釣り糸が動物に絡まった姿を写真に収め、「かわいそう、かわいそう」と嘆き、怒りの矛先は釣り人に向かってくる。
この流れはサブスクのように、定期的に訪れる。
だがちょっと待ってほしい。……絡まるほど大量の糸を捨てることって、どんな時に起こりうる?
大量の釣り糸を捨てる可能性があるシチュエーションを考える
Yahooニュースでこんな記事を見かけた。
神奈川・横須賀にある”うみかぜ公園”で、釣り糸に絡まったハトが見つかり、足をひきずる姿がもう痛々しくて、釣り人なにやってんの! と激おこな内容。
だが、違和感がある。
添付された写真には、何十メートルもあろうくらいの釣り糸が丸められている様子が見える。この量だと、ライオンの足すら止められそうな量である。
そもそも、普通に釣りをしているだけなら、何十メートルも一気にラインを切断することは、ほぼほぼありえない。
でも我々は知っている……。
これだけ大量のラインを一気に切らないといけない状況は、あの時くらいしかない、と。
下手くそなキャストで、リールに巻いた糸が一気に出てしまう「バックラッシュ」をするくらいでないと、これほど一気にラインを出して捨てようとは考えないだろう、と。
バックラッシュは脳筋キャスティングほど起きやすい
そもそもバックラッシュの原因は、ベイトリールならスプールが空転しすぎることで起きるし、スピニングはラインの出過ぎで起こる。
原因は、ルアーが飛んで引っ張るラインより、手元から出るラインが追いついてないことで起こりやすい。
リールは糸を放出するスピードに合わせた設計をしているため、それを超えるスピードで出すと、弊害としてバックラッシュが起きやすい──というわけ。
ベイトリールはそれを防ぐため、内部ブレーキでスプールの回転を抑える仕組みがある。それでも起きてしまうのは、ロッドを振るスピードが速すぎてブレーキが間に合ってないため。
スピイングはラインの巻きが緩すぎることで起こりやすいが、毎回スプールに巻いているラインに触れて「緩くはないな」と確認していれば、それが起こることは予防できる。
つまり、バックラッシュはアングラーのテクニックで抑えることはできる。
力の限りぶんぶんロッドを振るタイプに起こりやすい現象であり、ロッドの反発を活用する”正しいキャスティング”をするほど起こりにくい。
道具が悪いのではなく、扱う自分に問題があると気づいて欲しい。
ウマイ人ほど環境にはエコになるはず
釣り人の捨てたゴミ(釣り糸)が原因で、野生生物に迷惑をかけている! なんとかしろ! ──ってお怒りは、定期購読すぎて聞き飽きている。
釣り人目線は「水中にゴミを残すな」が優先されるため、水中で分解される「生分解ライン」がある。
でもそれは、足に絡まったハトを助けるほど、すぐ分解はしない。
だから根本的な解決方法は、「ゴミはゴミ箱へ!」を守るしかない。そして釣りの最中でも、ゴミを出さない努力をするべきといえる。
釣りだけじゃなく、アウトドア全般(キャンプに登山など)は自然の中で遊ぶため、来た当時の環境をそのまま残すことを優先しなければならない。
正しいキャスティングをすればバックラッシュはほぼしないし、根がかりしなければラインを切ることもない。上手い人ほど”無駄”は減っていくので、自然とエコなフィッシングライフになっていくはず。
現地でゴミを作らない釣りを追求するのも、やりがいに感じるかもしれませんよ?