【南の外道?!】ハリセンボン!生息域や食性・浜辺に打ち上げられる理由について解説!

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はじめに

釣りというものは奥深いもので、川や海で釣れる魚も違ければ、地方によって全く異なる種類の魚が釣れたりもします。

毎度のように餌泥棒をしてくれる「外道」達にもその違いがあり、今回は主に日本では南の地域の外道として知られる「ハリセンボン」についてご紹介させていただきます。

ハリセンボンはフグのような魚ですが、ちょっと異なった特徴を持っていたり、プクプクと可愛いらしい見た目とは裏腹に不憫な面もある変わった魚です。

はる@釣行中
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それでは早速ハリセンボンの不思議ワールドに突入してみましょう。

1,ハリセンボンとは何ぞや?

①特徴について

ハリセンボンは「フグ目ハリセンボン科」に分類される魚で、パッと見は「トゲだらけのフグ」といった感じです。

体色は灰褐色〜黄色に背中側に茶〜黒褐色の大きな帯や斑模様、そして細かなスポット模様が入ります。

ハリセンボンはトラフグやマフグのようなフグと似ている部分はありますが、全身のトゲ以外の細かな違いとして、歯が上下1枚ずつである事や腹ビレが無いという特徴があります。

また、フグの仲間という事もあり、外敵から身を守るために大量の海水を吸い込んで体を膨らませ、全身の鋭いトゲを逆立てて身を守る習性がありますが、このポヨポヨとしたイガグリ姿が人気です。

ハリセンボンやフグが膨らむ事ができる理由は胃の中に「膨張嚢(ぼうちょうのう)」という特殊な器官が備わっているためで、この器官は大量の海水や空気を取り込んだ後、まるで巾着袋のようにキュッと締まる事で体を持続的に膨らませる事ができます。

しかしデメリットがあり、一度膨らむとすぐには元の体型には戻れないため、膨らんだ側はその間泳ぎづらさに拍車がかかり、水や空気を少しずつ吐き出しながら元の体型に戻っていきます。

☆歯が上下2枚は大事な特徴!

本来フグの仲間というのは上下2本ずつついばみやすい形状の歯を持っていますが、ハリセンボンの仲間は、この歯が癒着して1枚になっているため上下2本しかありません。

これは種を選別するためにかなり重要で、生物学者さんもあまりにも重要視し過ぎたのかハリセンボン科を表す学名も「Diodontidae」であり、ラテン語で「2つの歯」という意味があります。

はる@釣行中
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しかし、ハリセンボンにしろクサフグにしろ、私達にしてくる事は相変わらずで、餌泥棒とライン切りが得意です。

☆針千本?海外では意外な呼び名!

ハリセンボンと名付けられるくらいですから「針は千本あるんじゃないか?」と気になる方もいらっしゃるかも知れませんが、結論から言ってしまいますと、ハリセンボンの体のトゲは千本ありません。

大体300〜450本くらいで、平均的には369本生えているそうです。どうやら真の針千本は、どこぞのRPGに出てくる走り回るサボテンに軍配が上がりました。

ハリセンボンの全身に生える鋭いトゲはウロコが変化してできたものと考えられており、膨らんだハリセンボンの防御力は非常に高いものとなります。

はる@釣行中
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また、ハリセンボンという和名は体に生えた大量のトゲを表したものではありますが、海外ではハリセンボンを「Porcupainfish(ヤマアラシのような魚)」と呼んでいます。

②生息域について

ハリセンボンは世界的に見ると熱帯〜温帯の暖かい海域に生息しており、日本では主に沖縄や九州、四国地方等の暖かい海の浅瀬や岩礁、サンゴ礁、砂底に生息しています。

はる@釣行中
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時には港や湾岸にいる事もあり、幼魚の時は暖流に流されて静岡県や千葉県の海まで流れ着く事もあります。

③食性について

ハリセンボンは肉食性の魚で、自然下では主にアサリやツブのような貝類やカニ、エビ等の甲殻類、ゴカイやウニといった底生生物を捕食しています。

はる@釣行中
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また、泳ぎが苦手なので積極的に狙いはしませんが、弱った小魚を食べる事もあります。

④性格について

基本的にはとても好奇心が旺盛なため、気になる物を見つけると各ヒレをパタパタとはためかせ、ホバリングしながらガン見してきます。

沖縄や八丈島の海等では船着き場に現れる事もあり、警戒する事なく表層を泳ぐ姿も見られます。

はる@釣行中
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しかもネットで簡単に捕獲できてしまうというユルさも持ち合わせているため、野生で出会える愛すべき海のゆるキャラです。

⑤大きさは?

