのがミソ。
全国的にアユ釣りの解禁は6月から7月。友釣りが最も解禁日が早くて期間も長く、エサ釣りはその次くらい。毛鉤や特殊な釣法はそれらより期間が短い特徴があります。
禁漁期間に釣りをすると違反ですから、釣りをする前に、必ず、釣りをする予定の河川を管理する漁業組合を調べましょう。
(2)アユ釣りの遊漁券はある?
河川で釣りをするには、対象魚の遊漁券が必要になります。
大抵は「アユ」「マス系(アマゴ・ニジマス)」「ウナギなど他」で区分けされており、互いの釣法で釣れにくいことも特徴。
アユを釣るなら、アユの遊漁券が必要になります。
遊漁券の種類は、1日券(半日券)と年券がポピュラー。単価は1日or半日券が安く、年券は1度に支払う額こそ大きいですが、通う数が多いほど得になります。
購入先は同県内か市内の釣具屋。もしくは該当河川沿いの商店でも購入できます。
川沿いによく見る『遊漁券あります』みたいなノボリが目印。また現地で巡回する組合員から購入することも可能。購入した券が有効なのは、同組合が管理する水域のみになります。
注意すべきは年券の購入時。
年券は一時的に組合員になるようなものなので、購入時に身分証明が必要なこともあります。
(3)アユをルアーで釣ることは認められてる?
アユ釣りが解禁されつつ、遊漁券があっても、最大の障壁が
「アユをルアー(疑似餌)で釣ることを認めているか?」
にあります。
ちなみに静岡県内で、アユを疑似餌で釣れる河川は無いです。
全国でも認められているのはごく少数。……ホントにアユイングは流行ってんのか?
毛鉤なら天竜川・安倍川・大井川が認められていますが、リールは禁止(フライフィッシングでアユ釣りが禁止)で、延べ竿を使ったテンカラ(流し毛鉤)は認められています。
アユイングをはじめる前に、必ず、行くつもりの河川が「疑似餌でアユ釣りが可能か?」を確認してください。
規則を破れば「違法漁業(密漁)」で、20万円以下の罰金が科せられます。
(4)アユ釣りが可能な区間はチェックしたか?
河川によっては「禁漁区間」を設けていることがあります。これは同河川内でも、特定区間だけ魚を釣ってはいけない場所(もしくは期間)のこと。
大抵は入り口に看板で注意喚起していますが、産卵期など期間限定の場合は、遊漁規則を見ないとわからない場合もあります。
静岡県内でアユ釣りをする場合、友釣りならほぼ全域で認めれている傾向があります。
友釣り以外の餌釣りや毛鉤(ドブ釣り)にゴロ引き(毛鉤がいっぱいあるの)などは、本流の中でも可能区間が設けられていることが多いので注意。
特に厄介なのは、土地勘がないのに「○区」と指定されている場合。
禁漁区間を把握するには、組合のパンフレットなり注意事項を参考にするのが妥当。釣具店には地図で遊漁区間をしめしてくれていることもあります。
年ごとに変わることもあるのでチェックしましょう。
ここまで全てクリアできたらアユイングができるぞ!
ハァ……ハァ……。
1~4の項目を無事クリアできたら、アユをルアーで釣る権利が与えられたことになります。しかし、静岡県内でアユイングができる河川はありません。
──が、全国に目を向ければそれなりにあります。
「じゃあどこにあるの?」を確認できるのが、ダイワのHPにあります。こちらはアユイングが可能な河川だけを取り上げているので、アユイングに興味があるなら抑えておくべきでしょう。
静岡県アングラーなら、隣県の愛知・岐阜・長野・神奈川に行けば、アユイングが楽しめるわけですね! 西部住みが一番気軽にできるかも。
ちなみに、今記事で参考にした「天竜川」「大井川」「安倍川」「狩野川」の漁業組合ページ(漁業規則)はこちらから。
正直いって餌釣りが一番金がかからなくていいぞ。
アユ釣りの代表は友釣りといえます。
10万前後する10mほどの延べ竿を使い、下半身ウェットにベストをはおり、オトリを入れる流し船を用意しつつ、滑らない靴も必要と──。友釣りははじめるまでの投資が嵩みやすい。
餌釣りは「渓流釣り入門セット」みたいな、釣具屋でセット売りされている物でも十分楽しめます。なんならダイソーでも可能。
延べ竿は4mもあれば十分なほど。足りない長さは糸を長くすることで対応できます。
延べ竿セットはハゼ釣りにも使えるから便利だぞ!
【最後に】アユイングを認めない河川が多い理由
アユを疑似餌で釣ることを認めない背景はおもに2つ。
- オトリアユの販売利益が減少する
- 疑似餌のロストによる環境悪化
友釣りを始めるには、まず”オトリ”となるアユを用意する必要があります。
オトリは遊漁券を販売している店舗で購入するのが基本ですけど、アユ自体を購入していることになるから、育成している漁協組合にとって利益になります。
遊漁で友釣りが優遇されているのも、そういう背景を考えれば、まぁ妥当だよね──。
アユイングがもし100%になると、オトリ販売の利益がなくなるわけで、そうなれば遊漁券の値上げで対応することになるでしょう。釣る数に制限がかけられる可能性も考えられます。
次に環境悪化ですが、これは海でも同様の問題がありますね。
プラスチック製の疑似餌(ルアー)は自然分解されないため、河川に残るとゴミになります。なので金属製以外は認めない河川もあります。
毛鉤が認められているのは、毛の部分が自然由来だから。針など金属は錆びてなくなりますから。
もしアユイングをはじめるなら、ロストしないようなリグを用いて、環境を守るように心がけましょう。