迷走台風の二つ名がよく似合った台風5号。
こいつの進行ルートを振り返るのは、自由研究の対象にできそうだし、面白いかと。
気象学や物理学に興味を持つキッカケにもなるかと思います。
迷走台風5号さんを追従する旅
「台風の進路を自ら予測する」に関しては、こちらでも触れているので参考に。
発生地点でぐるぐる回ったのは、自転と気流による進行方向に高気圧が存在していて、それに押されたり囲まれたりしていたため。
この時点では小型の規模で、自然消滅ワンチャンだった。
太平洋高気圧を避けつつ、赤道付近まで進行したところ、地球の自転による「沖縄へ向けた王道ルート」がほぼ確定される。
偏西風は九州から北海道へ抜けるように流れ、対馬海流と似たルートを辿っている。
これは地球の自転による気流の影響(コリオリの力)。
その影響を受けて、台風は沖縄付近から進行速度を上げはじめるんだけど──。
それが微弱だったから、屋久島直前でも停滞し、マゴマゴしだした。
ようやく偏西風に乗ったが、歩行からジョギングの速さになった程度。
発生時から上陸にかけ、長い期間を黒潮の恵みをたっぷり吸うことに費やし、コリオリパワーも手伝って、台風5号は息を吹き返す。
この時点で大型にまで発達していた。
停滞型の厄介なところは長時間の風雨が続くところ
「なぜ台風が停滞型になるのか」は、2つの要因が絡むことが多い。
ひとつは上空の気流が弱いこと。もうひとつは高気圧が進路を邪魔すること。
簡単にいえば「流れ」と「壁」が存在するかどうか。
気流が弱くなる要因として、大陸間での温度差が少ないことが挙げられる。
知っての通り、九州よりも北海道のほうが気温は低くなりやすい。
この温度差が風の流れを起こしつつ、自転の影響を受けて発生する気流が偏西風でもある。
リンク #005海流|社団法人日本埋立浚渫協会
気流についての説明はこちらのサイトが参考になるかと。
(こんな社団法人あったのか……)
速度が遅すぎて山越えが叶わなかった台風
台風の影響する空域は、上空15,000メートルに及ぶ。
飛行機ではこれを越えるのは、無理ではないけどむつかしいレベル。
台風は大雑把にいうと、ただの雲です。
いわば回り続けるハンドスピナーのようなもので、地上の建造物なども障害物になる。
今回のルートは、四国の山脈と紀伊山地を避けつつ、行き着いた先はそそりたつ壁の日本アルプス。
標高3000m級が連なる山脈vs台風の戦いは、イメージ的にはこんな感じ。
なお勝ったのはアルプスでした。
越えることを諦めた台風5号は、じりじりと北寄りに進み出し、福井県や石川県などの北陸地方が大雨のとばっちりをうけた。
……こうして日本海へ抜けたものの、日本海側に沿って進行する予報。
日本をじっくり観光でもしているのかな?
台風から学ぶ物理学と人工知能
坂道でボールを転がすと、坂を転がって行くことは誰でもわかるでしょう。
それは自然なことなんだと。
地球上で起こる様々な現象は、ある程度「物理(数字)」で説明できます。
台風の進路もまあ似たようなもので、「均一に流れるプールに何故か高速回転しているボールを流すとどうなるか?」みたいに、不条理そうな数学問題に解を求めるようなもの。
実際に試した映像を出せば「……というわけなんですよw」で済むけれど、それに意味を見出したり、数式で説明しろとなれば教養が必要となる。
今回の迷走台風を、発生時から現在まで完璧に進路予測しているところはなかった。
それだけ稀有な例だったといえる。
リンク 台風5号の進路 日本アルプスの影響で再び意見分かれる|YAHOOニュース
「アルプスにぶつかるまでは予想したが、ここから上に行くのか下に行くのか。はたまた越えるのか砕けるのか……」
これらの進路予測をひとつひとつ導くのが物理学であり気象学。
流体力学もないこたないですね。
多岐になる進行ルートに、ひとつの最善を導くのが、将来的な人工知能の役目かもしれない。