ハリセンボンは平均的には20〜30cm前後である事が多いですが、大きい個体はなんと40cmほどにもなるそうです。

また、磯採集で捕獲できるハリセンボンの幼魚は100〜500円玉サイズの事が多く、小さなイガグリみたいで非常に可愛らしいです。

はる@釣行中
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ちなみにハリセンボンの仲間の中で最も大きい種類と思われる「ネズミフグ」は平均的な大きさが60〜70cmほどで、大きい個体は80cmにも達するそうです。

⑥他の呼び名について

ハリセンボンには地方によって別の呼び名があります。

「トゲフグ」「カゼフグ」の他、「イラフグ」「バラフグ」と呼ばれる事もあり、沖縄では「アバサー」と呼ばれています。

はる@釣行中
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また、漢字表記では「針千本」と書かれるのが一般的ですが「魚虎」もハリセンボンの事を指している漢字です。

2,何故ハリセンボンは外道なのか!?

フヨフヨと浮遊するように泳ぎ、怒ればポヨッと膨らむ可愛らしい魚なのですが、ハリセンボンの生息分布域では立派な外道として知られています。

はる@釣行中
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ここではその大まかな理由を“〜ハリセンボンの外道なポイント4選〜”として挙げさせていただきます。

①好奇心がとにかく強い!

アクアリストであれば「可愛い♪」で済む話かも知れませんが、釣り人からしてみれば「やめてくれぇ〜」と言いたくなるほど彼らの好奇心や執着心は強いです。

まず針先の餌に興味が湧き、餌でなければルアーの形や光の反射にも興味津々!さらにはラインも気になって仕方無い!といった感じで好奇心が爆発します。

しかもロッドを動かして避けようものなら「動いた〜♪」と追いかけて来る始末です。

はる@釣行中
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可愛い仕草ではありますが、本命が当たる前にハリセンボンが来てしまう事態に発展しやすいのです。

②エビ、カニ大好き!

ルアー釣りであれば光の反射にも反応してしまうハリセンボンですが、餌釣りとなると、かかる可能性が非常に高くなります。

彼らの大好物はエビやカニ等の甲殻類です。タコやイカを狙って甲殻類を餌として付けた場合、ハリセンボンは確実に狙いに来ます。

はる@釣行中
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また、ハリセンボンはタコやイカも食べる事があるため、長期戦になるとしれっとやって来て本命ちゃんを齧る事も。その点も踏まえて厄介なのです。

③鋭い歯で…!

フグやハリセンボンは歯が鋭いだけでなく、噛む力も強いため、簡単にラインを噛み切ってしまいます。

はる@釣行中
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また、大物になると小さな針くらいであれば「パキッ」とやってしまうため、釣具クラッシャーとしての外道さも際立っています。

④目も鼻も良い!

「今日はハリセンボンいないな〜」と思っていても油断は禁物です。

彼らは意外と目も鼻も良いので撒き餌をした瞬間に「ごはんだ〜」と来てしまう事があります。

はる@釣行中
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姿を見ないからといって油断しないようにしましょう。

3,ハリセンボンの外道以外の一面について

類い稀なる好奇心と釣具クラッシャーな歯で外道とされているハリセンボンですが、釣り以外では意外と愛されキャラだったりします。

はる@釣行中
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そんなハリセンボンの愛されキャラや意外な一面をご紹介させていただきます。

①沖縄では食用魚として親しまれている!

