私は魚料理の中で煮魚が一番簡単と感じています。
でも、世間は違うらしい……一体なぜ?
その理由は「煮汁のレシピ」にあります。分量キッチリしないと気がすまない人ほど、煮魚は難しいと思うでしょうけど、全然そんなことありません。
コツだけ押さえればあなたも煮魚マスターに!
煮魚料理マスターになれる3つのコツとは?
煮魚料理を仕上げるには、3つのコツをおさえることが大事。
ひとつでも抜けると不味めに仕上ります(?)。
- 一番大事なのは魚の下処理
- 煮汁のレシピは魚の身質で変える
- 味が染み込むのは冷ましている時
(1)をサボると、魚の臭みを煮込むことになります。
(2)をサボると、魚の味付けが極端になりやすくなります。
(3)を勘違いしていると、強火で煮込みすぎて魚の身がボロボロになりやすい。
では1つずつ詳しく書いていきます。
1.下処理で臭みを抜かないから臭い煮魚ができあがる
魚料理の大敵は「臭い」です。
どんなに新鮮な魚でも、下処理なしで臭いを消すことは難しい。魚料理で「魚が臭い」と悩んでいる人は、スーパーで売られているからって、下処理を怠っているパターンが多い。
スーパーで売られている魚は、水や酒で洗ってキッチンペーパーで水気を切り、塩を振って冷蔵庫で寝かせるだけでも、味はかなり向上します。
「今まで食べていたのはなんだったのか!」てくらい感動するかも。
煮魚は”煮込む”料理なので、臭いの下処理をしないと、臭みも一緒に煮込んで「クサイ魚料理」になりがち。
魚料理はまず、臭い消しからはじめることを忘れないでください。
2.魚の身質で煮汁レシピを変えるコツ
魚の身質で煮汁レシピを変える必要があるのは、身質によって味の浸透と柔らかさが違うからです。
見極めるのは簡単──身の色で判断し、触ればいいだけ。
白身魚は身が柔らかく、筋肉がそれほど発達していません。煮込むと繊維でホロホロに崩れるため、生の状態に触れても柔らかいです。カレイが代表格ですかね。
タイは同じ白身でも、筋肉がそこそこ発達しているため、煮込んでも身が硬いままになりやすい。身の硬さは火加減にも繋がる良い例が、カレイとタイの違いですね。
血合いの多い青魚や赤身だと、血の臭いを消すために、味付けを濃くするとか、酒をたっぷりつかう方法を選ぶようになります。
煮魚の黄金比率とは?
煮汁の基本は「水3 酒3 砂糖1 しょうゆ1」。これは煮汁の黄金比率と呼ばれています。
この比率はどんな魚でも、”煮魚として”ハズレにくい味付けの基本です。必ず覚えましょう。
煮汁の比率で悩むのは、「鍋に入れた魚をどこまで浸すか?」ではないでしょうか。
煮込む魚は必ずしも、煮汁にすっぽり浸ける必要はありません。魚の半分以下でもいいくらいです。
煮魚は煮込む料理ではなく、煮汁をかけて染み込ませるほうが、綺麗にしあがります。漬け込む方法だと、煮汁を大量に作る必要がありますが、かける程度でいいなら少量ですみます。
煮汁の比率については、大さじと軽量カップでキッチリ計るべきですね。
最も簡単なのは「めんつゆ」を使うこと。
特に濃縮タイプは味の調整もしやすくて便利です。
白身と赤身で変える煮汁レシピ
白身魚は淡白だから黄金比ベースで構いません。
赤身魚は血合いが多く臭みが目立つため、煮汁の割合を変えることで対応します。
臭みが強い(クセがある)魚は、酒の割合を増やすことで対応できます。ショウガを入れるのも臭み抜きですし、鷹の爪をアクセントにするのもアリですね。
3.味がしみしみの煮魚に仕上げるコツ
素材に味をしみこませる技術を学ぶなら、大根の煮物で練習するといいでしょう。
大根は高温でぐつぐつ煮ることで、細胞が壊れて繊維がほどけます。すると隙間ができるので、固い大根でも柔らかくなるし、奥まで味が染み込みやすくなるわけです。
この「素材を高温で加熱すると細胞が壊れて隙間ができる」は、どんな料理にも当てはまるポイント。
煮魚料理は、身質で煮込み時間・温度は変わるため、レシピは魚の数だけあるといえます。
味がしみた煮魚に仕上げるには、筋繊維が煮汁を吸い上げてくれないといけません。
物質は加熱すると膨張し、冷やすと収縮します。これは煮魚も同様で、筋繊維が膨張することで隙間ができ、火を止めて冷ますことで煮汁が隙間に染み込んでいく仕組み。
煮汁を沸騰させたら火を止めて、煮汁をすくいかけながら味をなじませる──煮魚はこの繰り返しをすることで、少ない煮汁でも味をしみこませることができます。
煮魚マスターになるための箇条書き
- 白身魚の煮汁は薄味で(水4酒4みりん1しょうゆ1)
- 血合いの多い魚は濃い目かつ臭み抜き(水2酒4砂糖1しょうゆ1)
- 煮汁の量は魚が半分浸かる程度に
- 煮汁が沸騰したら火を止めて、スプーンですくって身にかけてあげると味がしみやすい。繰り返すことで煮詰まるから、味も濃くなっていく。
- 身質は実際に触って確かめればいい
- 下処理は水を多用することで血抜きと表皮を洗い流すこと
要点は先に挙げた「下処理キッチリ」「煮汁の割合を使い分ける」「沸騰したら止めるか弱火に」を守ること。
そして一番大事なのは、調理中になるべく魚に触れないこと!
煮て柔らかくなった魚に箸でちょんちょん触ると、皮がめくれたり身がぼろっと落ちたりして、仕上がりの姿が悪くなってしまいます。返すならフライ返しを使うべきだし、細心の注意をはらいましょう。
煮魚料理はなれると楽です。なんたって、鍋にまとめて入れて作れるから、大漁した時に重宝する料理ですね。洗い物が鍋だけで済みますし。
最後の手段は──、あらかじめ美味い煮魚を買っておくことかな(逃げ)。
煮魚料理は数をこなして慣れればいい
料理に高いハードルは特にありません。こだわりを取り去れば、どれも時短可能なレシピだし、コンロとフライパンがあればどの家庭でも作れるものばかり。
だから「ハードルが高い」とか、無駄に構える必要はありません。レシピを覚えるよりもまず、基本を覚えましょう。
あとは…地魚料理のサブスク「サカナDIY」は、すでに下処理済みの魚が送られてくるため、家で仕上げるだけで美味しく作れます。
いつでもだれでもお家で簡単に地魚料理♪【サカナDIY】魚料理は下処理で出るゴミが厄介ですから、そこを取り払ったこのサービスは優秀。
あとはレシピ通りに作ればいいし、定期に来るから回数をこなせるし、魚料理マイスターに近づけますよ!