暖かい海にサンゴ礁、好物のエビやカニがたくさんいる沖縄はまさにハリセンボン天国です。

ハリセンボンが漁獲しやすいという理由からか、沖縄では「アバサー汁」という汁物にされて親しまれています。

沖縄系YouTuber「ハイサイ探偵団」様は動画の中でハリセンボンを捌く時は包丁よりもハサミの方がやりやすいと言っていました。

ハリセンボン自体は身にしっかりと味があり、美味しいそうです。

また、ハリセンボンはフグの仲間なのに毒が無いと考えられており(ただし卵巣や精巣は怪しいとされる)、アバサー汁にはハリセンボンの肝が入っている事もあります。

ハリセンボンの肝は栄養価が非常に高く旨味も強いそうですが、食べ過ぎると鼻血が出るという話もあります。

はる@釣行中
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なんだかチョコレートの迷信に通じるようで面白いですが、ちょっと気にしながら食べた方が良いかも知れません。

②お土産にもハリセンボン!?

ハリセンボンの皮は分厚く、硬さもあるため剥くのはかなり大変なのだそうです。

しかし、慣れるとスルスルと必要最低限の傷で剥けるため、そのキレイな皮を使ってハリセンボンの提灯や剥製などに加工する事もあります。

はる@釣行中
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地域によってはお土産として販売されている事もあるので訪れた際に記念に1つ買って彼らに対する理解を深めるのも良いかも知れません。

③アクアリウムでも大人気!

ハリセンボンは意外と大きくなるので水槽も広いものが必要になりますが、人懐こくて賢い性格なのでマリンアクアリウムでも人気の種類です。

はる@釣行中
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慣れれば手から器用に餌を取って食べたり、水槽に近寄っただけで駆け寄ってくるかのようにスイ〜ッと泳いでくる姿は愛らしさ満点です。

☆芸も覚えちゃうぞ!

ハリセンボンやフグの仲間は魚の中でもかなり進化した存在であると考えられており、その分知能も高いとされています。

筆者がかつて、我が恩師のショップに行った時の事、インド洋産と沖縄産のハリセンボンが水槽を泳いでおり、どちらも人懐っこく歩く私を水槽の中から追いかけてきました。

そんな中、いきなり結構な勢いで水を噴射!床は一気に水浸しに。

どうやら我が恩師はハリセンボン達におねだりの芸を覚えさせていたらしく、「餌が欲しい」「構って欲しい」という時に水を噴射するよう教えたのだそうです。

しかしその威力たるや、水鉄砲どころか「ハイドロポンプ」。ポケモンだったら序盤で詰まされるタイプの水タイプジムかと思わされました。

はる@釣行中
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余談ですが、何故かハリセンボン以外にもプレミアムな「ホウセキボロカサゴ」もハイドロポンプを教えられており、その日は陸にいたのに海水まみれになりました。

④ポケモンにもいる!

©️POKEMON(https://zukan.pokemon.co.jp/detail/211)

プヨプヨチクチクと可愛いハリセンボンは、任天堂が誇る人気ゲーム・ポケモンにも登場しています。

そのポケモンの名前は「ハリーセン」。ちょっと目付きが悪く見えますが、ハリセンボンがモチーフのポケモンです。

はる@釣行中
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ハリセンボン好きは手持ちに是非入れたいところです。

⑤水族館でも大人気!

マリンアクアリウムでも大人気なハリセンボンですが、スペースの関係から飼育が難しい面もあります。

しかし、飼育できなくても水族館ではハリセンボンを展示している事も多く、こちらも人気があります。

彼らは好奇心が旺盛ですので水槽の前で見ていると興味を示して自分から近寄って来る事もあります。

その時近付き過ぎて水槽のガラス面に思いっきり唇を押し付けているちょっと抜けた姿を見せてくれます。

はる@釣行中
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そして意外とセクシーな唇の持ち主である事も知る事ができ、面白おかしく彼らについて知る事ができるのでオススメです。

⑥歯は一生モノ!

ハリセンボンには立派な2枚の歯がありますが、実はコレ、一生伸び続けます。ハムスターやウサギなどの「げっ歯類」と同じなんです。

一生伸び続ける歯なので、ハリセンボンは定期的にウニのように硬い殻を持つ餌を食べたりサンゴの骨や石を齧って歯の長さを調節しています。

マリンアクアリウムではそれに気付かず歯が伸びすぎてしまい、人の手で削ったという話も稀に聞かれます。

はる@釣行中
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もしハリセンボンと暮らしたい方がいたら、必ず硬い物も入れてあげて、歯のお手入れをさせてあげてください。

4,ハリセンボンの謎について

ここまでハリセンボンの特徴や様々な側面についてご紹介してきましたが、ハリセンボンには謎な一面があります。

それは「浜辺や岸辺に打ち上げられる事」です。

はる@釣行中
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この原因についてご紹介させていただきます。

・何故ハリセンボンが打ち上げられてしまうのか?

稀に大量のハリセンボンが打ち上げられた事がニュースに取り上げられる事があります。

この理由について「膨らんだハリセンボンは機動性が非常に悪いので、そのまま海流や高波に流されて打ち上げられる」という解説をする方がたまにいますが、個人的にこの可能性は全く無いという訳ではなく、それよりももっと大きな原因がある事を知っていただきたいな、と考えています。

まず、ハリセンボンは元々熱帯海域の魚なので海水温が暖かい環境にいるのが基本です。

そのため、海水温が高い状況が続くと大繁殖してこちらもニュースになりますが、逆に台風の影響や気候変動で海水温が急激に下がるとハリセンボンは弱ってしまいます。

その弱ったハリセンボン達が浜辺や岸辺に打ち上げられてしまう事の方が多いのです。

弱ったハリセンボンは膨らめるほど力が残っている事は少なく、打ち上げられて死んでしまった個体の多くは膨らむ前の姿です。

また、「台風や高波によって膨らんだハリセンボンが打ち上げられた説」を筆者が完全否定しない理由も一応挙げさせていただきます。

私はハリセンボンは「無毒」とされている事について先程触れていましたが、「無毒」という事は他のフグのよりも捕食しようとする輩がいるという事です。

実際ハリセンボンが丸ごと捕食されるケースは非常に珍しいですが、移動に使う胸ビレや尻ビレ、尾ビレを外敵に食い千切られてしまう事は少なくないのです。

そういった個体がさらに機動力を失い、弱り、威嚇で膨らんだところに運悪く台風が来て流されてしまい、抵抗もできずに打ち上げられる可能性は十分にあります。

はる@釣行中
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ハリセンボンも大自然に生きる命の1つです。野生のルールと自然の力の前には致し方ないのです。

■ハリセンボンを丸飲みしてしまう外敵とは?

ハリセンボンを丸ごと捕食する外敵がいる事に少し触れましたが、あんな全身チクチクした魚を丸飲みにするのはかなり勇気が要ります。

確認されている例としては、サメやマグロの胃からハリセンボンが出てきています。

ハリセンボンのチクチク防御は非常に高い防御力を誇るため基本的には膨らまれた時点で捕食を諦める外敵がほとんどですが、捕食した個体は「相当空腹だったのではないか」と考えられています。

はる@釣行中
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「背に腹は代えられない」という言葉がありますが、空きっ腹に丸ごとハリセンボンは、新手の拷問っぽく感じてしまいます。

まとめ

今回は外道だけど愛されている魚・ハリセンボンについてご紹介させていただきました。

ハリセンボンはかなり知名度が高い魚ですが、意外と知られていない側面が多い魅力的な魚です。

ふくふくチクチクな見た目やフグ特有の重力を感じさせない泳ぎ方などは愛嬌や美しさもあるのでついつい眺めてしまいます。

また、仮に外道として釣り上げてしまったとしてもアバサー汁や唐揚げにして食べる事もできるため、釣具が痛む可能性もありますが決して悪い事ばかりではないと思います。

他にもハリセンボンは以前このブログでご紹介させていただきました「死滅回遊魚」の1種でもあるため、初夏に磯や浜辺に行けば、可愛らしい小さなイガグリを発見できるかも知れません。

【なぜ死ぬ?】死滅回遊魚の意味や種類・一覧を解説!

はる@釣行中
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不思議な魚、ハリセンボンについての知識が皆様のお役に立てれたならば私も幸いです。

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